じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
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 県道沿いの歩道をウォーキングしている時に、タバコの煙を浴びることが多くなった。原因は、某コンビニが、店舗裏にあった喫煙所を歩道のすぐ近くに移動したためである(写真参照)。この措置で、コンビニ利用者が受動喫煙を受けるリスクは減ったが、コンビニと無関係の一般歩行者のリスクは逆に増大した。
 最近、新型コロナウイルス対策の一環として喫煙所・喫煙室を閉鎖する動きが高まっている。濃厚接触を避けるためにも喫煙所を廃止し、合わせて、ニコチン依存者への禁煙支援を強化する必要があるように思う。

2020年5月27日(水)



【小さな話題】9月入学についての素朴な疑問

 各種報道によると、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う臨時休校の長期化を受け、政府・自民党は対応策の1つとして「9月入学」に移行した場合の影響などを検討しているという。その叩き台の1つとして、仮に来年から「9月入学」を始めた場合に、9月時点で満6歳に達しているすべての子どもを小学1年生とするというような案が出ているという【出典はこちら】。

 9月入学の問題については5月2日の日記で取り上げたことがあるが、その後の議論を聞いていると、一定の移行年数を設けるとはいえ、どうやら、「9月時点で満6歳に達しているかどうか」で学年を区切ることがセットになって検討されているようである。

 もし、移行期間を設けずに来年から9月入学を実施した場合、来年度の小学一年生は、2014年4月2日から2015年4月1日までに生まれた子どもに加えて、2015年4月2日から2015年9月1日までに生まれた子どもが新一年生に加わることになるものと思われる。

 ここで、区切りを「2015年8月31日まで」ではなく「2015年9月1日まで」としたのは、現行の小学校入学のルールが、

●年齢計算ニ関スル法律及び民法第143条第2項の規定により、年齢の加算は「誕生日の前日の24時(誕生日当日の0時ではない)」に行われる

ことを踏襲したものである。9月入学の年齢条件が「9月1日に満6歳になっている者」であるとするなら、9月1日生まれの子は、8月31日の24時までに満6歳になっているので該当することになる。

 しかし、もし、移行期間を設けずにいきなり来年度から実施としてしまうと、
  • ことし年長組にいる幼児たちは、来年の3月末になっても卒園できず、8月まで幼稚園に通わなければならない。
  • ことし年中組にいる幼児たちのうち、9月1日生まれまでの子どもは、年長組になって5カ月過ごしただけでいきなり小学校に入学となる。
  • ことし年中組にいる幼児たちのうち、9月2日以降に生まれた子どもは、小学校入学が翌年の9月1日となる。この場合、やはり4月から8月までは年長組として余分に幼稚園に通わなければならない。
  • 来年度の新一年生だけ1年5カ月分に人数が増えるため、受験や就職の際の競争率が激しくなる。
というような混乱が生じるように思われる。

 もちろん、いま年長組にいる幼児を来年3月末で卒園させることもできるが、そうすると、9月の小学校入学までは、入学待機の浪人生活を送らなければならない。これまた教育上問題があるし、親の負担も計り知れないほど大きい。

 さらに問題となりそうなのは、幼稚園内での友だち関係の分断である。例えば、同じ年長組に、9月1日生まれの女の子と9月2日生まれの男の子がいて、とても仲が良かったとする。ところが、上記のような9月入学の制度が決定されると、とつぜん女の子のほうは9月から小学校に、男の子のほうはもうしばらく幼稚園で過ごすことになり、女の子のほうが1学年上になってしまう。もし4月入学のままであれば、幼なじみの関係がそのまま恋愛関係となり、めでたく結婚していたかもしれないところ、女の子が「先輩」の学年となったことで疎遠となり、離ればなれになってしまうかもしれない。これは、男の子が9月1日生まれで女の子が9月2日生まれの場合も同様。9月入学による分断は、対象となる年齢の子どもたちの友だち関係に大きな影響を与えるだろう。

 このほかどうしても検討が必要なのは、定年退職の規定であろう。公平性という観点から言えば、大学・高校等を卒業して就職した時点から定年退職までの月数は同じであることが望ましい。生まれた月の違いによって生涯賃金が変わるというのは、「誕生月差別」になるのではないか。

 ま、いろいろ考えてみるに、9月入学は教育の問題だけにとどまるものではない。会計年度の問題、企業の採用時期、定年、年金などあらゆる問題にリンクしており、新型コロナで休校が長引いたというような突発的な問題に絡めて議論すべき問題ではない。第一、この先、コロナの第2波とか第3波、あるいは別の新型感染症で臨時休校を余儀なくされることもゼロとは言えない。その時には、今度は、いったん決めた9月入学をまたまた4月入学に戻すというような議論をするつもりなのだろうか。ということで、やはり4月入学を維持することが最善であるというのが私の隠居人的独り言。

※学年の始まりや「4月2日生まれ」については、以下に関連記事あり。