じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 今年はネコ年(19)岡大ネコの避妊手術進む

11月7日の日記で、私財を投じて保護・避妊活動をされておられる方々の話題を取り上げた。15日早朝、保護活動はその後も順調に進んでいると伺った。写真上は一番先に避妊手術を行ったジミー(毛並みが地味なので「ジミー」と名付けたがメス)で復帰後に子猫と一緒に歩いていた)。写真下は、最近避妊手術に成功した復帰したオグロ(←尾っぽが黒いので)。

11月14日(日)

【思ったこと】
_a1114(日)日本心理学会第74回大会(49)ことばと社会:心理学的アプローチの可能性と問題点(18)指定討論、まとめ

 ワークショップの最後は、言語社会心理学の専門家による指定討論が行われた。もっとも、ワークショップが行われた9月20日からすでに2ヶ月近くが経過し、メモを読み返しても論議の内容を思い出せない状況に陥ってしまった。ここでは一応、思い出せる範囲で取り上げるが、一部誤解があるかもしれない点をお断りしておく。

 指定討論者はまずコミュニケーション様式の文化差の話題提供に関して、「言語化/非言語化」についてはもっと踏み込んだ分析も可能ではないか、また推意(implicature)や伝達意図を隠した表現などもあるのではないかということを指摘された。

 次に日本語学習者の誤用と言語使用の文化的背景の話題提供に関しては、発話の文脈に関わる変数を操作、統制した議論が可能ではないかと指摘された。11月2日の日記にも述べたように、私自身もそのように感じるところがあった。

 3番目の心の理解とコミュニケーション 認知語用論と発達心理学の話題提供に関しては、文末表現の助動詞や終助詞が情報の分布や対人配慮、対人感情と関係があるというようなご指摘であったが、記憶が薄れてしまって論点が何であったのかを思い出すことができない。

 最後の司法コミュニケーションにおける法と言語の接点の模索の話題提供に関しては、語彙や発話行為の分析、集団内過程の分析への適用についての指摘があったが、これも記憶が薄れてしまった。

 まとめとして、心理学と言語学では研究法や関心に違いがあることが指摘された。すなわち、心理学では、実験や、変数間の連関を探る調査が用いられ、メカニズムに関心が向けられる。いっぽう言語学では、属性による記述を主体とする調査や、会話分析、シナリオ分析という方法が用いられる。それらはけっきょく、「納得の構造」の違いであり、どのような結果が説得的で、どこに厳密さを求めるかという違いに帰着するというようなご指摘であった。

 以上、私自身にとってはなじみの無い領域であったが、さまざまな視点から「ことばと社会」について新たな知見を得ることができた。時間配分もまことに適切で、それぞれの話題提供者の内容が分かりやすく伝えられていた。

 余談だが、このワークショップの企画・司会者は私よりほんの少し後輩であり、また指定討論者は学部時代から同じ授業を受講していた同輩であった。同じ世代、もしくはじゃっかん若い世代の研究者が、このような場で第一人者として活躍されていることはまことに心強い。併せて今後のさらなるご活躍、研究のご発展に期待したい。

次回に続く。