じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Y.Hasegawa

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[今日の写真] クロッカス2/14撮影。露地植えではこの春最初の開花。


2月15日(月)

【思ったこと】
990215(月)[言語]数字と助数詞の読み方(3):「シチ」と「ナナ」

 2/14の日記の続き。この話題はもともと「三」のあとに続く助数詞が濁音になるというところから出発したものであったが、「四(シ、ヨ、ヨン、ヨッ)」のように数字の読み方自体にも面白い違いがあることに気づいた。

 お互いを更新する掲示板では、櫻さんから、「123456789」と順番に読む時と、ロケット打ち上げの秒読みで「987654321」と逆に読む場合で、「4」と「7」の発音が異なるというご指摘をいただいた。確かに、順に読む時は「4(シ)」、「7(シチ)」と発音するが、秒読みでは「7(ナナ)」、「4(ヨン)」となるのが一般的であろうと思う。もっとも北九州在住の義父は「54321」を「ゴ、シ、サン、ニ、イチ」と発音していたが...。

 「シチ」と「ナナ」の使い分けでもうひとつ思ったのは「7月7日7時7分7秒」の読み方だ。特に「7時7分」を「ナナジ シチフン」とせずに「シチジ ナナフン」と発音する点は、子供や留学生にどう説明したらよいのだろう。同じ時刻でも「17時」のほうは「ジュウシチ時」、「ジュウナナ時」どちらの発音も自然に聞こえる。

 日時に関しては「ク」と「キュウ」でも似たような現象が起きる。「9月9日9時9分9秒」など。
【思ったこと(2)】
990215(月)[心理]価値の起源と創出について思うこと(2)注目、承認、愛情、従順

 2/12の日記の続き。きょうは、習得性好子(コウシ)について考えてみたい。習得性好子というのは「他の好子と対提示されることで好子としての機能を持った刺激、出来事、条件」(杉山ほか『行動分析学入門』産業図書)として定義されているが、「対提示」が条件性好子を生み出す必要十分条件になっているかについてはもう少し検討してみる必要があるように私は思う。ただとにかく、何らかの経験によって好子としての機能を獲得した刺激等であることは間違いない。

 習得性好子は、そのもととなる好子(裏付好子)と密接に結びつくことによって好子としての機能を獲得する。それはふつう生活環境の中で個々人の経験に基づいて形成される。生活様式が似通っている狩猟民族であれば、獲物という共通の裏付好子のもとで、強い弓とか鋭い槍というように獲物と対提示されるものが習得性好子になりやすい。それゆえ各人の習得性好子は非常に似通ったものになるだろう。これに対して、現代のような複雑な社会の中では、その形成のプロセスはきわめて多種多様になる。価値観が多様になるというのは、習得性好子の形成のしかたが多様であると言い換えてもよいだろう。

 習得性好子の中でも、多数の裏付け好子と一対多対応の形で結びつくようなものを般性習得性好子という。般性習得性好子は特に生得性好子であると錯覚しやすいように思う。1つの社会の中で形成される般性習得性好子は共通性をもちやすい。その社会の文化や習慣、道徳等を強く反映するためである。そのため、ともすれば、ほんらいは習得性好子であるものを生得的好子であると錯覚してしまう恐れがある。

 スキナーは『科学と人間行動』の中で、般性習得性好子でありながら生得性好子のように錯覚されてしまう事例として、「注目」、「承認」、「愛情」、「従順」をあげている。以下の引用部分はいずれも『科学と人間行動』の第5章(原書78頁)から。訳は長谷川による。
  • 注目:
     人々から注目されることが強化的であるのは、それが他の強化を得るための必要条件になっているからである。いっぱんに、注目してくれる人々だけが私たちを強化してくれるのである。特に強化を与えてくれる可能性の高い人々からの注目、つまり両親や先生や恋人からの注目は、特に良好な般性好子である。それゆえ、注目を得るための行動が特に生じやすい。特別の注意をひきつけるための言語反応も多い。“ほらそこ(Look)”、“ごらん(See)”、あるいは名前を呼びかける呼格の用法などがこれにあたる。注目を得るという理由で広く生じやすい特徴的な行動としては、他に、仮病、うるさくする、目立ちたがる(自己顕示癖)をあげることができる。
  • 承認:
     注目だけでは不十分な場合も多い。承認してくれた範囲の行動に限って強化してくれる人も別にいる。となると、その人が示す承認のしるしは何であれ、それだけで強化的になる。微笑みをもたらしたり、“そのとおり”とか“よし”とか、その他、賞賛を示す言語的反応は何であれ強められる。この般性好子は、特に教育場面で、行動を持続させたり作り上げたりする目的で使われる。例えば、子供でも大人でも、正しく話せるように教育する場合、適切な行動が生じたときに、“その通り”という言葉を与える。
  • 愛情:
     さらにもっと強力な般性好子として、愛情がある。これは、一次好子としての性的交渉と特に密接な結びつきがあるだろうが、愛情を示す者は誰でも他の種類の強化も与えてくれるので、その効果は般化する。注目や承認や愛情を定義したり、観察したり、測定したりするのは難しい。それらはモノではなくて、行動の様相である。その物理的特徴の表出は微妙であり、それらを研究対象とする科学者ばかりでなく、それらによって強化される個人にとっても、困難を伴うものである。誰かが注目しているとか、承認しているとか、愛情を示している、といったことが容易に分からなければ、私たちの行動が強化される環境は一貫性を欠くことになる。となれば、行動が弱くなったり、間違った時に生じたりする恐れがある。注目や愛情を得るには何をすればよいのか、あるいはいつそれをすればよいのか、については何も分からない。注目を得ようと躍起になっている子供、愛情のサインを熱望する恋人、プロとしての賞賛を求めている芸術家は、辛抱強く待つ行動を示す。これは6章で論じるように、間歇強化の結果としてのみ、生じるものである。
  • 従順:
     これ以外の般性好子としては、他者への従順があげられる。いろいろな強化を与えるように無理強いさせられると、その人の黙従を示す姿勢は、何であれ般性好子となる。ガキ大将は、相手が臆病な姿勢を示すことで強化される。支配階級に属する者は、敬意を払われることで強化される。威厳や尊敬も、他の人々は特別の振る舞いをすることが保証される限りにおいて般性好子となる。わがままを通し続けるのが強化的であるのは、制御のために制御をするような人々にみられる。注目や承認や愛情が微妙であるのに対して、服従の物理的表出はもっと目立つ。ガキ大将は自分の縄張りにはっきりとした目印をつけることにこだわるだろう。また儀式をとりおこなえば、身分の差や自分への敬愛が強調される。
 次回は般性習得性好子の中でもとくに強い強化力をもつ「お金」、次々回は「所有」の意味について考えてみたい。
【新しく知ったこと】
  •  2/15夜のNHK「クローズアップ現代」はインフルエンザの話題。中高年者に多く、高熱が続き、咳が長引くなんていう特徴は1月下旬にかかった時の症状にそっくりだ。これまでの流行は「A香港型シドニー株」と呼ばれるそうだが、小学生よりも中高年者で抗体が少ないことは昨年秋の時点で分かっていたという。こんなことなら予防注射でも受けておくべきだった。

     番組では、特効薬と言われるアマンタジン(2/10の日記参照)が何故有効なのかについても説明があった。インフルエンザウィルスはいったん細胞に入り込んでから増殖して飛び出す段階で、突起を切り離す必要がある。これに関与するNAのはたらきを阻止するのがアマンタジンということらしい。NAは変異の影響を受けにくいので、流行の型によらずA型ウィルスに有効であると説明されていた。納得納得。2/10の日記でとりあげた副作用については「殆ど無い」という説明だった。
【生活記録】
【スクラップブック(翌日朝まで、“ ”部分は原文そのまま。他は長谷川による要約。【 】部分は簡単なコメント。)】