じぶん更新日記

1997年5月6日開設
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 文法経1号館と2号館の間、自転車置き場前にある花壇。数年前まで、某女性職員が世話をしておられたが異動により後継者がいなくなったが、今でも当時と同じ品種の多年草が花を咲かせている。カラスノエンドウ、ノゲシ、タンポポ、イネ科の雑草などが生えていたので、土曜日の午後に抜き取っておいた。丈夫な多年草なので、水やりが無くても十分に生育できそう。


2015年04月18日(土)



【思ったこと】

スポーツ振興くじ対象競技にプロ野球?/ギャンブルの心理

 4月19日朝のNHKニュースによれば、スポーツ議員連盟の作業チームは、「スポーツ振興くじ」の対象競技にプロ野球を加えるかどうか検討を進めることにしているという。主たる理由は、東京オリンピック・パラリンピックのメイン会場となる国立競技場の改築に必要な財源を確保するためであり、またプロ野球のくじを発売する場合は、八百長につながらないよう、コンピューターが試合の勝敗を無作為に選ぶくじとする方向で、日本野球機構やプロ野球の選手会などと調整したいとしているという。

 スポーツ振興くじについては、これまで などで考えを述べたことがある。ま、東京五輪財源確保という期間限定であれば一時的なブームを呼ぶかもしれないが、長期間実施するという計画であれば、参加者は一部のギャンブル愛好家(もしくはギャンブル依存者)に限られてくるのではないかと思う。

 伝えられたニュースだけでは、「プロ野球くじ」の仕組みはよく分からないが、おそらく、ランダムに選ばれたいくつかの試合について、勝敗や得点差を予想し、それらがすべて的中した時に莫大な賞金を獲得できるような形になるのではないかと思われる。しかし、野球の勝敗は、登板する投手の出来不出来にかなり左右されるし、終盤には消化試合もある。意図的な消化試合と八百長をどう区別するのか議論が出てくるかもしれない。




 ここからはギャンブル一般の話になるが、TverskyとKahnemanのプロスペクト理論では射幸心はどう説明されるのだろうか。よく挙げられる例として、
  1. 確実に100ドルもらえる条件と、コインを投げてオモテなら200ドルだがウラなら0ドルもらえるという条件のどちらを選ぶか?
  2. 確実に100ドル奪われる条件と、コインを投げてオモテなら200ドルだがウラなら0ドル奪われる条件のどちらを選ぶか?
がある。こうした仮想場面について質問調査を行った場合、1.では確実に100ドルもらえる条件、2.では不確実に200ドル奪われる条件のほうが選ばれやすいと言われているが、ギャンブルの場合はこれとは矛盾しており、1.においても「コインを投げてオモテなら200ドルだがウラなら0ドルもらえるという条件」が選ばれることになる。

 こうしたパラドックスは、ギャンブル依存者が、利益獲得ではなく、それまでの損失を回収しようとするために起こると考えられているようだ。つまり、賭けで損を重ねていくと、「ここでギャンブルを止めてしまうと損失が確定してしまう。せめて損失ゼロになるまでは続けたい」という心理がはたらいて泥沼に陥ることになる。素人による投資でありがちなナンピン買いも同様。

 もう1つ、
  • 参加費用が低コスト(例えば、数百円)
  • 賞金金額が莫大(例えば、億単位)
  • かつ当選確率がきわめて低い(例えば、何万分の1)
という条件のもとでは、「確実で少額の利益か、不確実ながら多額の利益か」という選択ではなくて、「ごくわずかな損失で大きな夢の可能性に挑戦するか、一切損失せず大きな夢の可能性をゼロのままにしておくか」という選択になってしまう可能性がある。この場合は、参加費用は損失としては計上されない。依存も無い代わりに、参加規模は小さくなるので建設資金の財源確保には結びつかない。