じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Y.Hasegawa

3月のインデックスへ戻る
最新版へ戻る
[今日の写真] 某所の屋上にあった動物の看板。さて、この建物は何でしょうか? 解答はこの写真をクリックした時に現れる掲示板にどうぞ。(日記本文に多少のヒントがあります)



3月13日(火)

【思ったこと】
_10313(火)[心理]「高齢者介護の実践と行動分析学からの提案」(その2):お年寄りでも周りの人と仲良くする必要があるのだろうか

 3/11に慶應義塾大学(三田)で行われた公開講座参加の感想の続き。特別養護老人ホームの介護施設職員から行われた事例報告の1件目を要約すると.....

◆◆「特定の人に対して繰り返される暴言や暴力の対処」◆◆
  • 60歳代後半の女性。脳性麻痺によつ精神遅滞あり。難聴。
  • 要介護度4。食事は自立。
  • 入所当初から周囲の人達に対する暴言や暴力行為が見られ、現在まで続いている。
  • 趣味・生きがい:旅行(年1回)、外食、売店(週1回)、家族の面会
  • おしぼり丸めやタオルたたみ等を嬉しそうに手伝ってくれる。
  • 食べられない人にも菓子を配る。
  • 周囲の利用者に対して投げかけられる暴言・暴力行為が突発的に出なくなるようにするためにはどうしたらよいか。
  • 本人は優しさのつもりで行動しているのに相手を怒らせてしまうことが少なくない。
  • 自分から相手を遠ざけるような態度が見られる人に対しても仲良しを押しつけるようになってしまって良いのだろうか。

 これに対して、行動分析家の杉山尚子氏からは問題解決のステップとして
  1. 問題状況から問題行動へ:発想の転換
  2. 本当に問題か:行動の測定
  3. 問題行動の原因の解明
  4. 行動をどう変えていくか:方法の選択
  5. 行動改善の実行
という、原則論的なコメントが寄せられた。

 杉山氏は、2番目の「本当に問題か」に関連して、入所者の急激な体重増加が問題化した事例を紹介された。施設職員が車椅子移動の際に「このごろ重くなってた」と実感し問題化したのだが、じつはその入所者の入所時の体重はもっと重く、その後U字型の減少・増加のカーブを辿っていることが分かった。このように、きっちりした測定に基づいて問題を捉え直すと、じつは問題が別のところにあることに気づく場合がある。

 本事例について杉山氏は「問題行動は過去の経験によって知らず知らずに身についていくもの」という原則論から、暴言・暴力行為の原因として「施設職員が対応(=相手をする、かまう)」ことによる強化があるのではないかと示唆されたが、決定的な解決策は提示されなかった。昨日の日記でも指摘したように、データが介護施設職員の言語報告(タイムラダーやケア記録)だけでは、行動分析家も陸の上の河童のようなものだ。得意の「随伴性に基づく分析」といっても推論の域を出ず、原則論や一般的な留意点を訴えるだけに終わってしまってもやむを得ないところがあった。

 発表後にチャンスがあったので、私は、

お年寄りの場合、対人関係の改善はどこまで必要だろうか。

という質問を投げかけてみた。その趣旨は
  • 小中学生の場合は、対人関係を良好に保つように行動改善をはかることはぜひとも必要である。それは、単に同じクラスの児童・生徒に迷惑をかけないためだけでなく、その子どもが将来、社会に出た時にも本人にとってプラスとなるからだ。
  • しかしお年寄りの場合は、「将来、社会に出た時のために必要」という視点は要らない。一人で過ごす場が与えられるならば、協調性は必ずしも要らないのではないか。
  • この人が世話好きであったとしても、例えば園芸や動物の世話をすることで生きがいを見出すことができるはず。
  • 暴言・暴力行為は、他人というオペランダムがあることで発せられる行動だ。オペランダムを無くせば(=不必要な対人接触機会を減らせば)、問題行動も起こらない。
  • 集団行事(合唱、集団遊戯、ゲームなど)に参加しなければならない理由もない。
というものであった。これに対して、別の施設の関係者の方から
  • 近年は、集団行事への画一的な参加を求めるかわりに、「マイペースを保つ」というお年寄りの行動を尊重しようという方向に向かっている。
  • この事例のお年寄りの場合は、対人的な世話や旅行などに生きがいを見出しているので、協調性を高めるための行動改善をめざすことは本人のためにもなるのではないか。
というような意見をいただいた。

 明日以降に続く。
【ちょっと思ったこと】

サッカーくじその後

 昨日の日記に関連して、やましなさんからこちらのサイトを教えていただいた。それによれば、
  • 投票口数は890万7188。投票枚数は146万9911。売り上げ金額は89億71万8800円。
  • 1等の賞金は1億円。当選口数は2口。次回加算金931万8918円。
  • 2等の賞金は81万2929円。当選口数は103口。
  • 3等の賞金は6万320円。当選口数は2082口。


 上記のデータから計算すると、
  • 1等が当たる確率は445万3594分の1。よって期待金額は22.45円。
  • 2等が当たる確率は8万6478分の1。その期待金額は9.4円。
  • 3等が当たる確率は4278万分の1。その期待金額は14円。
となる。期待金額の合計は約46円。次回加算金があるので、結局50円前後ということになるのだろう。

 13試合について「勝ちか負けか」だけの予想であれば、場合の数は2の13乗。よって当選確率は8192分の1になるはず。「引き分け」を考慮に入れた場合は、3の13乗なので159万4323分の1となる。上記の445万3594分の1が、これらいずれの確率よりも小さいのは何らかのバイアスがかかったためだろうか。もっとも当選数が1本になったり3本になったりするのはいくらでもありうるから偶然的変動の範囲と言ったほうがよいかもしれない。

 関連サイトによれば、totoというのは、13試合を1通りに予想する方式のほか、いくつかの試合について、勝ち負けどっちでも当選となるダブル、引き分けを含んで3通りいずれでも当選となるトリプルを指定することができるらしい。もちろん、予想の場合数が増える分だけ、たくさんのお金を払わなければならない。上記のデータから単純平均すると、1枚あたり平均6通り(6口)の複数予想をしていることが分かる。サッカーのことは何も分からないが、一般論として、引き分けになる確率が1/3より遙かに小さいとするならば、引き分けを含まない予想を立てたほうがいくらか得であるような気がする。

 サッカーくじが何度も実施されていくと、人間が行った予想が偶然以上に的中するものであるかどうかが統計的に明らかになってくるだろう。

 各種のギャンブルやくじの中で、宝くじはあくまで「神頼み」。「当たりやすい番号」とか「よく当たる販売所」などというのは統計学的には全くの迷信にすぎない。これに対して、競馬や競輪では、予想技術の向上に伴い一定程度、当選確率を上げることができる。このような能動的な「予想行動」は、部分的に当たるだけで容易に強化される。これは古典的な学習心理学における部分強化効果、あるいは行動分析でいう「変比率強化スケジュール」の特性としてよく知られているところだ。

 本当は当てずっぽうと殆ど変わらない当選確率であっても、自分が能動的に予想しているという選択機会が与えられているとなかなか消去されにくいところがある。そういう意味ではサッカーくじ(スポーツ振興くじ)の愛好者もますます増えていく可能性がある。どうせ今の時代、不確実さという点では、株式だって大して変わるものではなかろうし。

ミールその後

 会議終了後岡大構内からミールを眺めることができた。三島さんの予報より1〜2分遅く、18時33分頃出現、南東の空に消えたのは18時38分頃だった。明るさは木星とほぼ同じ。最高の条件で眺められてラッキーだった。

 岡山では3/14の18時22分頃にもほぼ同じコースを辿るはずだが、日の入りの10分後のため空が明るく、どの程度見えるか不明。


ほっぺたのこぶ

 俳優の宍戸錠氏が、ほっぺたのこぶの切除手術を受け無事成功したという。手術時にはメスが通らないくらい固くなっていたというが、医学的には害のある存在だったのだったのだろうか。人の顔についてあれやこれや言うことは誹謗中傷になりかねないので自粛しておくが、政治家の中にもほっぺたがふくれた方が居る。御本人は同じように気にしておられるのだろうか。
【スクラップブック】