じぶん更新日記

1997年5月6日開設
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 6月9日6月13日の日記に2012年版の「田んぼのパラレルワールド」の写真を掲載した。今回はその夜景バージョン。例によって、上側が「パラレルワールド」、下側がリアルワールドになるように上下を逆にして表示している。

6月18日(月)

【思ったこと】
_c0618(月)マイケル・サンデル5千人の白熱教室 (2)命名権はお金で買えるか?

 昨日の続き。今回から、実際の講義内容についての意見・感想を述べることにする。

 まず、講義の冒頭では「自分の街の命名権はお金で買えるかという議題が提示された。会場ではいろいろな意見が出されたが、原則としてその土地の古くからの呼び名をある程度反映させた上で、住民や都道府県単位で承認されればよいと思う。いずれにせよ、あまり妙な名前にすると必ず反発を食らうものである。2005年頃にも、市町村合併にからんで「中央アルプス市」や「南セントレア市」などの名称が提案されたことがあったが、いずれもご破算になった。仮に企業が宣伝目的のために命名権を獲得したとしても、住民の大半が反発すれば、宣伝効果どころかその企業の悪いイメージが助長されるだけになる。

 そういえば岡山県でも、平成の大合併によって広域の市や町が誕生し、馴染みのある町村の名前(例えば、御津町、建部町、佐伯町、山陽町、赤坂町、熊山町、吉井町、北房町、上斎原村、山手村、清音村、日生町、大佐町、神郷町、哲多町、勝山町、美星町、美甘村、八束村、中和村、作東町、東粟倉村、...。詳しくはこちら)の名前が行政単位としては消えた。行政サービスの効率化と人件費削減が図られるのかもしれないが、合併後の新名称にはなかなかなじめないし、物覚えの悪くなった私には、「鏡野」、「真庭」、「美咲」 などと言われても、いったいどのあたりの地域のことであったか直ちには頭に浮かばないことが多い。命名権が買えるかどうかという議論以前に、こうした合併による名称変更のほうが、問題が大きいように思える。

 余談だが、公共施設などではすでに命名権がお金で買われており、じっさい、私の家のすぐ近くにも、「kankoスタジアム」(略称「カンスタ」)というのがある。ウィキペディア該当項目にも記されているように、もともとこのスタディアムは「桃太郎スタジアム(ももたろうスタジアム)」としう愛称で親しまれてきたが、2010年3月1日より「カンコー学生服」をブランドとする尾崎商事の命名権取得(5年契約、年間1,000万円)によりkankoスタジアム(カンコースタジアム)へ改称された。私個人としては、無節操に「桃太カ」をつけたがる風潮には少々反発していたこともあり、「カンスタ」という呼び名にはあまり抵抗感が無い。但し、我が家では学生服を必要とする子どもが居ないので、いくら宣伝されたところで、「カンコー学生服」を買いに行くことは絶対にあり得ない。ま、あのスタジアムは中高生の大会がしばしば開かれているようなので、購買層にとっては宣伝効果があるのかもしれない。

 講義ではさらに、「個人の名前についての命名権」をお金で買えるかというような議論もあったがそもそも、戸籍上の名前は、本人であってもよほどの事情が無ければ変更が認められない。もし自由に変えることができるようになってしまったら、誰がどこに居るのかさえ分からなくなる。もっとも、私個人は、脱アイデンティティの考えを持っているので、法的な問題さえクリアされ、かつ自分が嫌でない名前なら、100万円貰って「長谷川マクドナルド」でも「長谷川マスターカード」に改名しても別段どうということはない(←悪徳企業の名前や商品名であったら何兆円貰っても改名には同意しないが)。また私は無神論であるからして、私の戒名を買ってくれる企業があるなら「永谷園トヨタパナソニック居士」というような戒名にしても別段どうということはない。もっとも、そういう戒名がお墓に刻まれることが当該企業の宣伝になるかどうかは甚だ疑わしいけれど。

 次回に続く。