じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典

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[今日の写真] 文学部西側のチューリップ。昨年4月10日の日記に同じ場所からの写真があり、そこからはさらに2000年4月12日の写真がリンクされている。ということは、同じ球根が5年以上花を咲かせていることになる。
なお、多少景色が変わったことと言えば、右側の木立性のローズマリーが大株になったこと。次第にテリトリーを広げつつある。


4月13日(日)

【ちょっと思ったこと】

マツイ報道と「プロ野球は面白い」という昔・阪神ファン

 夕食時にプロ野球の阪神・巨人戦を観た。昔・阪神ファンということもあり、2勝1分でまことにすがすがしい気分で翌朝を迎えた。

 それにしても、NHKのスポーツコーナーでのマツイ偏重には目に余るところがある。確かにマツイはスゴイ。あれだけ騒がれる中で、満塁ホームラン、猛打賞、サヨナラ打など、ちゃんと期待に応えてくれるのはさすが怪物ゴジラだと思う。しかし、だからと言って、2度目の無安打まで大々的に伝えなくてもよかろう。

 「マツイ」報道の一番の問題点は、野球の本当の醍醐味であるチームとしての活躍に目を向けず、もっぱら一個人の振る舞いだけに関心を集めさせてしまうことだろう。もしそれだけで職業野球の人気を保てるならば、大相撲の土俵のように投手と打者が一対一で対決し、何回ヒットを打ったか(何回、アウトをとったか)だけで、星取り表をつくって個人で優勝を争い、横綱や大関の番付を決めればよい。

 もう1つ、上にも書いたように、1つの球団を応援し続けるというのは、悲喜こもごも、それ自体思い出となるものだ。マツイ報道の場合は、チームの勝利などどうでもよく、要するにマツイが出たかどうか、どう活躍したかどうか、それだけしか関心が向けられない。(今のマツイの実力からすればありえないことだろうが)もしもマツイの出番が無くなってしまった時には、大リーグそのものへの関心も薄れてしまうことになりかねない気がする。

【思ったこと】
_30413(日)[心理]質的分析と行動分析(7)面接法と行動分析

 今回は、観察法とともに質的研究で重視されている面接法について、行動分析との関係を考えてみよう。

 まず中澤 (2000、『調査的面接法の概観.』[保坂・中澤・大野木 (編).心理学マニュアル 面接法. 北大路書房.])は、面接法(interview method)を
面接とは,人が直接に顔(面)を接しあいながら互いの理解を図ろうとすることをいう[interview]という英語も相互に(inter)見る(view)という語から構成されている〕。
と定義している。面接法は調査的面接と臨床的面接に大別されるが、本稿に関わるのは前者のみである。

 中澤 (2000)は、調査的面接法の特徴として以下の点を挙げている[長谷川による要約]。
  1. 研究仮説の検証あるいは仮説の生成を目的とし,調査者が与える質問への応答を通して,被調査者の意見や思考に関する質的データ,量的データを得ようとする研究方法
  2. 調査者の問題意識のもとでデータ収集が行なわれる実験法や,検査法,質問紙法,観察法とその目的は同じである。
  3. 調査者が,直接に被調査者と言語を中心とした相互作用をすることにある。話し方や表情・動作など,直接接することによって初めて得られる多様な情報をもとに,質問紙法などではとらえられない深い人間理解ができる。
  4. 観察法などでは知り得ない,被調査者の心内過程を直接明らかにできる。*2
  5. 実験法や検査法では許されない手続きの柔軟さがあり,被調査者にとって自然で制約が少ないという特徴をもつ。

 また、環境ボランティアを調査した安藤(2002、『環境ボランティアは自己犠牲的か〜活動参加への動機づけ』、質的心理学研究, 1, 129-142.)は聞き取り調査のメリットについて次のように述べている。
【質問紙調査に基づく数量的分析では】参加者にとって何が参加のメリットとして認知されているかの内容については十分に明らかになっていない。.....聞き取り調査では,質問紙調査に比べて対象者の数が少なくなり,かつデータの解釈が恣意的になるとの批判がされやすい。しかし,質問紙調査ではあくまで調査者が何らかの予想を持って質問項目を組み立てるため,その枠外の結果を得ることは難しい。環境運動への参加のように,従来の合理的行為の枠組みではとらえられない行動の場合には,直接対象者から聞き取りを行うことで,その枠組みを超えた新たな知見を得られる可能性がある。また,人数が少ないとはいえ一人の対象者から得ることのできるデータは,聞き取り調査の方が量的にも質的にも質問紙データよりも豊かである。


 行動分析学の研究では、一般に、単一事例実験が行われることが多い(Barlow & Hersen, 1984参照)。単一事例実験では、少数の人間や動物を被験者(被験体)とし、個体内比較により介入の効果が確認されていく。この単一事例実験と、平均値などの条件差を群間で比較する集団実験と比較で指摘されるメリット、デメリットは、安藤(2002)が挙げた質問紙調査と面接調査のメリット、デメリットによく似ているところがある。

 面接法と関わりの深い言語報告についての考えは、次回以降に述べる。