じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典

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[今日の写真] 四国・剣山頂上近くにある御神水。百名水の1つに数えられており、確かにおいしい。「若返りの水」とも言われているそうだが、果たして若返れただろうか。右後ろのとがった岩は大剣。ちなみに、剣山の山名は、祖谷に逃れた安徳天皇が剣を納めたという説のほか、この大剣の巨岩の影に由来するという説があるという。なお、すぐ隣の次郎笈(ジロウギュウ)に対して太郎笈と呼ばれたこともあったとか。





10月24日(木)

【ちょっと思ったこと】

永住帰国についての疑問

 各種報道によれば、政府は24日、北朝鮮に拉致され、現在日本に帰国中の5人について、本人の意向にかかわらず、北朝鮮には戻さず、このまま日本に永住させた上で、北朝鮮に残した家族の早期帰国を要求する方針を決めた。この方針について、小泉首相は「ご家族の意向と、...あと総合的に事情を勘案しました」と答えておられたが、これでは「本人や北朝鮮に残された家族よりも、日本国内の親や兄弟の意向を優先した」というようにも受け取られかねない。原則論と人道上の配慮、本人や家族の人権をもう少し整理して表明すべきであると思った。

 政府が「拉致被害者本人がイヤだと言っても北朝鮮には戻さない」と決めたのは、国交正常化交渉で交渉カードを与えてしまいたくないという本音があるためだろうが、原則論としては、おそらく、拉致という違法な手段によって外国に移住させられた日本人が居れば、国家として原状復帰の措置をとるのが当然という主張に基づくものと思う[10/4の日記参照]。したがって、被害者や北朝鮮の家族に対しては、「日本人なんだから政府の方針に従って」(中山参与)で滞在をお願いすることになるが、仮に、本人が従わなかったとしても、邦人保護の名目で方針を貫くことになると思われる。

 政府の方針にしっくりしない点を感じるのは、原則論だけを貫くべきところに、「家族(日本国内の親兄弟)の希望を重視して」といった感情論を付加したためである。「家族が望んでいるから政府もそれを受け入れた」というロジックを持ち込むのであれば、それよりも何よりも、「被害者本人や、北朝鮮に残された被害者自身の子どもたちや配偶者の意向を尊重すべきだ」というロジックのほうを遙かに優先すべきであろう。24年間にわたる家族の苦しみには第三者には計り知れぬ重みがあることは承知しているが、被害者本人や配偶者その子どもたちは日本国内の家族の持ち物ではない。小さい子供なら親権発動ということもあるが、いくら両親・兄弟であっても、本人の意志を無視して移住の自由を拘束することはできないはずだ。

 もう1つよく分からないのだが、現在帰国中の拉致被害者たちの「日本国民としての権利」はどう保障されているのだろうか。犯罪者など特殊な事情が無い限り、すべての日本人には、海外を自由に旅行し、本人が希望すれば外国に永住する権利が与えられているはずである。とすると、政府の方針として「永住帰国」(←これってホンマに法律用語?)を決めたとしても、被害者たちが彼らの自由意志により再度、国外に出国し、結果的に北朝鮮の旧居に戻ってしまった場合には、もはや、帰国を命じることはできないのではないかと思ってみたりする。もっとも、この裏技を使えば、本人や配偶者や子どもたちが日本への永住帰国を拒んだ場合、いったん帰国を実現した上で、本人たちの自由意志により出国という手続を踏めば、もはや日本国の主権が侵害されたことにはならず、また本人たちの自己責任に基づく出国が外交カードに利用されることもなくなるかもしれぬ。

 最後に、10/4の日記でちょっと触れたマインドコントロールについて。帰国中の拉致被害者たちは、24年間にわたり、強制収容所で洗脳され強制労働を強いられてきたわけでは決してない。おそらく、本人たちは、強制ではなくあたかも自分の自由な判断で思想を形成していったと考えているだろう。しかし、これは、カルト宗教団体の合宿セミナーを見ればわかる通り、隔離と情報操作によるマインドコントロールを受けているものと判断される。そういう意味では、現時点での「本人の意志」が今後も同じであるという保証はない。日本で生活し、北朝鮮国内に居るときには伝えられなかった諸々の情報に接すれば、おそらくお考えも変わってくるものと思う。もっともあまりにもいっぺんに情報の洪水にさらされたり、本人にショックとなるような事実を次々と知らされると、計り知れないダメージを受けることだってある。被害者たちが生き延びた24年間の努力が無に帰すことのないような十分な橋渡し、また、被害者たちが身につけたスキルが能動的に活かせるような生活の場を確保することが何よりも求められているように思う。



点字ブロックは岡山発祥

 10/25朝6時台のNHKニュースによれば、点字ブロックは昭和42年、岡山県の三宅さんという方が発案、全国に広まったという。岡山が発祥の地であるとは知らなかった。もっとも歴史が古いだけに、JIS規格に統一される前のいろいろなタイプのブロックが混在している。JIS規格への統一には法的義務が無いこと、ブロック自体に耐久性がありなかなか取り替えられないことから、凹凸の少ないブロックが残るなど、他県よりも不便な箇所が多いそうだ。

 点字ブロックについては、昨年6月24日の日記で、「シドニーを含め、日本のような点字ブロックは、シドニーのモノレールホームを除き全く見かけなかった。」と書いたことがあった。その時は理由を訊くのを忘れたが、日本国内を含めて、確か、一部には、点字ブロックの弊害を唱える議論もあったと記憶している。




モスクワの聖徳太子

 モスクワ中心部の文化宮殿劇場にチェチェンの独立を求める武装集団が突入し、10/25朝の時点でなお600人以上の人質をとって立てこもっているという。犯行グループの約半数は、ロシア連邦軍との戦闘で死亡したチェチェン兵士の残された妻たちであるというから、決死の覚悟なのだろう。最悪の事態にならぬよう祈るばかりだ。

 ところで、このような緊急事態にこんなことを言うのは不謹慎かもしれぬが、NHKのニュースの時に現地の様子を報告している石川○洋氏は、日本人としては一風変わったご様子である。聖徳太子を連想させるような髭をたくわえておらるので、事件そのものよりも、石川氏のお顔のほうでドキッとしてしまう。アナウンサーの場合と違って、海外駐在員の場合は、髪型や髭などについてはそれだけ自由度が高いということかもしれない。