じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典

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[今日の写真] 白蝶(ハクチョウ)草。ルドベキアの群落の上を舞うように咲いている。左側は文学部。





6月26日(水)

【ちょっと思ったこと】

「いつまでも母らしく」その後

 昼食時に視た「にんげんゆうゆう」で、今年の1月18日に「ふるさと発ドキュメント:いつまでも母らしく」で紹介された、北九州若松区のグループホーム「やまびこ」(代表:田中秋子さん)の映像を再放送していた[1/18の日記参照]。

 映像は全く同一であったが、NHK北九州の高下知子ディレクターからより詳しい情報を聞くことができた。ちなみに、この種のグループホームは全国で2000しかないが、中学校区単位で1つ、全国で1万必要であるという。

 雪の中でも防寒具を着て外出するTさん(96歳)の元気な様子が印象的であったが、高下ディレクターによれば、残念ながら4月に脳梗塞でお亡くなりになったという。ホーム内で家族に看取られながらの死だったという。これからの取材では、比較的元気なお年寄りの生活の様子ばかりでなく、必然的にやってくる死に至る過程も描いていく必要があると思う。プライバシーなど、難しい問題はあるだろうが.....。

 余談だが、NHKの福祉番組ではなぜか福岡県内の取材が多いように思う。それだけ優秀な制作スタッフを揃えているということなのだろうか。




ブラジルの国旗の謎

 サッカー・ワールドカップの準決勝「ブラジルvsトルコ」戦の最後の10分間ほどを観戦した。決勝に進んだブラジルの国旗について調べてみた。

 6/7の日記でとりあげたアフリカ諸国の一部の国旗と異なり、ブラジルの国旗は、熟知度も識別度もTop5に入るのではないかと思われるくらいによく知られている図柄だ。万国旗もブラジルの国旗が入って初めて国際的なイメージが出てくる。

 しかし、その国旗の図柄を正確に描ける日本人は殆ど居ないのではないだろうか。『世界の国旗』(森重民造、偕成社)で調べたところ、国旗は緑の背景に黄色の菱形、さらに青の円から構成されている。青の円は天体であり、星は首都と州の数で23個。また、天体の帯には「秩序と進歩」と描かれているという。

 この星の配置だが、中央は南十字星そっくりになっており、南天の星図で調べたところでは、その左はケンタウルス座、下はハエ座、右は竜骨座と帆座の一部の星がつらなっているように見えるのだが、じっさいとは微妙に違っている。
  • 南十字の5番目の星は十字の中心の右下に位置するはずだが(オーストラリアの国旗参照)、ブラジルの国旗では左下にある。
  • ケンタウルス座の位置がかなり違っている
などなど。

 いずれにせよ、23個の星を正確に配置するには、位置関係を定めた原版が必要であろう。誰が作成し、どこに保管されているのだろうか。どなたかお教えいただければ幸いです。

 なお、ランダムハウス英語辞典によれば、ブラジルという国名はポルトガル語の「terra de brasil[ブラジルスオウ(赤い染料木)の生える土地」の省略形]」に由来するという。つまり「ブラジル」という名前の木が生えているはずなんだが、花屋や植物園でそういった名前の木を見かけたことがない。サッカーブームにあやかって「ブラジルの木」を売り出せばさぞかし儲かると思うのだが...。

6/27追記]
  • ブラジル大使館公式サイトには、国旗の図柄についての説明はとくに無いようだった。
  • 「国旗のデザインに登場する天体」というサイトに
    ...旗に描かれた星の配置と南天の星図を照らし合わせてみても,どうも合いません。調べてみると,天球儀(地球儀のように星座を球にえがいたもの)を外側から見て描いたため,左右が逆になっているのでした。....
    と記されていた。南十字星の配置はこれで説明がつくが、左右を逆にすると、ケンタウルスと竜骨の位置関係がおかしくなる。
  • ★レッズサポならポルトガル語を覚えよう!★というサイトには、
    星の数は当初21個で、これはリオ・デ・ジャネイロからみた共和制の制定日(1889年11月15日)の8時30分に見えた星の位置を示していたが、現在は連邦区と全ての州を表す27個の星で描かれていて、その星の一つひとつがどの州(および連邦区)を表すのか決められている。
    と記されていたが、いくら歳差や恒星自体の移動があるとはいえ、1889年当時にあのような配置にあるとは考えにくい。どっちにしても、州や連邦区が増えれば、実際に存在しない星を追加せざるをえないのだろう。


6/28さらに追記]

掲示板にてさらに詳しい情報をいただいた。どうもありがとうございます。
  • hariさんより:ブラジル国旗の歴史、それぞれの星の意味などについてはこちらに非常に詳しい解説があります。各州と星との対応も分かるようになっています。オススメ。
  • さらささんより:国名の由来について情報をいただきました。以下、転載させていただきます(一部略、改行位置は長谷川のほうで改変)
    ブラジルスオウ(学名Caesalpina Sapan)は、インド、中国、日本に生息するマメ科植物で、髄の配糖体に水に非常に溶解しやすい赤い色素を持っており、10世紀にアラビア商人によってヨーロッパにもたらされて以来赤の染料として用いられ、13世紀には優れた赤色染料として完全に定着していたそうです。その赤さゆえに、イタリアでは赤い木legno rossoと呼ばれたそうです。また真っ赤な炭火を意味するbragiaとも呼ばれ、その言葉がなまって、brasa lignum brasile あるいはverzino(イタリア語でブラジルスオウの意)などの名前で呼ばれるようになったそうです。1500年にペドロ・アルヴァレス・カブラルがこの地を発見した際、大量のCaesalpina Sapanに似た植物を発見し、「verzinの土地」と呼称したことがその由来なんだそうです。( 伊藤亜紀『色彩の回廊』ありな書房 2002 pp.33-34 )