じぶん更新日記1997年5月6日開設Y.Hasegawa |
農学部農場の梅。2/10の日記で紹介した梅に比べるとポピュラーな品種。 |
【思ったこと】 _10215(木)[心理]今年の卒論・修論から(9)コンピューターを介したコミュニケーション(3)会ったことの無い人とのEメイルのやりとりがもたらす印象形成 2/14の日記の続き。今回の卒論では、もう一篇、CMC(Computer-Mediated Communication)上での印象の変化及びそれに影響を与える要因について実験的に検討した研究があった。原文では、「CMC上での.....」となっているが実際に検討されたのはEメイル交換であった。 執筆者によれば、CMCについては、否定的側面を強調する立場と肯定的側面を強調する立場があるという。それぞれの論点は次のように要約できる。
その結果、
この研究は、予備調査、実験の遂行からと結果の解釈に至るまでの流れがきっちりとしており、卒論研究としては十分な水準にあるかと思った。しかし、昨年同時期に私が指摘したいくつかの問題点(2000年2月19日の日記およびその翌日の2000年2月20日の日記)は基本的に克服されていない。「一対一のメイル交換とし、期間を1ヶ月間とした点」にどれだけのオリジナリティがあるのか、単なる焼き直しに過ぎないのではないかという不満が残る。具体的には以下のような問題点を挙げることができる。
さて、ここからは一般的な話題となるが、この種の実験で注意しなければならないのは、 Eメイルを実験に使ったからといって、Eメイルのことを調べたとは直ちには言えない。という点だ。 分かりやすく説明するために別の例を挙げるならば、 ある温泉が健康によいかどうかを調べるために、福祉施設で生活している高齢者20人を2群に分け、実験群は毎日マイクロバスで温泉まで送迎、対照群はそのまま施設内にとどまる。という群間比較を行ったとしよう。この場合、実験群のほうで健康状態に改善が見られたとしても、直ちに温泉そのものが有効であったとは言い難い。道中の景色やマイクロバス内での交流が効果をもたらしたとも考えられるからである。 要するに、ひとくちに「CMC(Computer-Mediated Communication)上での印象の変化及びそれに影響を与える要因」と言っても、CMCのどの特性(要因)が効果を及ぼしていたのかが同定できなければ、分析としては不十分であるという点だ。例えば、メモ用紙に書かれたメッセージを交換した場合でもCMC実験と同じ効果が生じるとするならば、CMCを検討したことにはならないのだ。2/12の日記で指摘した「CMCはその内容自体が時代とともに変わる」という点を考え合わせるならば、群間比較の実験的方法で明らかにできる点はかなり制限されてくるように思う。となれば、必ずしも実験的方法にこだわることは無い。Eメイル交換あるいはCMCに参加する行動がどう強化されていったのか、それが日常生活の種々の行動にどういう影響を与えていったのかを、個々のケースについてシステマティックに観察していく方法のほうがむしろ得るところが大きいのではないかと思う。 余談だが、Eメイルと言えば、Web日記書きがしばしば設置している「空メイルボタン」などはなかなか面白い研究対象だと思う。来年度あたり、これをテーマにした卒論研究が出てくることに期待したい。 |
【ちょっと思ったこと】
インフルエンザ激減 厚生労働省のまとめによると、昨年10月末から2月上旬までにインフルエンザ様の症状で学校(中学まで)を休んだ子どもは4271年で、昨年同期の1/45。原因としては、
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