じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Y.Hasegawa


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[今日の写真] カシュガルで見た面白い看板(その2)。『新明解』では「女装」は「男が女の服装をすること」という意味になっているが、カシュガルにそういう人たちがたくさん居るとも思えない。これはやはり、女性の服を売っている店なのだろう。



9月14日(木)

【思ったこと】
_00914(木)[日記]入院して感じた執筆量の限界

 入院生活もまもなく4週間を迎えようとしているが、本日やっとギブスが短くなり、室内を歩き回る程度であれば体重をかけてもよろしいという状況になった。多少気になるのは、足の甲全体が未だ腫れ上がっていること、それと、傷口一帯の皮膚の触覚が戻らず、触ってもまるで麻酔をかけたような感触しか伝わってこないこと。思ったより傷が深かったようだ。これは完全には回復しないかもしれない。ともかく移動および椅子に座って仕事のできる可能性が高まったことで、来週月曜日には退院できる見込みとなった。但し、職務復帰後も18時から19時の間にリハビリに通うことになるので、従来この時間帯にやっていた日記読みは、当分の間は週2〜3回程度のペースにならざるを得ないのではないかと思う。

 8/24の日記にも書いたように、今回の入院は私にとっては必ずしも不自由な生活ではなかった。難病や内科系の全身疾患で入院されている方々にはまことに申し訳ない感想になってしまうけれど、自分の研究を進める上で入院がダメージになったかと言えば全く正反対。その理由は
  1. 診察やリハビリの時間を除き、朝起きてから寝るまでのすべての時間を執筆と読書に充てることができる。
  2. 「入院」を理由に長時間の会議に拘束されることがない。
  3. 室内の掃除は看護婦さん任せ、食事も時間通りにちゃんと運んでくれる。
  4. 畑仕事や花壇の水やりができない分、研究に充てられる時間が増える。
もちろん、移動が困難であるため、学会年次大会に参加できないなどのデメリットもあった。また、病院である以上は当然のことと言えるが、プライバシーは必ずしも保たれない。毎日定時になると看護婦さんが血圧、脈拍、体温を測りに来る。その際にはウンチとシッコの回数も聞かれる。このほか、一度しか目が覚めていないが、深夜にも見回りで寝姿をチェックされている模様だ。もっとも、人に隠すようなこともしていないので、別段苦になるわけではない。余談だが、毎日の測定のおかげで、私の血圧は、高100、低60、脈拍60、体温36.0〜36.4度でほぼ安定していることが判明した。

 さて、「朝起きてから寝るまでのすべての時間を執筆と読書に充てることができる」とは書いたが、8/28の日記に記したように、「時間が余るほどある」というのは全くの錯覚であることを身にしみて感じている。
  • 9/4から書き始めた原稿の総執筆量は、一太郎文書で約27万バイト。シートを多用しているのでテキストベースでのサイズは今ひとつ分からないが、別文書を使ってテキスト保存/一太郎文書保存のファイルサイズの比率を調べたところ6144/22528となっていた。そこから推定すると、テキストベースではおおむね73000バイト、文字数にして37000文字、400字詰め原稿用紙で一日あたり9枚というのがどうやら私の限界のようだ。
  • いっぽう9/1から9/13までのWeb日記執筆量はタグ付きで、98000バイト。本年元旦から8月末までの日記本文の累積ファイルについて、(タグ付き/タグなし)の比率を計算してみると、1065834/1408542となるのでこの比率で換算してみると、1日あたり5700バイト、400字詰め原稿用紙で一日あたり7枚程度になるようだ。
  • このほか、入院中ということもあって、学内向けの報告書やメイルを何通も書いた。8/22から9/13までの23日分の総執筆量はテキストベースで44000バイト。400字詰め原稿用紙で一日あたり2.4枚となる。
 上のデータをご覧になって、「Web日記を7枚書くぐらいだったら、原稿を16枚書け」と言われる方もあるのではないかと思うが、これはなかなか難しい。日記のほうは、手元の新聞記事や本数冊だけをネタに、その日に書きたいと思ったことだけを書くので1時間もあれば充分。原稿のほうはいちいち調べものをしながら書いていくし、気に入らないところは削除したりするので、日によっては執筆量が全く増えないこともあるからだ。

 という言い訳はさておき、とにかく、上のデータは「朝起きてから寝るまでのすべての時間を執筆と読書に充てることができる」という最良の条件のもとでの限界値であると言える。書く内容にもよるが、年を取っていくなかで私のproductivityがこれ以上に増えることは無いと思う。ということは、例えば本文316頁、1頁あたり40字×16行=640文字の『自由論』(内山節)と同じ分量の本(400字詰め原稿用紙で500枚)を書こうと思ったら、(調査や文献収集、文献読みを含めない)執筆日数だけで最低2カ月の山籠もりが必要ということになる。こうして見ると、一生のうちに何十冊もの全集を出すなどというのは私には到底真似ができない、ということがつくづく分かった。ま、Web日記全集でよかったらすでに10〜20冊分ができあがっているのだが、こんなもの買ってまで読もうなどという奇特な方はまずおられまい。
【ちょっと思ったこと】
  • 9/15午前のNHK総合で、琉球ガラス作家の稲嶺成吉さんの仕事ぶりをちょっとだけ拝見。コーラなどの瓶から沖縄の海を象徴する瑠璃色の器を作る技はまことに素晴らしい。
    ※[9/16追記]この日記をアップした時点で、稲嶺様のお名前に「さん」をつけるのを忘れて呼び捨てにしてしまいました。たいへん失礼いたしました。
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