じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
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 10月17日の夕刻はよく晴れて、南西の空に月齢2.7の月が輝いていた。10月15日にはアメリカ方面で金環日食があったが、月が特別の位置にあるというわけでもなさそう。
 この月はその後、旧京山タワーの方角に沈んでいったが、霞の影響で次第に光を失い、月の入りより前に見えなくなっていった。


2023年10月18日(水)



【連載】笑わない数学(3)コラッツ予想(4)逆算ですべての自然数を作れるか?

 昨日に続いて、10月11日にNHK総合で初回放送された、『笑わない数学 シーズン2』:

コラッツ予想

についてのメモと感想。

 まず前回のところでループ(循環)の話題を取り上げたが、2月23日の日記に記したように、コラッツ予想の操作を「奇数であればq倍して1を足す。2で割れるだけ割る」というように拡張した場合、qの値によって循環したり、発散したり【←計算の途中でオーバーフローしてしまうという意味。無限に発散していくのかどうかは不明】するケースがあることが確認されている。リンク先にあるように、これらの計算はどうやら愛知県立豊田西高等学校の自由研究として行われたものであり、例えば、q=5の場合、つまり「奇数であれば5倍して1を足す。2で割れるだけ割る」という操作を繰り返した場合、
  • 初期値が13や33は、13でループする
    (13→66→33→166→83→416→208→104→52→26→13→以下は13のループ)
    (33→166→83→416→208→104→52→26→13→以下は13のループ)
  • 初期値が17や43は、17でループする
    (17→86→43→216→108→54→27→136→68→34→17)
    (43→216→108→54→27→136→68→34→17) ※17のループの一部
というようになる。但しqがどんな数でもループするかどうかは不明で、例えばq=7のばあい、つまり「奇数であれば7倍して1を足す。2で割れるだけ割る」という操作では、最終的に1になるか、「オーバーフローしてしまう」かの2通りとなっている。但しこれらはあくまで、パソコンで計算可能な範囲からの予想である。いずれにせよ、qがどのような値の時にループが発生するのか、またq=3、つまり当初のコラッツ予想の操作ではループが発生しないということが証明できれば、大きな前進となるはずだ【←あとは、コラッツ予想の操作を繰り返せばいずれ元の数より小さくなることを証明すればよいはず】。




 さて、昨日挙げたもう1つの有力なアプローチは、

【逆算によりすべての自然数が生成できることの証明】「2nをかけた数(nは自然数)から1を引いて3で割る。但し割り切れない時は除外する」という操作を繰り返せば、任意の自然数を作ることができる。

というものである。例えば「5」という数にコラッツ予想の操作を適用すると、

5→16→8→4→2→1

となるが、これを逆算すると、

5=(24-1)/3

ということになる。元の操作と逆算は1対1に対応しているので(たぶん)、これは、

●「5」という数は、(24-1)/3 によって作られる

ということを意味している。同様に「3」という数は、

3→10→5→16→8→4→2→1

となるので、これを逆算すると、

3=(5×2-1)/3={(24-1}/3×21-1}/3

というようになる。もしすべての数についてコラッツ予想が成り立つのであれば、

●すべての自然数は、2のべき乗の積と、1を引く操作と、3で割る操作をセットにした「コラッツ操作」の繰り返しにより生成できる。

となるはずだ。また、もし予想に反してそのような操作では生成できない数が見つかったとしたらこれはスゴいことになる。
 さらに興味深いことは、上記のような数の生成にはいろいろなパターンがあり、分類ができるのではないかということだ。
  • 上述の「3と5」について言えば、まず先に「5」が生成され、そこから「2倍して1を引いて3で割る」という操作により「3」が生成される。つまり「5」は「3」の先祖となる。
  • 「7」は、7→11→17→13→5となるので逆算すると5に達してあとは上記と同じツリーになる。つまり「5」は「7」の「先祖」である。但し上記の「3」では「5を2倍して1を引いて3で割る」という操作で「3」が生成されたのに対して、「7」の生成プロセスでは「5を23倍して1を引いて3で割る」という操作でまず「13」を作る必要がある。そこからさらに「17」や「11」を作る必要がある。つまり、「7」の親は「11」、その親は「17」、さらにその親は「13」、...というようにツリーができあがる。

 こうしたツリーは今回の放送の中でも背景として描かれていたので、当初から何か意味があるものとして検討されてきたようだ。素数や合成数という概念とは全く別の分類でもり、自然数の何らかの特徴を反映しているようにも思えるのだが、これ以上のことは分からない。但し、こうした数のツリー化が体系化できるのであれば、コラッツ予想は単なる自己完結的なパズルではなく、フェルマーの最終定理やABC予想、ゴールドバッハ予想などを含めた新しい整数論を構築できるような気もする。