じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
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津山線の踏切で、津山方面に向かう『SAKU美SAKU楽』【快速列車に連結して運行】を見かけた。『SAKU美SAKU楽』は昨年7月に登場したため、まだ桜の季節には一度も運行していない。こちらの情報によれば、3月31日(金)、4月1日(土)、2日(日)、7日(金)、8日(土)、9日(日)には、津山駅を最寄とする鶴山公園で開催される、「津山さくらまつり」にあわせ、夜のお花見をお楽しみいた だくのに便利な「SAKU美SAKU楽 夜桜号」が運転されるとのこと。もっとも、津山駅に17時25分着、津山を20時31分発という運転時刻にあるとすると、津山駅〜鶴山公園まで片道30分ほどかかることを考慮すると、実質の夜桜見物は2時間程度となり、かなり慌ただしい日帰り旅行になりそうだ。

2023年3月12日(日)



【連載】チコちゃんに叱られる! 『車掌さんの鼻腔共鳴アナウンス』『緊急地震速報のアラーム音』

 3月10日(金)に初回放送された表記の番組についての感想・考察。この日は、
  1. 車掌さんはなぜあのしゃべり方?
  2. 携帯電話の緊急地震速報はなぜあの音?
  3. CO2削減のコーナー『NHKアーカイブス劇場』。大蛇まつり、けんかまつり、化けものまつりの紹介
  4. 紙の大きさにAとBがあるのはなぜ?
  5. ひだまりの縁側で…お好み焼きの切り方
という5つの話題が取り上げられた。本日はこのうちの1.と2.について考察する。

 まず1.の「あの喋り方」というのは、鼻声みたいなちょっと変わった喋り方のことで、私も聞き覚えがある。といっても最近は滅多に電車に乗らないし、停車駅などの車内放送は殆どが自動音声となっているため、本当に車掌さんがそのような喋り方をしているのかどうかはよく分からない。
 放送によれば、車内放送が広く普及したのは約70年前、1951年に発生した列車火災事故がきっかけとなった。当時は、乗客を安全に避難誘導するための車内放送装置が設置されていなかった。1960年代になるとその装置が配備され、緊急時だけでなく停車駅の案内にも使用されるようになった。しかし普通の声でアナウンスしても、走行中の騒音で聞き取りにくい。そんななかで鼻にかかったような喋り方が生まれた。この喋り方は「鼻腔共鳴」と言われている。普通の喋り方と走行中の騒音は周波数の分布が重なってしまうため聞き取りにくいが、鼻腔共鳴の喋り方では、騒音とは異なる周波数のところに音量のピークの1つがあり、騒音に埋もれずに際立って聞こえるとのことであった。
 もっとも、鉄道会社52社を調査した限りでは、鼻腔共鳴を指導している会社はゼロであった。鉄道会社の接客マニュアル(愛知環状鉄道)には、車内放送のポイントがいくつか挙げられているが、その中では

独特な抑揚や言い回し、話し癖を出さない。 ×「え〜」「え」が頻繁に入る。 ×抑揚をつけ過ぎる

といった規定がある。車内放送装置の性能向上によりわざわざ鼻腔共鳴の喋り方をする必要がなくなり、以前よりは減っていると説明された。




 次の「携帯電話の緊急地震速報」の音だが、私自身はそもそもそういう音を聞いたことが一度も無かった。いま使っているスマホでも音は出るはずだが、一度も聞いたことがない。これは、岡山では地震が少ないということのほか、ふだん私は外出時以外にはスマホの電源を切っているためではないかと思う。放送で実際に流された音は、ラジオの雑音の音量を急に上げたような音に聞こえた。

 放送によれば、緊急地震速報システムは阪神淡路大震災をきっかけとして2003年頃から開発が進められ、2007年12月から携帯電話にも取り入れられるようになった。このアラーム音を開発したのは環境音楽家の小久保隆。小久保さんは、大きな商業施設内で流れる環境音楽を初め、坂本龍一さんと一緒に手がけたゲーム音楽、さらに電子マネーの決済音などの作品がある。大手電話会社の執行役員が小久保さんのコアなファンだったこともあり、小久保さんは2005年頃から携帯電話の楽曲の仕事を受注していた。その流れの中で緊急地震速報のアラーム音の依頼もあったという。
 小久保さんは「危機意識を持てる音」、「脳のスイッチを切り替えられる音」に留意し、
  1. スウィープ音。五線譜で表される音ではなく、低音から高音(または、高音から低音)へ短時間で変化する音。救急車のサイレンなど。日常的に耳にしないスウィープ音のほうが脳の反応が早い。
  2. 伝わりやすい周波数。携帯電話やスマホはカバンやポケットにしまっている場合が多いので、緊急地震速報は布などを通して聞くことが多い。また携帯電話のスピーカーには、機種によって出にくい音もある。そこですべての周波数を持つ音にする必要がある。
  3. 3回の連続音。「3回」は心理的にも特別な意味がある。トイレドアのノックは2回が一般的。3回ノックすると「何だろう?」という印象を与える。緊急を要する時は3回の連続音が有効。
ということで、「携帯電話の緊急地震速報があの音なのは人の命を救うために計算し尽くされた音だから」と説明された。

 なお、上記の中で、「緊急地震速報の音はラジオの雑音の音量を急に上げたような音に聞こえた」と述べたが、これはおそらくスウィープ音がすべての周波数を持つ音を含んでいるためと考えられる。学生・院生の頃、ラットやハトを被験体とした心理学の実験をしていたことがあったが、実験中はホワイトノイズを発生させることが慣例となっていた。それにより、実験装置自体の機械音や実験室の外から入ってくる生活雑音の影響を抑えることができた。といっても純粋なホワイトノイズ発生装置は高価であったため、代用品としてトランジスタラジオを使用。FM放送で適当な波長に合わせると「ザーッ」というような音が聞こえてくるが、これでほぼ代用できるとされていた。

 同じアラーム音でも、火災報知器や防犯装置の音は異なる。これはおそらく「遠くまで伝わりやすい」ことにも配慮しているためかと思われる。あと、パトカーのサイレンはもっぱら「ウーウー」だが、1970年代から90年代にかけて警視庁の所轄署地域課(当時警ら課)の警らパトカーでは「ファンファンファン・・・」という音が使われており、刑事ドラマのパトカーの出動シーンで聞くことができる【ウィキペディア参照】。これらのサイレン音については2020年9月11日のチコちゃんの番組で取り上げられた。

 放送では、この話題の終わりのところで、小久保さんが収録した「心を癒やす音」が2つ紹介された。
  • ニュージーランド・アロータウンの川のせせらぎ
  • ボルネオ島のチメドリの鳴き声
 このうちアロータウンは2018年4月に訪れたことがあり、実際に川沿いを歩いたことがあった。チメドリの鳴き声は聞いたことがないが、私の住んでいる地域で聞くことのできるイソヒヨドリのさえずりもチメドリに匹敵する鳴き声であるように思う。

 次回に続く。