じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



02月のインデックスへ戻る
最新版へ戻る


 生協食堂周辺には木製のベンチとテーブルが配置されており勉学や休憩、食事などに利用されていたが、新型コロナ感染の頃からは、建物脇に積まれて利用できなくなっている。
 先日、たまたまその前を通った時、それらの一部がもはや利用できないほどに腐食していることに気づいた。シロアリ被害も懸念される。

 なお、これらのベンチとテーブルの古いものは、2006年頃にはすでに制作されていたと記憶している。岡大を会場として人間・植物関係学会2006年大会が開催された時、参加者のお一人からこれらのベンチの設置経緯について質問され、「倒木や伐採の再利用であると聞いています」と答えたことがあった。野ざらしの中で16年ほど耐えてきたがそろそろ限界か。

2022年2月14日(月)



【連載】コズミックフロント「宇宙をひらく 究極の“時間”に迫れ!」(2)スカイツリー450m上空では地上より時間が速く進むというが
 昨日に続いて、1月6日に初回放送された表記の放送の感想・考察。

 昨日の終わりのところで、香取秀俊先生(東京大学)の開発した光格子時計が10の18乗分の1の誤差で1秒を決めることに成功したという話を取り上げた。この時計は、ビッグバンで宇宙が誕生してから138億年経っても1秒も狂わないというほどの驚異的な精度であるという。

 香取先生の研究室では2019年、この光格子時計を東京スカイツリーの450m上空の部屋と、0mの地上に設置し、時間の進み方を比較するという実験を行った。光格子時計には地球の重力が働いているが、その大きさは地球の中心に近いほど大きい。わずか450mの高度差であっても重力に違いが生じるという。そしてアインシュタインの一般相対性理論によれば、重力が強いほど時間はゆっくり流れると予測される。実際に2台の光格子時計を比較したところ、450mの上空では21Hzだけ励起周波数がずれることが観測され、10の14乗分の5秒だけ時間が速く進んでいることが確認できたという。

 この実験のことは以前にもどこかで耳にしたことがあった。また2019年1月18日放送のチコちゃんの番組では、
  • 新幹線で東京から博多まで向かった場合、10億分の1秒未来に行っている。
  • 1971年にアメリカで行われた実験では、高速飛行するジェット機の中の時計が地上のものよりわずかに遅れていた。
といった事例が紹介されており、また2019年8月7日放送の「又吉直樹のヘウレーカ!」でも考察したことがあるが、私は未だにその原理が理解できていない。

 私が一番気になるのは、少し前にチコちゃんの番組で取り上げられた、

●1mはなんの長さ?

との関連である。現行の1mは、

●真空中で光が1/299792458秒に進む距離

というように定義されているというが、スカイツリーの450m上空は地上よりも時間が速く進むということであれば、光が1/299792458秒に進める距離もそのぶん短くなるはずだ。それとも空間がそのぶん縮むので、1mの物差しもそれに応じて縮むため、生活空間での採寸や取引には影響しないということなのだろうか。

 このほか、地球が自転していることから、地球の中心から見ると、スカイツリー450m上空のほうが外側の円周上にあるため地上よりも速く移動しているはずだが、速く移動するほうが時間はゆっくり進むのではないか?という疑問も生まれてくる。

 実験の方法や結果の解釈についてもよく分からないところがある。

 まず、450mの上空では21Hzだけ励起周波数がずれることが観測されたというが、であるとすると、1秒を定義する時にはどちらの励起周波数を基にするのかがよく分からない。

 もう1つ、一般相対性理論は棚上げしておいて、単に、「ストロンチウム原子の励起周波数は、重力が強いほどゆっくりになる」と解釈したらどういう不都合が起きるのだろうか。「原子の励起周波数は不変」というのは経験的事実なのか、それとも理論的に証明されていることなのだろうか。【「原子の励起周波数は不変」を前提にしないと時間が速く進むかどうかは測定できないのではないか?】

 ま、とにかく、このあたりの謎はいっこうに解消しない。なお、「よく見る相対論の誤解」についてはこちらに分かりやすい解説があった。このほか、ウィキペディアには、「光速よりも速く伝播するもの」の事例が挙げられており、「光より速く進むことは可能か?」は物理学の未解決問題であるとされていた。

 次回に続く。