じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
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『天文年鑑2022年版』を生協で購入した。印刷された本はすべて岡大生協で購入しているが、定年退職後は印刷された本というものを殆ど買わなくなり、岡大生協のオンライン書籍ショッピングの注文履歴を見たところ、なんと、2021年中に購入した本はこの1冊のみであり、その1つ前に買ったのは2020年11月20日で、これまた『天文年鑑2021年版』であることが分かった。終活の一環として、手持ちの本の大部分はPDF化&廃棄を進めているが、『天文年鑑』は唯一の例外で、1963年版以来、毎年欠かさず購入しており、今回で60冊目になる。【2002年12月3日の日記に関連記事あり。】


2021年12月14日(火)



【小さな話題】冬至にまつわるウソホント

 毎年、冬至の前後に、凝りもせずに同じようなネタを取り上げている。
  1. 冬至の日は日の出の時刻が一番遅い→ウソ
  2. 冬至の日は日の入りの時刻が一番早い→ウソ
  3. 冬至の日は昼の長さが一番短い→秒単位では、冬至の前日もしくは翌日のほうが短くなる可能性があると思うが未確認
  4. 冬至の日の太陽はいちばん南のほうに沈む→年によっては冬至の前日になることがある
  5. 冬至の日の太陽はいちばん南のほうに沈む→年によっては冬至の翌日になることがある
  6. 冬至の日は太陽の南中高度が最も低い→秒単位では、地域によって冬至の前日もしくは翌日のほうが低くなる可能性があると思うが未確認
といった内容である。今年の冬至は12月22日の0時59分だが、上記のウソホントはどうなるだろうか。

 このうち1.と2.の「ウソ」はよく知られており、2021年度の場合、岡山では
  • 日の出がいちばん遅いのは、2022年の1月3日〜1月12日頃で7時12分。秒単位で最も遅いのはその中日の1月7日または1月8日と推定される。
  • 日の入りがいちばん遅いのは、2021年の12月2日〜12月8日頃で16時53分。秒単位でもっとも早いのはその中日の12月5日と推定される。
 3.の昼の長さが一番短いのは、日の出時刻と日没時刻の差を計算すれば分かるが、岡山では、12月18日(日の出7時6分、日の入り16時56分)から12月25日(日の出7時9分、日の入り16時59分)までは、分単位の計算ではすべて9時間50分となっていて変わらない。中日をとると12月21日または12月22日(冬至の当日)のいずれかが秒単位の比較でいちばん昼が短い日になるはずだがどちらが短いのかは確認できなかった。

 ウィキペディアに記されているように、冬至というのは、
天文学においては太陽の視黄経が270度となる瞬間を「冬至」と定義しており、この場合は冬至の瞬間を含む日を冬至日(とうじび)と呼ぶ。
と定義されており、今年のように冬至の瞬間が真夜中に近い時刻になる年(今年の場合は0時59分)は、日の出や日の入りの方位がもっとも南になる日は、冬至の日と1日ずれることになるようである。なぜなら、例えば、冬至の瞬間が23時59分であった場合、その瞬間に時間的に最も近い日の出の瞬間は翌日の日の出となる。いっぽう、冬至の瞬間が0時1分であった場合、日の入りの瞬間がもっとも近いのは前日の日の入りとなる。

 じっさい今年の場合は、冬至の瞬間が0時59分であるゆえ、
  • 12月21日の日の入りの方位:241.7
  • 12月22日の日の入りの方位:241.8
となっていて、冬至の前日の12月21日のほうが0.1°だけ南の方位に日が沈むことになる。なお、日の出の方位は、冬至の瞬間と日の出の瞬間が時間的に最も近いのが冬至の当日となるゆえ、
  • 12月21日の日の出の方位:118.2
  • 12月22日の日の出の方位:118.3
となっていて、12月22日の冬至の日のほうが南の方位から日が昇ることになる。

 なお上記の日付は日本時間によるものであり、時差が1時間以上遅い国では、今年の冬至は12月21日となる。じっさいウィキペディアによれば、今年の冬至は、日本では12月22日だが中国では12月21日となっている。中国で柚子湯に入ってから【←そういう習慣は無さそうだが】、翌日に日本に帰国すると、もう1回柚子湯に入ることになる。時差の遅い国のほうが、日付上、早く冬至を迎えるというところが興味深い。

 冒頭のウソホントのうちの6.の太陽の南中高度だが、岡山では、今年の場合、12月19日から12月24日までがすべて31.9°となっていた。中日をとると、2月21日と22日が最も低いと思われるが精密なところは分からない。南中高度が最も低くなるのは、南中の瞬間と冬至の瞬間が最も近い日であると推定される。岡山の場合、南中時刻は、12月21日が12時2分12月22日が12時3分となっており、冬至の瞬間である12月22日の0時59分に最も近いのは冬至の当日となるので、今年は冬至の日が南中高度が最も低いということになる。なお、南中高度が最も低くなる日と冬至の日がずれるのは、それぞれの地域の経度が関係しているように思われる。例えば、南中時刻が最も遅い沖縄県・那覇では、冬至の頃の南中時刻は12時27分〜12時28分頃になるので、冬至の瞬間が0時1分であるような年では前日のほうが南中高度が低くなる。逆に、北海道・根室では、冬至の頃の南中時刻は11時16分頃になるので、冬至の瞬間が23時59分であるような年では翌日のほうが南中高度が低くなるはずだ。
 なお、岡山では、12月16日〜12月17日頃に、南中時刻が12時ジャストとなる。このあと南中時刻はしだいに遅くなり1月31日頃から2月23日頃には、最も遅い12時18分頃になる。その後はいったん早くなったり遅くなったりするが、再び南中時刻が12時ジャストとなるのは9月13日〜15日頃になる。

 コンセプトサーチによれば、過去日記の冬至関連ネタは以下の通り。