じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 2020年10月のウォーキング総括。2020年10月は、総歩数26万6107歩、1日あたり8584歩となり、前月9月の8438歩を上回った。
 グラフはいつもの通り、毎日の歩数を少ない順に左から並べたもの。左端の落ち込みは、その月に何らかの事情で歩数が少なかった日があることを示す。右端はその月に最も多く歩いた日の歩数。グラフが水平であればあるほど、日々の歩数がほぼ安定していたことを意味する。この3カ月はは、グラフが水平に近くなっており、日々の生活が規則的であったことを示している。
 10月は、31日間すべての日で1日あたり8000歩以上を継続できた。半田山植物園の入園回数は26回であった。植物園に入園しなかった5日のうち、4日は休園日によるもの、残り1日は雨降りによるものであった。

2020年10月31日(土)



【連載】#チコちゃんに叱られる!「お香ベスト3」、「なんで男の子は"ワル"に憧れちゃうの?」

 昨日に続いて、NHK チコちゃんに叱られる!の感想と考察。

 本日は、
  1. なんで売っている野菜は同じ大きさなの?
  2. なんでドーナツには穴があいているの?
  3. 嗅いでみたいお香ベスト3
  4. なんで男の子は"ワル"に憧れちゃうの?
という4つの話題のうち、残りの3.と4.について考察する。

 まず3.の「お香ベスト3」は、
  • 第1位 蘭奢待(らんじゃたい):東大寺正倉院に収蔵されている香木。天下第一の名香と謳われる。重さ11.6キログラムの錐形の香の原木。成分からは伽羅に分類される。
  • 第2位 龍涎香(りゅうぜんこう):マッコウクジラの腸内に発生する結石
  • 第3位 伽羅香(きゃらこう):熱帯アジア原産ジンチョウゲ科ジンコウ属(英語版)の常緑高木(沈香樹)のうち、特に質の高いもの。
であると紹介された。
 お香の話は滅多に聞いたことがないが、アロマテラピーについては、園芸療法系の学会で話を聞いたことがあった。但し、その時にも思ったが、療法としての科学的な裏付けはイマイチ不十分であり、こちらに記されているような批判もある。ま、療法的な効果というより、「心を落ち着かせるための一連の作法」と考えたほうが良さそうである。




 最後の4.「なんで男の子は"ワル"に憧れちゃうの?」については、生理学研究所の名誉教授により、「ついつい動物に戻っちゃうから」という何とも胡散臭い「説明」がなされていた。この先生によれば、
  1. 男の子が“ワル”に憧れて乱暴な感じをカッコいいと思ったりするのは、動物的本能を隠せないから。
  2. ライオンは本能のままに生きているが、人間とって「本能のままに生きる」はやってはいけないことなので、本能のままに生きている人を見ると“ワル”だと考える。例えば肩を揺らして歩くのは動物では相手を威嚇したり縄張りを大きくとるための本能的な行為である。暴走族がスピードに憧れるのは「外的から逃げる能力を見せびらかすため」、ガンを飛ばしたりメンチを切るのは、動物的に言えば「相手を脅かし優位に立つ」行為。
  3. 人間はもともと動物なので、本能のままに生きたいというのは自然なことであり、心の中では「本能のままに生きたい」とみんな思っている。だから、動物的本能を隠さずに生きる“ワル”に憧れをいだく。生き物として「まっすぐすぎる思い」から男の子たちはつい“ワル”に憧れてしまう。
 また、“ワル”への憧れのメリットして、
  1. “ワル”に憧れることは「子孫を残すこと」につながる。
  2. “ワル”に憧れて身なりや言動が変わると集団の中に目立つようになる。動物はパートナーを見つけるために、あの手この手を使って目立つ工夫をする。人間の場合も、“ワル”になって目立つことがパートナーを見つけるための工夫の1つである。
  3. “ワル”に憧れて目立つ男性は、注目されることで、興奮ホルモンのアドレナリン、幸せホルモンのセロトニン、幸せホルモンのオキシトシンが分泌される。この3つのホルモンによって気持ちが奮い立ち、さらに自分自身にうっとりしてナルシシストのような状態になる。そういう男性を女性が見ると、男性から女性を引きつけるテストステロン(“モテ”ホルモン)が分泌され、男性はさらに男らしさが増す。
  4. それを見た女性は、良い子孫が残せそうだなあと本能的に感じてその男性を好きになる(但し、女性が男性にひかれる要素は他にもたくさんある)。
  5. 人間というより動物そのもののプロセスに支配されて、男の子はついつい“ワル”に憧れてしまってきた。
と説明された。【以上、趣旨を損なわない程度の改変あり】

 この名誉教授の先生が、専門分野で数々の業績を残しておられることは承知しているが、だからといって、その先生の言われたことが何でも正しいということにはならない。今回の番組の中の「ドーナツの穴」に関して、

●われわれテレビ制作者というのは、ついつい根拠の浅い話にのっかってしまいがちですから、今回は、戒めの意味も込めて、製作過程で起きた事実をまとめてドラマ化しました。【チコちゃん談】

という姿勢を示しておられたが、そうであるならこの「ワル」の話についても、名誉教授の先生の話を鵜呑みにするのではなく、根拠を重ねた上で納得のできる説明をしてほしかったと思う。

 では、この名誉教授の先生の「説明」のどこが問題なのかと言えば、この「説明」は、もっともらしいように聞こえるものの、行動を予測したり、影響を与えたりという点で、何の力も持っていないという点を指摘することができるだろう。上掲の「説明」では、
  • “ワル”に憧れる男性と、憧れない男性の違いがどうして生まれるのか説明できていない。【「予測」する力を持っていない】
  • 社会的な観点から“ワル”を問題行動であると考えた場合、それをどうやって解消していくのかという手立てを示すことができていない【「影響」を与える力がない、解釈だけの「説明」に終わっている】
  • このほか、社会的動物として進化してきた人間において、威嚇したり縄張りを守ったりする行動が「本能のままに生きている」行動の表れであるのかどうかも、疑わしい。人間の場合は、むしろ、集団に貢献したり、統率したり、集団の和を保つような行動のほうが適応的であり、パートナーが見つかりやすくなるかもしれない。
 要するに、人間以外の動物が示す行動との類似性だけを頼りにアナロジカルに「本能的行動」と決めつけ、ご専門のホルモンに言及することでいかにも科学的な言説であるかのように語っているだけのレベルに過ぎないように思われる。
 もちろん、人間の行動は、生得的な要因(無条件反射、生得的な強化因、弱化因)によって影響を受ける部分も多々あるが、それらは、必ずしも「動物的本能を隠さずに生きる」ことと同一ではない。生得的な要因を通じてさまざまな行動が学習され(条件づけられ)、社会的環境の中で強化されたり弱化されたりしていく。「動物的本能」や「ホルモンの影響」で片づけられるほど単純ではない。