じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 10月29日の朝、毎日通る階段にアブラゼミの死骸が仰向けに転がっていた。特徴から見てオスと思われる。
 この階段は毎日掃き掃除が行われており、当日または前日に死んだセミと思われる。YouTubeにも公開しているように、今年の夏はたくさんのセミが鳴いていたが、アブラゼミは8月下旬には殆ど姿を消しており、10月の終わりまで生き続けたセミがいるというのは大きな謎である。

2020年10月30日(金)



【連載】#チコちゃんに叱られる!「なんで売っている野菜は同じ大きさなの?」、「なんでドーナツには穴があいているの?」

 10月30日に初回放送された、NHK チコちゃんに叱られる!の感想と考察。

 この回は、
  1. なんで売っている野菜は同じ大きさなの?
  2. なんでドーナツには穴があいているの?
  3. 嗅いでみたいお香ベスト3
  4. なんで男の子は"ワル"に憧れちゃうの?
という4つの話題が取り上げられた。本日はこのうちの1.と2.について考察する。

 まず1.については、「F1(雑種一代)だから」と説明される。ウィキペディアのリンク先にも、
一般には、F1品種の農作物は、その一世代に限って安定して一定の収量が得られる品種として知られ、多くの種苗会社が力を入れる分野となっている。日本国内で流通している野菜の種の8〜9割は海外で採取されている。
という記述があった。
 メンデルがエンドウの「丸い豆」と「しわしわの豆」で実験したように、確かに、F1では、遺伝的に優性な特徴が現れるため、形質が均一になりやすいかもしれない。しかし、F1であっても、形や大きさは、土壌、水分、気温等によって差違が生じるはずだ。
 F1ではないが、私がよく買うサツマイモなどは、1本98円とかで売られていても、形や大きさはみな異なっている。サツマイモは春に蔓を挿し芽にして育てる植物であり、遺伝的には均一であるはずだが、太くて丸っこいものもあれば細長いものもある。たぶん、F1で栽培されている人参やジャガイモなどもずいぶんと形が違うものがあるはずで、郊外の直販所ではよく見かける。このほか、スイカやカボチャなどは、同じ蔓にできても、大きいものもあれば、うらなりもある。
 番組によれば、F1種は、「形状が均一」、「成長が早い」、「病気に強い」といった特徴があり、高度経済成長期の1960年代ごろから一気に普及してきたという。確かに、1960年以前、ちょうど私が子どもの頃は、不揃いの野菜が多かったという記憶はある。但し、いまの時代に、同じ形や大きさに揃ってきた理由としては、F1だからというよりも、出荷や流通段階で、規格によって分別されているところが多いのではないかと私には思われる。




 2.の「ドーナツの穴」については、番組では「よくわからない」という未解決問題で終わった。ドーナツに穴を空けたのは、ハンソン・グレゴリーという船乗りであるとされているが、どういう理由で穴を空けたのかについては分からないという。「嵐の中、舵をとりながらドーナツを食べるために、串刺しにした」という説については、グレゴリー自身が否定しているという。グレゴリー自身は「少年時代、母の作った穴のないドーナッツの中心部分が生焼けだったので胡椒の缶で穴を開けた」と語っているが、他にも諸説あり確証は得られていないとのことであった。

 この「チコちゃん」の連載では何度も主張しているところであるが、

○○はなぜ××なのか?

という疑問は、その起源、つまりそれが始まったきっかけを調べてもそれだけで解明したとは言えないことが多い。本当に必要な分析は、

○○が今も××であるのはなぜなのか?

ということである。ドーナツに関して言えば、

起源はどうでもいい。なぜ穴の空いたドーナツが今も造り続けられているのか?

を解明することが重要と言える。私が推測するには、やはり、中空のほうが揚げやすい、食べやすい、という利便性にあるのではないかと思われる。

 上記の「○○が今も××であるのはなぜなのか?」という発想は、行動分析学の基本的な考え方にも通じている。何らかの問題行動が生じている時、ある流派では、その問題行動の現象を幼少時のきっかけまで辿ろうとしたり、もっと極端には、人類の進化の歴史にまでこじつけたりする傾向があるが、いくらそういう形で解釈したところで、過去を取り替えることはできない。重要なことは、

いま、その問題行動は、何によって強化されているのか?

であり、強化因さえ同定できれば、それを取り除いたり、あるいは、問題行動と競合する(同時にはできない)の行動を強化することで改善に繋げることができる。

次回に続く。