じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 モンゴル最西端・アルタイ山脈トレッキング最後のテント泊(2019年7月23日)をしてから丸一年が経過した。写真は、4ヶ所のテント場(上から3番目と4番目ではそれぞれ連泊)。
 リンク先では、このテント泊トレッキングが人生最後のテント泊になるかもしれないと述べていたが、まさか、新型コロナウイルスで、国内旅行さえままならない事態に陥るとは思ってもみなかった。
 今後は、新型コロナが収束した時点で健康が保たれていれば近場のトレッキングツアー(サハリン、北シベリアあたり)に参加したいとは思っているが、かなり難しそう。パタゴニアやアルゼンチンのプーナも候補地ではあったが、南米であれほど感染が拡大している中では、現地はもとより、現地に至るまでの長時間のフライトにリスクがあり、さらに難しい。自分の能動的な選択の結果として旅行を取りやめるなら別段どうということはないが、感染症によって選択の機会が奪われてしまったということはまことに残念。

2020年7月23日(木)



【連載】サイエンスZERO「“withコロナ時代”に いまこそ知りたいウイルスの正体」(3)感染部位、伝播力、弱毒化

 昨日に続いて、

“withコロナ時代”に いまこそ知りたいウイルスの正体

の感想と考察。

 昨日取り上げたように、ウイルスの怖さを決める要素としては少なくとも4つがあるという。
  1. 増殖力
  2. 免疫の反応←発熱や咳、のどの痛み。免疫細胞が過剰に反応するとかえって重症化してしまう。
  3. 感染する部位
  4. 伝播力
 このうち3.については、同じコロナウイルスでも、ごく軽い風邪しか引き起こさないタイプは主に喉や鼻に感染。いっぽうSARSや今回の新型コロナウイルスは肺などにも感染することで重篤な症状を引き起こす。このほか、神経細胞に感染する狂犬病ウイルス、リンパ球(免疫細胞)に感染するHIV(ヒト免疫不全ウイルス)など、恐ろしいウイルスもある。狂犬病ウイルスは「人を含めた全ての哺乳類が感染し、 発病すると治療方法がなく、悲惨な神経症状を示してほぼ100%死亡する」と言われているが、なぜワクチンが開発できないのか、またなぜ致死率ほぼ100%なのかはよく分からなかった。おそらく、神経細胞の機能を破壊してしまうことで代替ができないのだろう。HIV(ヒト免疫不全ウイルス)が引き起こすAIDS(後天性免疫不全症候群)は、リンク先によれば「基本的に多剤併用療法(Highly Active Anti-Retroviral Therapy:HAART療法)にて治療が行われ」、これにより「安定期まで持っていくことができれば、ほとんどAIDSで死亡することはなくなった」という。但し「現在のHIV療法である多剤併用療法は決して根治的な療法ではなく、血中のウイルス量が検出限界以下となっても、依然としてリンパ節や中枢神経系などにウイルスが駆逐されずに残存(Latent Reservoir)していることが知られており、服薬を中止するとただちにウイルスのリバウンドが起こるなどの問題がある。基本的にHAART療法は、一生継続しなければならない。」というから厄介だ。もう1つの恐ろしい感染症エボラ出血熱の場合は、ワクチンの開発が進んでいるが、「臨床試験の最終段階の時点で流行が広がっていたのは、最貧国の一つであるコンゴ民主共和国の一地域であり、開発資金の回収が見込めないとしてワクチン開発の継続を断念。ワクチン候補を2019年までにアメリカの非営利機関に譲渡した」という人道的に見てまことに情けない状況になっているようだ。

 ウイルスの怖さを決める要素のうち、最後の4.については、飛沫感染や空気感染のルートのほか、感染を広げる密度も関係しているという。

 番組ではこのあと、新型コロナウイルスの病原性は短期的には上がってくるかもしれないが、長期的にはウイルスはだんだん弱くなってくるかもしれない、という興味深い事例が紹介された。1950年代のオーストラリアでは24匹のウサギが6億匹近くまで大繁殖。そこでオーストラリア政府は、ミクソーマウイルスをウサギに感染させ駆除を試みた。このウイルスはウサギだけに感染し、重い皮膚病を起こす。致死率は90%に達する。じっさいこれによって全体の85%のウサギが死亡した。ところが、このウイルスの致死率は2年後には85%であったのに、7年後には25%まで低下した。この原因として1つには、ウイルスに耐性が強いウサギが生き残った可能性であるが、ウイルス側のほうでも変化があり、致死性の弱いウイルスをもった個体が生き残り、ウイルスはウサギとの共存するような形に進化したという。【ウィキペディアに詳細な説明あり】

 新型コロナウイルスが弱毒化する可能性については、私も7月10日の日記で考察したことがあった。その時点では上掲のウサギの話は知らなかったが、私のような素人でも、単純な思考実験で、弱毒化を予想することはできる。但し、リンク先にも記したように、新型コロナウイルスによる重症化の多くは、サイトカインストームと呼ばれる免疫システムの暴走状態によってもたらされることから、重症化を防ぐ方法は、あくまで人間サイドの問題であるとも言える。というか、高橋泰先生の感染七段階モデルのように、「新型コロナウイルスは、初期から中盤までは、暴露力(体内に入り込む力)は強いが、伝染力と毒性は弱く、かかっても多くの場合は無症状か風邪の症状程度で終わるおとなしいウイルスである。」というご指摘もあるようだ。高橋先生の記事については、今回の連載が終わり次第、素人なりにコメントさせていただこうと思っている。

 次回に続く。