じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
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 12月16日の日の入りの様子。12月7日に比べると日没の方位が南にずれたため、旧・京山タワーと重なる「京山・金環日食現象」は見られなくなった。もっとも、国立天文台の暦に記されているように、日の入り時刻は2分ほど遅くなっており、7日と同じ時刻でアラームを設定していたら、まだ太陽が上のほうにあって少々待たされてしまった。
 なお、12月26日にはインドネシアなどでホンモノの金環日食が見られる。日本でも部分日食となる。岡山では15時29分33秒に最大。

2019年12月16日(月)



【連載】関係反応と #関係フレーム をどう説明するか(50)専門書、入門書で取り上げられている事例(7)

 昨日の続き。
 2006年に出版された、

武藤崇(編)(2006)『アクセプタンス&コミットメント・セラピーの文脈―臨床行動分析におけるマインドフルな展開』(ブレーン出版)

の中の、

●武藤崇 「第2章 関係フレーム理論(基礎編1)〜言語行動,刺激等価クラス,そして関係フレーム

という章では、まず、Sidmanの刺激等価性の研究が紹介されていた。これはSidman(1971)に端を発する一連の研究であり、失語症や発達障がい児(者)を対象としていた。すなわち、
  • 音声刺激→絵刺激
  • 絵刺激→音声反応
  • 音声刺激→文字刺激
という訓練を行うと、
  • 絵刺激→文字刺激
  • 文字刺激→絵刺激
  • 文字刺激→音声刺激
にかかわる関係反応(条件性弁別)が未訓練でできるようになるというものであった。

 この訓練パラダイムはその後改良され、
  • AならばB
  • BならばC
を学習すると、
  • BならばA(反射律)
  • CならばB(反射律)
  • AならばC(推移律)
  • CならばA(等価律)
という関係反応が派生するようになる。なお、「〜律」は、最近では「〜性(例えば、「推移律」は「推移性」)」と呼ばれるようになっているようである。

 Sidmanの研究紹介から関係フレームの説明に進むというステップは、関係フレーム理論の研究の流れという点から見ればまことに理にかなっているとは言えるが、その一方、刺激等価性と関係フレームの捉え方のどこが違っているのかを見極めるのがかえって困難になるというデメリットもあるように思える。

 なお、ネット上でも最も流通していると思われる「刺激等価性」の説明は、脳科学辞典の項目(山ア由美子氏執筆)ではないかと思われる。その中では、
  • 特定の言語能力を必要とするというより、言語・表象機能の発現に不可欠な能力。
  • 排他律(AならばB、かつAでないならBでない)の獲得
  • 実験パラダイムにおける順序の処理の問題
  • 系統発生にかかわる知見
  • 個体発生にかかわる知見
  • 応用
などが分かりやすく紹介されており、大いに参考になる。

 もとの武藤(2006)からは少々脱線するが、刺激等価性研究に関してはいくつか考察すべき点がある。
  • 音刺激と音反応(モノの名前を音声で聞くことと、自分で発声すること)
  • 「AならばB、AならばC」型の訓練と「AならばB、BならばC」型の訓練の相違
  • 上記の山ア由美子氏が指摘されているいくつかの議論



 次回に続く。