じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
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 日没時の太陽が旧・京山ロープウェー遊園跡地にある京山タワーと重なって金環食のように見える現象を「京山・金環食現象」と勝手に呼んでいるが、今年もまた観察好機がやってきた。もっとも、空気が澄んでいて太陽が明るすぎたため、デジカメではうまく撮れなかった。類似写真が2014年12月9日2018年2月22日の楽天版にあり。

2019年12月07日(土)



【連載】関係反応と#関係フレーム をどう説明するか(43)10カ月ぶりに連載再開

 12月5日から、特命教授として担当している心理学講義の授業が始まった。授業の後半では「関係フレーム理論」を重点的に扱う予定であるので、これを機会に、2019年2月16日でいったん中断していた「関係フレーム理論」に関する連載を再開したいと思う。

 ここで、改めて、関係反応とは何かということから復習しておく。
“Relating” means to respond to one event in terms of another.
関係づけるとは、ある事象に、別の事象の観点から反応することである。
(Hayes, Barnes-Holmes & Roche, 2001)
 この定義で重要なことは、「関係づける」というのは「認知」ではなく「行動」であるということ。例えば、「AよりもBは大きいという関係を学習した」という表現は、慣習上よく使われているものの、本質は認知的な表現である。徹底的行動主義の立場を貫くのであれば、
  1. 「AよりもBは大きい」というのは、Aという観点からBに対して反応することである。
  2. それゆえ、Bに対する固有の反応ではなく、AがあることによってBに対してどのような特別の反応が起こっているのかを明示する必要がある。
  3. かつ、どのような訓練をすれば、「Aという観点からのBに対する反応」を起こすことができるのかという、訓練と、その結果として観察可能な行動変容のセットを明示する必要がある。【なお、「Aという観点からのBに対する反応」は、直接訓練をしなくても般化として派生することがある。どういう派生が起こるのかを特徴づけたのが関係フレームということになる。】
という点をおろそかにしてはならないように思う。

 関係フレームのうちの「相互的内包」と「複合的相互的内包(「複合的内包」と略されることが多いが、私自身は、トールネケと同様、省略しない方針をとっている)」を分かりやすく説明する例としては、
  1. ある事物に名前をつける事例
  2. あるグループの成員の1つを、別のグループの成員に対応づける事例
  3. ある事象と別の事象を比較する。特に、恣意的に確立された大きさや長さというように、一次元上の配列できる事象(順序尺度的な構造)を相互比較するような事例
などが考えられるが、いずれも、分かりやすいかどうかという点では一長一短がある。

 関係フレームの3番目の特徴は「刺激機能の変換」であり、この3番目は臨床的にはきわめて重要であるようだが、エッ?ホンマかいなと思われる事例もあって、逆に分かりにくくなったりする。

 次回に続く。