じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
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 今年の岡山の8月は例年になく暑かったという印象がある。8月が終わったところで、岡山 日平均気温の月平均値(℃)を参照してみると、2018年8月の平均値は29.3℃で、1891年以降の128年分のデータの中では第7位タイ(2013年と同値)になっていた。今年は8月の18日に最低気温が17.3℃、1日の平均気温が23.9℃という涼しい日があったが、これが無ければもっと順位は上がっていたものと思われる。
 ちなみに、これまでで最も暑かったのは2010年の8月でこの時の平均気温はなっなんと30.5℃であった【2010年9月2日の日記参照】。画像は2010年8月と2018年8月の日々の平均気温、最高気温、最低気温の比較。赤枠で囲ってみたところ、
  • 平均気温が30℃以上の日数:2010年は23日、2018年は13日
  • 猛暑日(最高気温35℃以上)の日数:2010年は16日、2018年は18日
  • 熱帯夜(最低気温25℃以上)の日数:2010年は29日、2018年は22日
となっていて、猛暑日の日数は2018年のほうが多いものの、平均気温30℃以上の日数や熱帯夜の日数は2010年のほうが遙かに多かったことが分かった。
 ちなみに、2010年8月の平均気温の高さでトップ争いを演じた大阪では、2018年8月の平均気温は29.7℃となっていた。また、8月5日に最高気温39.5℃を記録した京都の平均気温は29.5℃となっており、いずれも、岡山の29.3℃を上回った。

2018年8月31日(金)



【連載】
日本語と英語の違いをめぐる議論(3)日常会話場面と文書作成と文脈

 昨日の続き。

 母語であれ外国語であれ、言葉は、他者との交流を目的として使用される。行動分析学的に言えば、言語行動は他者との交流の結果によって強化され、精緻化していくのである。もちろん、言葉がある程度使えるようになると、他者が全く存在しない場面でも思考(問題解決や創造など)の道具として言葉が使われるようになるが、これは発達の後の段階である。「はじめに言葉ありき」ではなく、初めにあったのは集団生活とその中での個体間の交流である。集団生活は、家族や小さな部落、さらには地域全体の共同体という単位が行われる。その中で代々、受け継がれ、複雑化したり、複雑化しすぎて省略化されたりして発展していったのがそれぞれの言語ということになるかと思う。

 そういう意味では、それぞれの言語に文法があるとしたら、その基本は、日常会話の中に潜んでいると考えるべきであろう。「書き言葉の省略形が会話表現」ではない。会話表現では曖昧さが残ったり誤解をうむ恐れがある場合に、動作主体、事物、それらの関係などを表す言葉を付け加えて精緻化していったのが書き言葉であり、言い換えれば「会話表現が基本、書き言葉は尾ひれを付け加えたもの」と考えるべきであると思う。

 もっとも、会話表現というのは、当事者にしか知り得ない環境のもとで、当事者だけが関わっている事物に対して交わされる場合が多い。文脈フリーではあり得ないのである。対面場面や電話での音声会話はもちろん、LINEに書き込まれたメッセージなども、前後の文脈をとらえないと何のことやら分からない場合が殆どであろう。

 外国語学習の場合も、文脈フリーということはありえない。とりわけ会話場面においては、言語行動は、
  • 当事者はどういうニーズのもとで会話しているのか
  • どういう環境・文脈のもとで交わされているか
  • 何を対象に交わされているか

といった諸条件と、使用される言語とのセットのもとで円滑に遂行されていくものである。

 いっぽう、報告書、提案書、学術論文などの文書作成においては、不特定多数の様々な読み手に対して正確な情報を伝え、自分の提案や主張に賛同を求めるというニーズがある。この場合は、文脈フリーに近づけるように、正確さを期すための「尾ひれ」を付け加える必要がある。もっとも、文脈フリーの表現は機械翻訳の得意とするところでもある。

次回に続く。