じぶん更新日記

1997年5月6日開設
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 1月17日(土)はセンター試験1日目となり、大学周辺では警備会社によって駐車規制が行われていた。このロードコーンと、試験開始・終了を知らせるサイレンは、2日間限りの風物詩となっている。なお、最近は、母校の生徒を応援する吊り下げメッセージは見かけなくなった。禁止措置がとられたのか、それともそういう伝統が途絶えたのかは未確認。


2015年01月17日(土)

【思ったこと】
150117(土)オックスフォード白熱教室(6)スイカをを包丁で分割すると最大いくつの切片になるか?

 昨日の日記では、円を直線で分割した場合にできる最大領域数の話題を取り上げた。そこからさらに拡張すると、今度は、球体を平面で分割すると最大いくつの立体に切り分けられるのかという問題を作ることができる。日常場面で言えば、
  1. 直線による円の分割は、ピザ(あるいはパンケーキ)の切り分け
  2. 平面による球の分割は、まん丸いスイカを包丁で切り分ける(但し、包丁を入れている最中は、それぞれの切片は切り離さないものとする)。
に相当する。

 もっとも、上記1.の「直線による円の分割」は「直線による平面の分割」、また2.の「平面による球の分割」は「平面による三次元空間の分割」として考えることができる。【平面分割や空間分割の際に生じる交点をすべて内部に取り込むような巨大な円または球体を考えればよい。】

 「直線による平面の分割」では、領域の数Rは、もともとあった領域1を加えて

R=交点の数+直線の数+1

としてカウントできることから、同じ発想で、分割された空間の数Rは

R=交線の数+平面の数+1

になるものと予想できる。ではどうやってそれを証明するのか。

 まず、「直線による平面の分割」の場合と同様、三次元空間で最大分割が可能であるということについての「できる」保証が必要である。その際、暗黙の前提として、最大分割ができている時には、
  • 任意の2つの平面は必ずどこかで交わる。その際、必ず1本、また1本だけの交線ができる。
  • 3つ以上の平面の交線が1直線上で交わることがないように平面を配置できる。
この「できる保証」は1月13日に述べた「直線による平面の分割」の場合と同じロジックで成り立つものと思う。

 それから、漸化式を使わないで解く円の最大分割問題のところで、
それぞれを結ぶ直線(弦)を引く作業を始めるとする。出発点から終点に向かって線を引いていく過程では、
  1. すでに引かれている他の線と交わるたびに1つずつ
  2. そして終点にたどり着いた時点でもう1つ
領域が増えていくことが分かる。よって、1直線を引くたびに増える領域の数というのは、新たにできる交点の数(上記1.)、及び、その引いた直線の数(上記2.)の和に等しい。
と述べたが、これは実質的に漸化式を言葉で表現しているにすぎない。また、そのあとの、
しかるに、領域の数が最大という条件のもとでは、円の内部の交点はすべて2本の線の交点であるからして、上記1.でカウントされる数は、線をすべて引き終えた時に円の内部に存在する交点の数と等しくなる。また、上記2.は、すべての直線の数と等しくなる。
へと話を進めるにあたっては、「1直線を引くたびに増える領域の数を数える」という作業と、「最大分割ができていたという前提のもとで、個々の直線由来の増加領域数をカウントする」という作業が一対一に対応しており、「重複せず、かつもれなくカウントできる」ということを前提にして話を進めている点に留意する必要がある。

 ここでいよいよ、三次元空間を平面で分割するという元の問題に戻るが、そもそも平面で分割するというのは、もとあった多面体を2つに分けるということを意味する。(但し、凹多面体がある場合は2つ以上に分割されるので、凹多面体ができていないという確認は必要。また、外側に広がる部分は閉じていない空間となる。) でもって、「2つに分ける」というのは、もともと1つであったものが2つになることであるからして、「1つ増やす」ということと同じ意味になる。

 では、すでにn−1個の平面によって最大分割されている空間があったとして、そこに巨大な包丁で新たな平面を切り入れると、いくつまで空間を増やすことができるだろうか。三次元ということもあってこれは直観的にはイメージとして描きにくいが、その新たな平面には、すでに存在していた平面と交わることによってできる交線が出現し、結果的に、新たな平面はそれらの交線によっていくつかの領域に分割されていることが分かる。そして、その時に発生した領域の数は、新たに増やした空間の数と等しくなっている。つまり、

(n個の平面で分割される空間の最大値)=(n−1個の平面による最大分割数)+(n個目の平面の上にできる、交線によって分割された領域の数)

という関係が成り立つ。ここで、上記と同様の発想の転換により、「1平面を追加するたびに増える空間の数を数える」という作業と、「最大分割ができていたという前提のもとで、個々の平面由来の増加領域数をカウントする」という作業が一対一に対応しており、「重複せず、かつもれなくカウントできる」ということを前提にして話を進めると、けっきょく、

(n個の平面で分割される空間の最大値)=(交線の交点の数)+(交線の数)+(平面の数)+1

としてカウント可能であることが分かる。ここで、
  • 交線の交点の数=n3 【n個の平面から任意の3つの平面を選ぶとそれに対応して1個の交点ができるから】
  • 交線の数=n2 【n個の平面から任意の2つの平面を選ぶとそれに対応して1本の交線ができるから】
  • 平面の数=n1

であることから、最大値Rは

R=n3+n2+n1+1

となる。

 実際にn=3の時は
R=33+32+31+1=1+3+3+1=8
 n=4の時は
R=43+42+41+1=4・3・2/3・2・1+4・3/2・1+4+1=4+6+4+1=15
 n=5の時は
R=53+52+51+1=5・4・3/3・2・1+5・4/2・1+5+1=10+10+5+1=26

というように計算される。

 なお、ネットで検索したところ、こちらのサイトによると、
...m次元空間をn枚の超平面で分割する.その際,分割によってできる領域が最も多くなるようにする.最大分割領域数Snはいくつになるか,の答は

  Sn=(n,0)+(n,1)+(n,2)+(n,3)+・・・+(n,m)

となる...

という記述があった。証明は上記に準ずる形でできると思うが、4次元空間以上となると全くイメージがわかない。

 あと、以上に述べたところでは、n個の平面で空間を分割しても、凹多面体や星形多面体ができないということが前提になってると思うが、本当にそれでよいのかがちょっと引っかかっている。スイカを包丁で切っても(但し、刻むのではなく、必ず、スイカ全体より大きな1つの平面で切る)、凹多面体の切片は決して作れないということは証明しておく必要があると思う。

 次回に続く。