じぶん更新日記

1997年5月6日開設
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 1月16日(金)はセンター試験の前日であり、試験会場設営のため休講日となっていた。会場下見のため、朝から制服姿の高校生がたくさん訪れていた。
 毎年同じことを書いているが、センター試験の会場というのは、地元にあるいくつかの高校別に割り当てられるため、会場が岡大であるからといって、そのまま、岡大を受験するわけではない。かつて私の子どもたちが受験した時も、岡大ではなく、いずれも、バスで30分ほどかかる、少し離れた私立大まで出かけていた。


2015年01月16日(金)

【思ったこと】
150116(金)オックスフォード白熱教室(5)ピザをナイフで最大分割する

 昨日の続き。

 今回は、円のもう1つの最大分割問題である、「直線による分割」について考えてみることにしたい。すなわち、
円をn本の直線(弦)で分割した時の最大の領域数はいくつになるか?
と表すことができる。これは、元の問題、
円周上にn個の点をとり,円周上のすべての点どうしを直線(弦)で結ぶ。これによって分割される領域の数は、最大いくつになるか?
と似ているが、じっさいにできる領域の数はかなり少ない。例えば、2本の直線を引くと、円は4個の領域に分けられる。元の問題であれば、この時には円周上に4点が配置されるので、四角形と対角線のよって8個の領域に分けられることになる。

 この問題を解くには、まず、円の分割の代わりに、平面の分割を考えると分かりやすい。すなわち、
平面をn本の直線で分割した時の最大の領域数はいくつになるか?
をまず考えてみる。

 図1は、すでに3本の直線で平面が分割されているところに、それらとは平行でない新しい1本(青線)を付け加えた状態を表す。図に示されているように、新たな直線を付け加えると、この直線が他の直線と交わるたびに領域が1つずつ増え、さらに最後の直線と交わったあとのエリアでもう1つ増えることが分かる。



 ここで、「n本の直線のうち、任意の2本は必ず1点で交わる。」ということと、「nがどんなに大きくても任意の3本が1点で交わることはないように直線を引くことができる」ということを前提にすると、発想を転換して以下のように置き換えることができる。
  • 「この直線が他の直線と交わるたびに領域が1つずつ増え」→平面上の交点の数に等しい
  • 「さらに最後の直線と交わったあとのエリアでもう1つ増える」→直線の数に等しい
そうすると、領域の数Rは、もともとあった領域1を加えて

R=交点の数+直線の数+1

となり、交点の数はn本の直線から2本を選ぶ組合せの数であるからして、

R=n2+n+1=n(n-1)/2+n+1=n2/2+n/2+1

というように求めることができる。

 円の分割の場合は、図2のように、すべての交点を内側に含むような円(赤色)を考えればよい。円内の領域数は、上記で求めた平面分割の領域数と同じになる。

 では、とりあえず前提としておいた、
  1. 「n本の直線のうち、任意の2本は必ず1点で交わる。」
  2. 「nがどんなに大きくても任意の3本が1点で交わることはないように直線を引くことができる」
はどう保証できるのか。このうち1.は
二つの線分に第三の線分が交わり、同じ側にある二つの内角の和が二直角よりも小さくなるならば、はじめに与えられた二つの直線を限りなく延長するとき小さい角の側で必ず交わりを持つ。
というユークリッドの第五公準に依拠している。さらに、ここからは、もしかすると私の誤解・思い込みがあるかもしれないことをお断りしておくが、とにかく、お互いに平行でないn本の直線は、必ずどこかで交わるとするならば、すべての交点は有限の閉曲線内に収まるはずである。ということはそれより大きな円は必ず描くことができるはずだ。また、もし、元の直線分割問題で円の大きさが定められていた場合は、とりあえず、図2のような円を描いてから、それらを定められた大きさと同じになるように圧縮すればよい。縦横に圧縮しても、直線の性質は保持されるので、交点が増えたり減ったりすることはない。

 次に、2.の「できる保証」であるが、これは、直線を新たに増やしていく時に、まず図2のように、増やす前のすべての交点を有限の大きさの円の中に閉じ込めてしまい、図3のように円の外側に新たな直線を引けば、新たな直線と他の直線との交点はすべて円の外側に発生するため、3本が1点で交わることはあり得なくなる。これによって「できる保証」が成立した。この考え方で、常識的には理解してもらえると思うが、「有限」に依拠した証明がこれでよいのかどうかは未確認。




 さて、円を直線で分割するというと、次に思い浮かぶのが、ピザ(あるいはパンケーキ)の分割である。ちなみに上記の最大分割数は、直線の数nが1から順に増えるたびに、

1,2,4,7、11、...

となっていくので、上からまっすぐに切る(←側面からも切る場合は、直線ではなく平面による分割になる)限りにおいては、最大分割数を超えて分割することはありえない。例えば、ナイフを3回入れてピザを8個に切り分けるということは、最大分割数が7であることからいって不可能である。

 ここで興味がもたれるのは、単に分割するのではなく、面積が等しくなるように分割する(等分割)方法である。ネットで検索したところ、ナイフ3回で(3本の直線で)円を7等分する方法がいくつか紹介されていた。(例えば、こちらこちら。自分で確かめてみたわけではないが、リンク先によると、どうやら、定規とコンパスがあれば7等分できるようである。ナイフ4回で11等分する方法については未確認。

 次回に続く。