じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 文学部西出入口付近の空き地に生えるキンギョソウ。昨日の日記に述べたように、ここで元気に育っている株は、大量に蒔いた種の中で結果として生き残った株である。手入れをしているから大株になったわけではない。


2014年4月23日(水)

【思ったこと】
140423(水)長谷川版「行動分析学入門」第3回(1)環境への適応方略としての行動(2)

 昨日の日記で、文学部(文法経一号館)の西側出入口の空き地に咲いているキンギョソウの話題を取り上げました。写真が上にありますのでご覧になってください。

 さて、最近、某シャッターメーカーのCM【こんな感じ公共パソコンを使っている方は音声注意!】で、
進化論の中でダーウliンは言いました。「強いモノが生き残るのではない。環境に適応できるモノが生き残ってきたのだ。」と。
余談ですが、このCMについては、2つほどツッコミがあるようです。1つは、使われているキリンの首が長くなるという画像がダーウィンの進化論を例示したものではなく、「獲得形質の遺伝」の例示になっているのではないかという指摘です。もう1つは、ダーウィンは本当にそう言ったのか? 出典はどこにあるのか?という議論です。ちなみに後者の議論は、シャッターメーカーのCMが登場する以前、小泉首相が平成13年9月27日の第百五十三回国会における小泉内閣総理大臣所信表明演説の中で、
進化論を唱えたダーウィンは、「この世に生き残る生き物は、最も力の強いものか。そうではない。最も頭のいいものか。そうでもない。それは、変化に対応できる生き物だ」という考えを示したと言われています。
と発言されたことに由来しているようですが、私自身は原典にあたっていないので何とも判断できません。

 ただ、ダーウィンが言ったか言わないかは別として、「環境に適応できるモノが生き残ってきたのだ。」、あるいは「この世に生き残る生き物は、....変化に対応できる生き物だ」という主張は当たっているように思います。【もちろん、運がよくて生き残る場合もありますが】

 上の写真にあるキンギョソウの場合は、運の良かった種だけが芽を出したと言えないこともありませんが、昨日の日記でご紹介したテンニンギク2004年5月21日の日記に比較写真あり】やオキザリスの場合はまさに、何種類もの植物の中で、その空き地の環境に適応できた種類だけが生き残ったという例になります。

 もう少し一般化してお話すれば、植物というのは普通、形を変えたり、ユニークな繁殖のしかたをすることで環境に適応しています。ご存じのように、サボテンは自分の体からの水分蒸発を最小限にするように葉っぱの形を変えています。また、森林に生息する植物の中には、蔓を伸ばし、高い木に巻き付くことで繁殖しているものもあります。この季節に厄介な雑草となっているカラスノエンドウ(ヤハズエンドウ)は、
  • 春先は蔓が細くて引き抜いても根が残る
  • 暖かくなると急速に蔓を伸ばして他の植物に覆い被さる勢い
  • さやがはじけてぴちぴちと遠くに種を飛ばす
というように、除草作業という逆境に耐えるために実に巧妙な適応方略を備えています。

 では、動物の場合はどうでしょうか? 動物の場合も、アルマジロのように堅い板(鱗甲板)をまとって外敵から身を守ったり、皮下脂肪を大量にたくわえて寒さから身を守ったり、というように、形を変えて適応している種類もありますが、動物という名の通り、その基本的な適応戦略は「行動することで環境に適応する」という特徴にあります。

 不定期ながら次回に続く。