じぶん更新日記

1997年5月6日開設
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§§ 2012年版・岡山大学構内でお花見(29)テンニンギク

 岡大西門・西側花壇(総合文化科学研究棟前)のテンニンギクが見頃となってきた。この研究棟が竣工した当時、ここの花壇には、業者さんの手で、テンニンギク、ガザニア、アイスランドポピー、カワラナデシコなどが植えられていたが、最終的に、このテンニンギクが適応し、いまでも旺盛に繁殖を続けている。

 ※岡山大学構内の花だよりのアルバム(追記更新型)をLife-Xに公開中です。随時追加していきますので、時たま覗いていただければ光栄です


5月18日(金)

【思ったこと】
_c0518(金)金環日食における「食分」は、太陽が欠ける比率ではなかった

 昨日の日記で、5月21日の金環日食に関連して
もっとも、太陽が隠れる比率は、金環日食となる地域の比率(東京97%、大阪95%、京都94%)などとそれほど差はない。金環状の形にこだわらないのであれば、岡山でも十分に楽しめると思う。
と書いたあとで、ふと疑問が出てきた。それは、東京と京都で金環食の時刻は数分しか違わないのに(東京は7:32〜7:37、京都は7:30〜7:31)、なぜ東京の食分が0.97、京都が0.94というように0.3も違うのだろうか?という疑問であった。

 その後ネットで調べた結果、0.97とか0.94というのは、太陽が何%隠れるかという比率ではなくて、
日・月食において,太陽や月が欠ける程度を表す量である。日食の食分は,(月の視半径+太陽の視半径−月と太陽の見かけの中心距離)÷(太陽の視直径)で定義される。部分食や金環食の食分は1より小さく,皆既食は1より大きい。ちょうど1となるのは第2・第3接触のときである。
として定義されていることが分かった(出典はこちら)。

 皆既日食の場合は、食分の大きいほうが、より長い時間コロナが楽しめるし、空全体が暗くなる。私個人の体験では、かつての小笠原沖皆既日食(1988年3月18日)の時はかなりの程度で暗くなったが、イランで見た皆既日食(1999年8月11日)はこんな感じで、太陽の周辺以外はあまり暗くならなかったという記憶がある。要するに、食分の大きいほうが月の影が大きくなるので、太陽の周りのコロナの一部も隠されるため暗くなって当然となる。

 しかし、金環日食の場合は、食分が大きいほうが継続時間は長くなるものの、太陽が覆われる比率に違いがあるのは考えにくい。太陽を500円玉、月を1円玉に見立てて、500円玉の上に1円玉を置いてみれば容易に分かることであるが、1円玉が500円玉の外側にはみ出さない限り、500円玉の隠される比率は、

(1円玉の面積)÷(500円玉の面積)

であって、1円玉がどの位置にあろうと一定であるからだ。

 もっとも、1つの皆既日食や金環日食が起こっている最中でも月の影の大きさは多少は変わるはずである。なぜなら、地球は丸いので、月の影が地球に到達する時の月と地表面との距離は、南中時の頃と、日の出や日没の頃では、地球の半径程度、後者のほうが遠くに影が落ちると思われるからである。じっさい、「金環皆既日食」という現象が起こる場合は、正午に中心食となる付近で皆既日食、経路の両端では金環日食になるという。正午の頃が、地表面と月の距離が一番近くなるからであろう。

 このことでふと思ったが、月の見かけの大きさは、天頂付近にある頃と月出、月没の頃では、地球の半径6371km(赤道半径で言えば6378km)ほど後者のほうが遠くにあり、その分小さく見えているはずである。もっとも、月と地球の距離は38万4400kmも離れているため、上記の6371kmという違いは1.66%程度にすぎない。しかも、人間の目で見た場合は「月の錯視」と言われるように地平線のほうが大きく見えてしまうため、天頂にある月のほうが近くにあると感じることはまずありえない。金環皆既日食のような現象があって初めてそれを実感することになるのだろう。

 このほか、太陽と地球の距離が短い時は金環日食、遠い時は皆既日食が起こりやすいのではないかという予想もなりたつように思う。今年の場合、地球が近日点を通過したのは1月5日で距離は0.983284AU、遠日点を通過するのは7月5日で距離は1.016675AUということなので、現在のところは、冬よりも夏のほうが皆既日食が起こりやすいし、継続時間も長くなるはずだ。もっとも、歳差との関係で近日点通過の日は少しずつ変わっていくはずなので、1万年後には逆になっているものと思われる。(近日点に関する興味深いコンテンツがこちらにあり。)