じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 岡山版「ダイヤモンド富士」の推移。備前富士とも呼ばれる芥子山(けしごやま)からの日の出の瞬間。私の住んでいるところのベランダからは、10月12日と13日に頂上からの日の出を眺めることができた。10月11日と14日は曇りのため不明。ということで、秋分の日の20日〜21日後がこの場所からの観望好機ということになる。ということは春分の日の20日〜21日前、2013年で言えば2月の27日〜28日頃にも同じ光景が見られるものと予想される。

 なお、上に述べた時期はあくまで私の住んでいる場所からの予想である。今後、冬至に向かって日の出の方位が南に移動するにつれて、岡大・津島キャンパス内の研究棟、旭川右岸沿いのマンションや岡山理大などからも「岡山版・ダイヤモンド富士現象」が見られるはずである。

10月14日(日)

【思ったこと】
_c1014(日)日本質的心理学会・第9回大会(13)個人の準拠枠の変容をTEM・TLMGで描く(13)宗教カルト経験者の価値観の変容過程(5)選択に影響を及ぼす力

 10月13日の日記の続き。

 話題提供の中でもう1つ、「選択に影響を及ぼす力」という考察が大いに参考になった。配付資料によれば、これには社会的方向付け(SD)と社会的ガイド(SG)がある。
  • SD:個人が望む選択肢ではなく、望んでいない特定の選択肢を選ぶように仕向ける、環境要因や文化社会的な力の総体。
  • SG:SDに対抗し、個人の行動を望んでいる選択肢を選ぶように支援する、環境要因や文化社会的な力の総体。

 諸力に対してのイメージが肯定的である場合、SD(ここでは組織と関わる選択えの影響力)は「組織に引き込む力」、SG(ここでは、社会と関わる選択への影響力)は「社会に引き出す力」として働く。いっぽう諸力に対するイメージが否定的な場合、SDは「組織に押し込む力」、SGは「社会に押し出す力」として働くというものであった。カルト宗教との関わりの場合、この2×2の4つの力は
  • 【カルト】組織に押し込む力(SD):重要な他者との関係の不和、カルトへの警戒心のなさ、親の反対・過干渉
  • 【カルトから】社会に引き出す力(SG):責めずにサポートする親、受け入れてくれる世の人々、教義の誤りに対する理解、マインドコントロールについての理解
  • 【カルト】組織に引き込む力(SD):おとなになる価値観、支えてくれる仲間、神とのつながり、恐怖心を煽っての支配
  • 【カルトから】社会に押し出す力(SG):上役・仲間からの圧力、勧誘先での出来事、将来への不安、過活動による体調不良
 もっとも、時間が少なかったこともあり、「諸力に対するイメージ」なるものが何を意味しているのかは聞き取れなかった。行動分析学の視点から言えば、押し込む、押し出すというのは、「嫌子消失による強化の随伴性」、引き込む、引き出すというのは「好子出現による強化の随伴性」と考えることもできるように思えた。

 話題提供の最後では、「Closed System(環境から孤立し環境との相互交渉をしない)」から「Open System(システム内部のみで完結するのではなく、常に外界との交渉を行いながら自己システムを維持していく)」へという主張が行われた。「Open System」に関しては、最近刊行された

TEMでわかる人生の径路 質的研究の新展開

の冒頭にも、

複線径路・等至性モデル(Trajectory Equifinality Model: TEM)の特徴は、人間を開放システムとして捉えるシステム論に依拠する点、時間を捨象して外在的に扱うことをせず、個人に経験された時間の流れを重視する点の2点にある。

と記されており、TEMの根幹でもあるようだ。もっとも、行動分析学的な発想をすれば、人間の発達・成長や、行動や習慣の中長期的な変化は、常に外界との関わりの中で推移していくのであって、そもそもClosed Systemで人間を捉えようとすること自体に誤りと限界があることは明白と言わざるをえないようにも思う。発達心理学や臨床心理学の諸理論の中には、Closed Systemにこだわり続ける流派も少なくないかもしれないが...。

 次回に続く。