じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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一般教育棟構内のグラウンドの隅に、毎年、梅雨の時期に限って出現する「幻の沼」がある。雨の日が多い年にはここでたくさんのカエルがオタマジャクシから成体になるまで育つことができるのだが(2011年7月12日の日記参照)、今年は残念ながら6月29日にいったん干上がってしまって、一度大量に確認されていたオタマジャクシは完全に消滅してしまった。今後の雨しだいではもう一度チャンスがありそう。

7月2日(月)

【思ったこと】
_c0702(月)人間・植物関係学会2012年度大会(5)口頭発表(3)植物等に関わる園児の行動観察/小児病棟における植物の存在意義

 6月29日の続き。

 3番目の口頭発表は、園児が植物等に関わる際の言動や表情や行動を、保育所の園庭で克明に記録するという力作大作であった。こうした質的研究は、園芸活動の効果の検証に役立つばかりでなく、子どもたちの発達を捉える上でも重要である。但し、個々の園児の言動や表情や行動を状況や文脈と関連づけながら記録するという作業には限界があり、一部の目立つエピソードだけ、あるいは観察者の注意の向けている部分だけがピックアップされてしまう恐れもあるので、複数の観察者による同時記録や、ビデオ記録による補完なども必要ではないかと思われた。

 このほか、近くで観察者がメモをとることが園児たちの言動や行動に影響を与えることはないのか、例えば園児が観察者に話しかけてきたときはどう対処しているのかなど、若干の疑問があったが、発表時間の制約により質問させていただくことができなかった。

 続く5番目の発表は、医療施設内学級に併設されている屋上庭園での2人の入院患児のエピソードを通じて、小児病棟における植物の存在意義を論じたものであり、感銘を受ける内容であった。詳しい病名は示されていなかったが、いずれも小児がんやにかかっていて、直前に足を切断する手術を受けていたり、抗癌剤の副作用で髪の毛が抜ける症状があった。屋上庭園の通路に落ちていた鳥の死骸を埋めてやりブルーベリーの枝で作った十字架をお墓のしるしにするといった、子どもなりの死生観がうかがい知れるエピソードもあった。発表レジュメの冒頭にも記されていたが、日本全国の約65%の病院内教育施設において患児が活動できる畑や花壇が存在しているものの、人材不足などを理由に活用しきれていない現状があるという。植物との関わりは、生きる力を実感する上でも、長期間継続的に関わるという面での意義においても、きわめて重要であり、ぜひとも、園芸療法士などを適切に配置してほしいと願うものである。

 次回に続く。