じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 まぶしい朝。梅雨空が続くなか、6月29日(金)の朝は久しぶりによく晴れ、岡大・本部棟のガラスには日の出直後の太陽がまぶしいばかりに反射していた。

 なお、この写真の中には2つの謎がある。1つは、6月中旬以降、本部棟屋上に掲げられていた校旗(学旗)が姿を消したことである。私の記録によれば、三笠宮寛仁さまの「斂葬(れんそう)の儀」が行われた6月14日に、半旗が掲げられ、その翌日かは、現在の状態が続いている。

 もう1つの謎は、写真左端に写っている白い軽自動車。1月30日の日記に記したように、この軽自動車は、半年以上、殆ど駐めっぱなし状態となっている。数ヶ月に一度だけ数日間不在になり、その都度、多少異なる駐車枠内に移動している。2月8日の日記に記したように、学外に出る時には、1日あたり500円、1回につき数万円の駐車料金を払っているという非公式情報があるが、なぜ、そのようなお金を払ってまでここに駐め続けているのかが大きな謎である。


6月29日(金)

【思ったこと】
_c0629(金)人間・植物関係学会2012年度大会(4)口頭発表(2)老人保健施設における園芸療法の効果

 昨日の続き。

 2番目の口頭発表は、老人保健施設における園芸活動の症例紹介であった。対象者は90歳代の女性であり、園芸療法実施前の状態は、要介護度4(傷害高齢者の日常生活自立度B1、認知症高齢者の日常生活自立度Va)、NMスケール評価5点、ADL33点であった。農業で生活していた人で、趣味も園芸であったが、リハビリ中に転倒して骨折。主たる介護者が高齢で在宅での生活が困難となり当該施設に入所したという。

 入所時は不穏な日々が続いていたが、その後、園芸療法活動を実施、そこでの目標は、
  • 長期目標:作業を行うことで他者との交流を図り、楽しみのある生活を送る
  • 短期目標:趣味だった花の手入れを行うことで落ち着いた日々を過ごしてもらう。
というように設定された。スタッフとの関わりの中で、居室ちかくのテラスでプランター園芸を開始。それらを通じて、スタッフとの会話が増え、表情もよくなり、他者との交流やデイルームで過ごす時間が増えてきた、というような内容であった。なお、園芸活動導入後約半年の時点では、ADLは33点から32点となり改善は認められなかったものの、NMスケールのほうは15点から19点となり、特に会話の項目で改善が見られたという。

 以上の発表については、フロアからも活発な意見が出された。まず、老人保健施設は中間施設であり、
マヒやけがの症状が安定した高齢者を、原則として3ヶ月を限度に受け入れ、自宅での生活を可能にするためにリハビリテーションを行う施設。家に帰すことを目的にしているところが、特養との大きな違い。
しかし実際には、特養の空きが出るまで、特養代わりに使われているケースも。リハビリに力を入れている施設、代用特養に甘んじている施設と、施設によってかなり運営実態が違う
という点で、特養とは異なっている。【出典はこちら】。

 今回の症例に関して言えば、「原則として3ヶ月」とあるものの実際には半年以上の入所となっており、また、「主たる介護者が高齢で在宅での生活が困難となり当該施設に入所」という経緯からみても、在宅復帰をめざすことは困難であり、特養の空きを待っている状態であるようだ。そういう中では、やはり、プランターでポット苗を育てるという、比較的短い期間での園芸活動が主体とならざるをえない。猛暑や酷寒の時期もあり、適切な植物の選択が求められる。

 このほか、他者との交流を園芸療法の主たる目的に含めるべきかについても議論が必要ではないかと思う。人付き合いをあまり好まないお年寄りであっても園芸活動を楽しむことは可能であり、あえて、他者との交流を増やすことに力を注ぐ必要があるのかどうかについては、ご当人の意向も尊重した上で検討していく必要があるのではないかと思った。

 次回に続く。