じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 帰宅時、西の空の太陽が雲に隠れて、一瞬、金環日食のように見えていた。5月21日の金環日食でも、このように相当程度暗くなると思われるが、皆既日食ではないので目を傷めないように十分な注意が必要である。

3月28日(水)

【思ったこと】
_c0328(水)第17回人間行動分析研究会(4)行動的コーチング(4)

 昨日の続き。

 話題提供の後半では、アーチェリーにおいて、行動的コーチング(教示とフィードバック)がスキルの改善やスコア(パフォーマンス)の向上にどのように影響を及ぼすのか検討した結果が報告された。実験参加者は競技年数約1年と約2年の女子部員であり、参加者間マルチベースラインによる分析が行われた。ちなみにここでいうスキルとは正しいフォームの出現比率(正反応率)、スコア(パフォーマンス)は競技で獲得した得点のことである。また、行動的コーチングは、ビデオでフォームを撮影し、あらかじめ課題分析により作成した下位技能のチェックリストを満たしているかどうかについて、競技前の教示、協議後のチェックリストのフィードバックなどから構成されていた。結果がのグラフを拝見した限りでは、介入前のベースラインと比べて、1名では行動コーチング実施後にフォームの改善(正反応率アップ)が若干上がったようであったが、もう1名は特段の改善無し。また、パフォーマンス(競技の得点)には特段の改善は認められなかった。このことについては、スキルは獲得できたものの流暢性が未だ不完全であった可能性や、介入期間の短さなどが挙げられていた。

 今回の話題提供では、心理的競技能力(いわゆる「精神力」)の効果については、前半の研究で相関分析がなされたのみであり、顕著な効果はどこにも見出されていなかった。もっとも、だからと言って、「精神力」が無駄であると結論するわけにはいかないだろう。「精神力」と呼ばれる種々の能力はスキルはむしろ、競技生活を長期間継続させていく際のストレスマネジメントや練習行動の動機づけとして効果を発揮しているのではないかと思われる。

 あと、今回の研究では、スキルとパフォーマンスが区別されていたようであるが、これはスポーツの種類によってかなりマチマチであり、一概に行動的コーチングがどちら(または両方)に有効かどうかというような議論はできないように思う。今回取り上げられたアーチェリーは動作の型とタイミングが区別しやすいように思われたが、大相撲の技などになると、上手投げや外掛けという技はフォームとタイミングが一体となって初めて成立するものであり、今回と同様な分析は難しいと思った。


 次回に続く。