じぶん更新日記

1997年5月6日開設
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 耐震改修工事が完了し、工事関係者の方々が使用しておられたプレハブが25日までに完全撤去され、文学部西側の道路が通行できるようになった。

3月25日(日)

【思ったこと】
_c0325(日)第17回人間行動分析研究会(1)行動的コーチング(1)

 3月24日は、第17回人間行動分析研究会出席のため、大阪教育大学天王寺キャンパスを訪れた。

 この研究会は1993年から、大阪市大の伊藤正人先生を中心として始められたものであり、今年で17回となる。伊藤先生は昨年3月に御定年退職されその後1年間特任教授をつとめておられたが、この春で大学を去られることになったという。

 ちなみに、私自身がいつ頃からこの研究会に参加していたのか調べてみたところ、なっなんと、1994年の第2回目で、私自身が、「主観的確率の行動分析」という話題提供をしていたことが判明した。最近では に参加記録があるが、年度末の諸用務と重なり出られない年も多い。

 さて、今回の話題提供は1件のキャンセルがあり、以下の3件にとどまってしまった。
  • 14:30 - 15:20 橘祐子氏:「アーチェリーにおける行動的コーチングとパフォーマンス/スキル/心理的競技 能力間の関連」
  • 15:20 - 16:10 中島定彦氏:「家庭犬のしつけに関する行動原理の知識テスト(KBPAD)」
  • 16:20 - 17:10 伊藤正人氏:「価値を測る:マッチング関数・割引関数・需要関数」
 なお、伊藤先生の演題は当初は「私の研究:来し方行く末」 となっていたが、直前に目のご病気に罹られてって発表のご準備が間に合わず、昨年行われた退官講義の演題に差し替えられたとのことである。速やかな御治癒をお祈りしたい。

 1番目は、橘氏による、アーチェリーにおける行動的コーチングに関する話題提供であった。ちなみにこの「行動的コーチング」は、杉山(1987)では以下のように定義されている。
スポーツにおける様々な動きを観察可能・操作可能なレベルに行動的翻訳し、行動分析の技法を組織的に用いることで、運動スキルの向上をめざすこと


 もっとも行動分析以外のコーチングでも、様々な動きは観察可能・操作可能なレベルできめ細かく把握されている。例えば25日の大相撲千秋楽では、横綱・白鵬が優勝決定戦で鶴竜を破り22回目の優勝を成し遂げたが、その対戦の模様は、以下のように記述されていた。
  • もろ差しを許しても遮二無二、寄って攻め立てると、弓なりになって粘る鶴竜を左からの上手投げで、強引に投げ倒した。(読売新聞)
  • 外四つで追い込んだ鶴竜に土俵際でこらえられたが、最後は左からの上手投げで退けた。(デイリースポーツ)

 しかし、NHKの中継ではこれに加えて、解説の北の富士さんが、
  • もろ差しを許した状態でそのまま寄り切ろうとすると、うっちゃりをくらう恐れがあるので、いったん体勢を立て直した。
  • その後、もろ差しの鶴竜が優勢になりかけた場面で、内掛けをかけてから上手投げにいった。見えていないはずなのにちゃんと内掛けがかかった。
というようなことを指摘していた。ま、解説だから当たり前といえば当たり前だが、じつに細かいところまで技やタイミングを観察されておられるのであった。この相撲に限らず、白鵬というのは、決して上背や力任せで勝っているのではなく、技のかけ方とタイミングに長けた技能力士であると言うことができる。

 少々脱線してしまったが、行動的コーチングでなければできないことは何かについてはもう少し考えてみたいと思う。

 次回に続く。