じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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2011年版・岡山大学構内の紅葉(10)時計台前の紅葉

 時計台前のカイノキの紅葉が見頃となっている。例年に比べると鮮やかさはイマイチ。写真下は、岡大西門前からのアメリカフウ(モミジバフウ)の紅葉。12月3日に実施予定のAO、社会人、推薦入試の案内板も見られる。

12月2日(金)

【思ったこと】
_b1202(金)日本質的心理学会第8回大会(7)「個性」の質的研究(6)〜「平均化」と「純粋化」〜個性をとらえるための2つのアプローチ(2)指差誘導法よりも吸着誘導法

 昨日の続き。

 矢守氏の話題提供の前半では「津波てんでんこ」の4つの意味が、各種の大規模調査に基づいて分析されていた。もっとも、そのうちの多くは、質的というよりは量的なデータに基づくとの印象を受けた。私が理解した範囲で言えば、「津波てんでんこ」というのは単に、大津波発生時の避難指針を表すものではなく、実際にそれが起こった後、「あの時助けに行っていればあの人は助かったかもしれないが、自分だけ逃げてしまった」といった、生き残った人たちの亡くなった人たちへの後悔の念を抑えて前向きに生きることを促す働きがあるようにも思えた。もちろん、「てんでんこ」せずに、最後まで避難を呼びかけたり、近所の人を呼びに行ってそのまま津波に巻き込まれてしまった方々の尊い行為を否定するものではないが...。

 話題提供ではさらに、「津波てんでんこ」の別の意味として

率先避難者がいることが迅速な集団避難を促す。

という効果のあることが分析された。これは、緊急避難時には指差誘導法よりも吸着誘導法の効果であることを裏付けるものであり、Sugiman(1988)等で実験的に検証されているという。
  • 指差誘導法(Follow Direction method):誘導者は「出口はあちらです。あちらに逃げてください。」と大声で叫びながら、誘導者自身も出口へ移動。
  • 吸着誘導法(Follow Me method):誘導者は、自分のごく近辺にいる1名ないし2名の少数の避難者に対して「自分についてきてください」と働きかけ、実際にひきつれて避難。出口の方向を告げたり、多数の避難者に大声で働きかけることはしない。
なお、ネットで検索したところ、こちらで、杉万先生の実験(というかアクションリサーチ)の詳細を閲覧できることが分かった。

 元の「津波てんでんこ」に戻ると、要するに、津波が起こりそうな事態になると、高台のほうを指さして「あちらにに逃げてください」と大声で叫ぶよりも、実際に自分が何人かを連れ添って避難する行動を示すほうが、結果的にそのあとについて避難する人の数を増やせるというようなことらしい。じっさい、この効果は、平成16年9月5日の19時7分頃と23時57分に起こった紀伊半島沖、東海道沖地震における避難行動でも、港町の人たちが逃げてくるのが見えた町では、海に面していないにもかかわらず避難率が高いといった、吸着誘導法の効果(周りで大勢の人が逃げていると自分も逃げる)が示されたという。

 なお、吸着誘導法は、関係者全員が日頃から避難順路や避難先について一定の訓練を受けている状況ではきわめて有効な動機づけになるとは思うが、群集心理やパニックと表裏一体でもあり、大都会で発生する大規模災害において、右往左往する多数の群衆を安全な方向に導けるのかどうかについては不安が残る。

次回に続く。