じぶん更新日記

1997年5月6日開設
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2011年版・岡山大学構内でお花見(78)ヒマワリとコスモスの競演

 7月4日の日記に、岡大構内で最大規模のヒマワリ畑の写真を掲載したところであるが、同じ畑ではその後コスモスが育てられており、そろそろ見頃となってきた。コスモスの中のヒマワリは、わざわざ蒔かれたものではなく、こぼれ種によるものと思われる。よくマッチしているので「競演」というより「共演」と呼ぶべきか。

10月4日(火)

【思ったこと】
_b1004(火)日本行動分析学会第29回年次大会(18)許可の随伴性・阻止の随伴性・ルール支配行動:青年・成人臨床事例からの再考(14)学生相談場面の事例から(7)嘔吐恐怖

 昨日の続き。紹介された2番目の事例は嘔吐恐怖であった。高校生の時にレストランで嘔吐したことがきっかけで、粘度の高い食べ物を食べようと吐き気がするほか、人前で吐くことを恐れて外食する場所には行かれず、さらに緊張が高まると吐くことを恐れて食事を制限してしまう、といった症状であった。ルール支配との関連では「吐いてしまったら周囲から避けられ学校にもいけなくなるので絶対にダメだ」など、いくつかの自己ルールが形成されているようであった。

 これに対しては、まず、種々の食べ物や会食場面について、「どの程度避けたいか」、「この不安はどのくらいか(SUD、主観的不快指数)」といった評定とネガティブなルールの確信度の評定が行われた(いずれも0〜100)。その後、SUDが高い食べ物と低い食べ物をセットにして面接室で食べてもらう、自宅で週5回以上食べた時は彼氏がおごって遊びに行くといった行動契約による介入を行ったところ、食べ物に対するSUDやネガティブな自己ルールへの確信度が低減していった、というような内容であった。

 この事例では、おそらく、SUDの高い食べ物がもたらす条件性の嫌悪刺激(CS)への消去が有効ではなかったかと思われる。ネガティブなルールへの確信度低減は、むしろその結果としてとらえるべきであって、自己ルールが先に修正されてSUDが低減したというようには考えにくいように思えた。

 ちなみに、私自身、かつて、修論や博論で「食物嫌悪」に関する実験研究を行ったことがあったが、内臓系の嫌悪条件づけというのはかなり頑強であって、ルールの修正程度では好悪は変わらないという特徴があるというのが当時からの一般的な知見であった。要するに、「これは体に良い食べ物だ」、「これは不味くないよ」、というような言語的教示だけでは、当人の食物の好みが変わることは無い。「犬が怖い」、「飛行機が怖い」、「尖ったモノは何でも怖い」というような恐怖と、「○○を見ると吐き気が生じる」という内臓系の嫌悪とは、かなり質的に異なった条件づけであって、後者では、一回学習、遅延可能、頑強な消去抵抗といった特徴がある。上掲の事例のように、嫌いな食べ物や場面に少しずつ馴らしていき、確実な安心感を与えていくことが一番ではないかと思えた。

 次回に続く。