じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



09月のインデックスへ戻る
最新版へ戻る
§§
2011年版・岡山大学構内でお花見(71)ヒガンバナのもう1つの名所

 9月22日の日記に、本部棟近くと座主川沿いのヒガンバナの写真を掲載したが、大学構内ではこのほか、一般教育棟東南端(サークル棟の東側)と、放送大学臨時駐車場(旧・将校集会所付近)にも群生地がある。写真は前者で撮ったもの。なお、夕方で暗くなっていたため、少々ぼやけている。

9月27日(火)

【思ったこと】
_b0927(火)日本行動分析学会第29回年次大会(11)許可の随伴性・阻止の随伴性・ルール支配行動:青年・成人臨床事例からの再考(8)ルールに基づく強迫性障がい症例への介入(3)

 お一人目の話題提供では、もう1つ、
  • 確認行動が多すぎて日常生活に支障
という事例が紹介された。確認行動は10年程前に鍵締めから始まり、現在では、店の鍵。水道の蛇口、指さし確認、お金の枚数を数える、ガスの元栓、商品発送時の封入物(注文通りに入っているかどうか何度も開け閉め)、などの確認が多すぎて日常生活に支障をきたし、かつ確認行動事態がストレスになっているという。このほか、規則を異常に守ろうとする傾向もあるという。

 先の事例同様、ここでは本題に関連する部分のみに言及するが、この事例では、

【直前】一時的な不安 → 確認行動 →【直後】不安低減

という随伴性による強化として説明がなされていた、と理解した。

 しかし、直前と直後のボックスに「不安」という内的事象を入れてしまうことは、行動分析学的とは言えないように思う。また、この随伴性だけであるならば、これは、嫌子消失の随伴性(=逃避の随伴性)であって、阻止の随伴性のダイアグラムには相当していない。

 ではどうすれば行動分析学的解釈になるのか、ということになるが、店の鍵を例にとれば、不安低減ではなくて次のような図式になると考えられる。

【前】店内に商品あり→鍵締め確認行動する→【後】商品あり
【前】店内に商品あり→鍵締め確認行動しない→【後】商品なし(←泥棒に商品を盗まれる)

このように考えれば、確認行動はまさに阻止の随伴性によって強化、維持されていると言えよう。但し、上記のケースでは鍵締め確認をしないと確実に商品が盗まれるような図式になっているが、本当のところは、鍵が締める行動自体が商品を守っているのであって、執拗な確認行動は実は必要無いことが分かる。

 このケースでは、「不必要な確認をやめてみましょう」、「確認しなくても大丈夫」というような形で改善をはかっていたようであったが、行動分析学の知見から適応できそうなことを付け加えれば、例えば、
  • 鍵締めの直後に自分自身にメイルを送る。
  • 店を締めたことに連動して別のボックスが開き、そこから自転車の鍵が出てくるようにする。要するに、自転車に乗るためには、店の鍵を締めることが絶対不可欠であるように設計しておく。
  • 締めたことがはっきり分かるような形の鍵を設置した上で、鍵締めの後に必ずその部分をデジカメで撮影してから帰る。確認行動の衝動にかられたときはそのデジカメ画面を再生する。
というように、確認行動をいきなり消去するのではなくて、1回限りで確実な確認ができるようにしておくこともアリではないかと思われる。要するに、行動の原因を、不安という内的事象の変化に求める代わりに、「鍵を締めたかどうか不確実」という事象の確実性を増すようなセッティングを行うことが望ましいのでは、という意味である。

 次回に続く。