じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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2011年版・岡山大学構内でお花見(70)ヒガンバナ

 お彼岸にピッタリ調整するかのように、大学構内各所でヒガンバナが咲いている。写真上と中段は本部棟前の小径。写真下は座主川沿い。

9月22日(木)

【思ったこと】
_b0922(木)日本行動分析学会第29回年次大会(6)許可の随伴性・阻止の随伴性・ルール支配行動:青年・成人臨床事例からの再考(3)ルール支配行動

 昨日の続き。企画者の話題提供の内容についてのコメント・感想をもう少々述べさせていただく。

 企画者の話題提供では引き続き、各種入門書からの引用に基づき、ルール支配行動の定義や論点が紹介された。Catania(1991)では、ルール支配は、「Behavior controlled by verbal antecedents」と定義されていたが、これだけでは、言語的な先行諸刺激がどのようにして行動をコントロールするのか、そのメカニズムは全く分からない。いっぽう杉山ほか(1998)では、

概念: ルール
a) 行動随伴性を記述したタクトが生み出す
b) 言語刺激

概念: ルールによる制御
a) ルールが
b) そのルールの中に示された
c) 行動を制御すること
というように、「行動随伴性の記述」、「タクト」、「ルールの中に示された行動を」といった具体的な定義が織り込まれている。

 さて、今回のテーマの副題は「青年・成人臨床事例からの再考」となっていたが、このこととルールとの関連について企画者は、臨床場面でクライエントが語る、
  • 私がこうするとよくないことがおきる・・・
  • こうしないとよくないことがおきるから・・・
  • どのようにしていもうまくいかない・・・
などの主訴は、ルールとして翻訳可能であり、ルールがクライエントの行動をコントロールしている可能性があると指摘しておられた。

 このことに関してはフロアからも種々の意見が出され、また、翌日の行動数理研究会におけるマロットの講演の質疑の中でも多少指摘されたところであるが、
  • クライエントはどこまで自分の行動を言語報告できるか?
  • クライエントが言語化している「ルール」と、実際にその行動を制御している随伴性は別物ではないか?
  • 直接効果的な行動随伴性で制御されている行動までを「ルール」に置き換えてしまい、行動の原因を内的、あるいは認知的な要因に求めようとしてしまう恐れはないか?
  • 論理療法と同じような方向を目ざすものではないか?
といった疑問が残るように思う。

次回に続く。