じぶん更新日記

1997年5月6日開設
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2011年版・岡山大学構内でお花見(21)桃の花見頃

 農学部農場にはいくつかの桃畑があるが、厳重に管理されており、間近に眺めることはできない。写真上は、金網越しにズームで撮影した桃畑。写真下は、金網のすぐ向こう側に植えられていた苗木。


4月11日(月)

【思ったこと】
_b0411(月)今回の大地震について思ったこと(15)大地震から一ヶ月

 2011年(平成23年)3月11日14時46分18秒に発生した平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震から一ヶ月が経過した。最近では、地震そのものの名称よりも、「東日本大震災」という震災名で語られることが多くなった。

 4月11日にはテレビ等で、1ヶ月の経過を振り返る特別番組が放送され、また、岡大でも、発生時刻の14時46分に黙祷を行うことが呼びかけられた。もっとも、この震災は「すでに終わってしまった過去の出来事」では決して無い。4月11日の17時16分頃と26分頃にはそれぞれ福島県浜通りを震源とする最大震度6弱と5弱の余震、さらに20時52分頃には茨城県北部を震源とする震度5弱の余震が発生しているし、広範囲に放射能をまき散らしている東京電力福島第一原子力発電所周辺では、半径20キロ圏外でも放射線の積算量が一定以上に達すると予測される地域が「計画的避難区域」に設定されるなど予断を許さない深刻な状況が続いている。「震災発生から一ヶ月が経った」というよりも「震災が一ヶ月続いている」という表現のほうがピッタリするのではないかと思われるほどである。

 今回の震災では、津波による大災害のほか、今後も起こりうる地震の話題と、原発関連の話題が大きく取り上げられている。

 このうち、地震自体の話題では、震度6レベルの余震が警戒されていることに加えて、東海・東南海・南海地震が連鎖反応的に起こるのではないかと不安になる。もっとも、こちらの記事によれば、今回の震源は三陸沖の太平洋プレートであり、東海、東南海、南海地震を起こすフィリピン海プレートとは別物だということで、直接的な関連は小さいようだ。じっさい、リンク先のマップを見ると、3月12日に発生した長野県北部の地震、秋田県沖の地震、あるいは茨城県、東京湾などを震源とする小規模の地震もみな太平洋プレートとユーラシアプレートの境目で共通して発生しているように見える。ま、そうは言っても、独立的に発生する確率は決して低くないので、西日本でも警戒を怠ってはなるまい。このほか、活断層による直下型の地震も要注意である。

 次に、福島第一原発事故のほうだが、これについては3月29日の日記にも書いた通りであり、まことに情けないとしか言いようが無い。

 そう言えば、4月11日夜の池上彰さん生出演の番組の中で、原子力安全・保安院の話題が取り上げられていた。原発事故発生後、記者会見に登場する幹部の方の顔ぶれが同一ではないので妙だなあと思っていたが、池上さんの解説によれば、会見に出てくる幹部は、保安院の院長ではなくて審議官であり、事故直後、事故2日後(←長谷川の記憶によるため不確か)に2回も交代しているという。現在の西山・審議官は、原子力の専門家でも何でもなく、ウィキペディア記載の通り、T大学法学部ご出身で、震災前は環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)加盟に携わっておられた方らしい。いつも、部下や東電から提供されたと思われるメモを読み上げるばかりで、あの程度の会見ならこの私だってできるぞと思うほどであった。いったいどのような経緯で、あのような素人がスポークスマンに抜擢されたのだろうか。池上さんは、「原子力の専門家が会見すると専門用語ばかり使ってわかりにくくなるので、専門家で無い審議官が一般人に分かりやすいようにかみ砕いて会見している」というような解説をされていたが、専門家だってちゃんと努力すれば分かりやすい会見ができるのではないか。二度の交代には何か裏があるのではないかと疑いを持たざるを得ない[ ]。
ちなみに、ウィキペディアではこのあたりの経緯について
事故直後の3月12日午後の時点では、本来の担当者である、原子力安全・保安院の中村幸一郎審議官(原子力安全基盤担当)[2]が記者会見を行っていたが、「(1号機の)炉心の中の燃料が溶けているとみてよい」との発言内容に関して官邸側が問題視した[3]こともあって、翌13日午前5時から会見に登場した保安院唯一の技官出身の審議官(原子力安全担当、核燃料サイクル担当)で、JCO臨界事故や新潟県中越沖地震後の柏崎刈羽原子力発電所の対応などの際陣頭指揮を執った根井寿規[4]の後を受け、急遽借りだされる形となった。原子力安全・保安院や資源エネルギー庁勤務経験はあったものの、直前までは通商問題を担当する通商政策局の大臣官房審議官(通商政策局担当)[5]であり、原発の専門家というわけではない。ただ、本省の審議官級では数少ない保安院経験者であったことや、本省の報道室長を歴任していたことから、広報担当として白羽の矢が立った。当初は記者の質問に即答できず、はにかみながら資料をめくり苦慮する姿が印象的であった[6]が、次第に場慣れして円滑にこなすようになり、スポークスマンとして定着している。
と解説している。


 ウィキペディアでは「スポークスマンとして定着している」としているが、原子力の専門家ではない審議官が「この程度では健康には害はない」などとアピールしたところで信用できるわけがない。原子力の安全に責任を持つ立場から原子力安全・保安院として会見するのであれば、東電からの報告を紹介したり「東電に指示」するのではなく、今後想定される様々なトラブルや最悪の事態に対して、もっとリーダーシップを発揮して、先手先手の対応策を遂行してもらいたいものである。

 これまで、地球温暖化防止策の一環として、ガソリン車に替わる電気自動車が期待されていたが、その電源を原子力に頼らざるを得ないようであれば、原発事故の恐ろしさを考えると、むしろガソリン車のままのほうが安全かもしれないと思わざるを得ないところまできている。私自身は決して原発ゼッタイ廃止論者ではないが、今回の事故を教訓にすると、今後稼働する原発では最低限、何重のトラブルにも耐えうる緊急冷却用装置や外部からの送電、地震や津波に耐えうる放水装置、さらに、万が一の汚染水流出に備えた巨大なプール、ロボットによる監視・修復対応などがゼッタイに必要であり。そのための莫大なコストがかかるというのであれば、別のクリーンエネルギーへの代替を進めるほかはあるまいと思わざるを得ない。

 これまで取り組まれてきた太陽光発電、風力発電、地熱発電のほか、海に囲まれているという日本の強みを活かした波力発電潮力発電にももっと力を入れるべきだと思う。