じぶん更新日記

1997年5月6日開設
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2011年版・岡山大学構内でお花見(18)ハクモクレンとコブシの落花を味わう

 満開のソメイヨシノと対照的に、早くも4月2日4月6日の日記に掲載したハクモクレンやコブシの花の落花が始まった。咲いている花もよいが、落ちた花びらが作る花の絨毯もまた趣がある。通行人に踏まれない早朝が特に鑑賞に適している。

4月8日(金)

【思ったこと】
_b0408(金)行動主義の再構成(13)弁別の意義

 各種研究会の参加報告や大地震関連の話題を取り上げていてすっかり間が空いてしまったが、2月10日の日記の続きとして、行動主義の再構成について考えていきたいと思う。なお、これまでに書いたことは、紀要論文にまとめている最中である。

 さて、前回も述べたように、行動分析学の検討の中で使われる、「変化」、「特徴」、「異なる」、「手がかり」と言った議論には暗黙の前提がある。すなわち、これらは、行動遂行者自身を取り巻く環境や、行動遂行者を観察・報告する第三者が用いる表現であって、それを可能にしているのは「弁別行動」であると私は考える。前回の記述を再掲すれば、
広義の「弁別行動」というのは、ある個体を取り巻く環境(またはその一部の要素)が、AとB、...というように2通り以上に異なっていた時、それぞれに対して異なった行動をとるということである。但し、暑い時に汗をかいたり、寒いときに震えるというのは典型的なレスポンデント行動であり、「気温を弁別している」とは呼ばない。通常は、レスポンデント行動、確立操作、強化されているかどうかによる行動の違いは「弁別行動」とは呼ばれない。これらを除外した上で、オペラント行動における狭義の(オペラント)弁別は、直前または同時に出現している環境の特定要素(刺激)の違いに応じて、オペラント行動の生起頻度を変えるようになることとして定義される。

 しかし、今回は、そうした細かい区別にはこだわらず、とにかく、「ある個体を取り巻く環境(またはその一部の要素)が、AとB、...というように2通り以上に異なっていた時、それぞれに対して異なった振る舞いを見せる」ことをすべて「弁別行動」と呼ぶことにしておく。
 ここで改めて念を押しておくが、環境の変化に対応して異なった形を取るというだけの現象は、無生物の世界でも無数に存在する。風が吹けば波が立ち、水を熱すれば沸騰、逆に温度が下がれば凍り付く。但し、無生物の場合は適応という概念は存在しない。

 次に植物の場合は、環境の変化に対応して、蔓を伸ばしたり、根を張ったり、サボテンのように水分が蒸発しにくい形になるというように、形を変えて適応する。但し、これは、系統発生的な変化であり、自然選択により「結果として生き残った」という形で適応していくことになる。(運良く生き残ったということもある。)

 動物の場合は、その本質として、行動という機能が備わっている。このうち、環境変化の違いに応じて行動が誘発されるのがレスポンデント行動である。このうち無条件反射は、系統発生的な変化であり、自然選択により「結果として生き残った」という形で適応していくことになる。また条件反射は、個体が、刺激の複合(複数の刺激が、高確率で接近して出現するような場合)を体験することによって、いままで誘発されなかったような中性的な刺激に対しても行動を発するようになる現象である。これも結果として適応上のメリットがある。

 そして最後がオペラント的な弁別であり、その適応的価値はさらに強大である。

 次回に続く。