じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



12月のインデックスへ戻る
最新版へ戻る
§§ 東大医学部・鉄門記念講堂(正式には「医学系研究科教育研究棟鉄門記念講堂」)14階から眺める後楽園、新宿方面(写真左)。この記念講堂は2005年9月9日にも訪れたことがある(写真右)。あれから3年余りで、周辺や遠方の建物にも変化が起こっている。



12月14日(日)

【思ったこと】
_81214(日)[心理]日本園芸療法学会第1回大会(1)

 表記の学会の記念すべき第1回大会が東京大学医学系研究科教育研究棟鉄門記念講堂で開催された(公式サイトは、こちら)。

 公式サイトにもあるように、この学会は
園芸療法についての情報交換および、学術研究を高めるとともに、園芸療法のわが国での発展、さらに心身の健康と治療、予防、福祉領域への活用を目指すことを目的に、2008年(平成20年)3月に設立され
た、できたてホヤホヤの学会である。もっとも、

 冒頭の理事長(大会長)講演:

「園芸療法の現状と展望」

でもふれられていたように、園芸の療法的活用については、海外ではもとより、国内でもいくつかの病院施設などで個別に実施されていた。また、関連する研究会組織や教育機関もいくつか存在していた。

 その後、人間・植物関係学会2001年に設立され、園芸療法についてはその中の部会として資格認定制度が開始されていた。なお、今回の園芸療法学会設立に合わせて、「人間・植物関係学会が整備してきた園芸療法士資格認定制度を,日本園芸療法学会へ移譲すること」が,3月22日の人間・植物関係学会理事会で承認されている。

 そのような経緯もあり、新しくできた学会の理事諸氏の面々は、人間・植物関係学会を通じて存じ上げている方々が多い。但し、どちらかというと人間・植物関係学会のほうが農学部園芸系の方が多いのに対して、新しくできた学会のほうは医療系や福祉施設系の関係者が多いようにも見えた。

 私個人としては、すでに、いくつかの全国学会に入っていて、毎年の大会に参加する時間的余裕が乏しくなっていることもあり、この園芸療法学会については、11月になってから遅めに入会。今回は、一会員として講演や発表を聴きに行くというだけにとどめた(但し、大学院生の連名発表者には名を連ねている)。




 さて、この新しい学会は、「園芸療法についての情報交換および、学術研究を高めるとともに、園芸療法のわが国での発展、さらに心身の健康と治療、予防、福祉領域への活用を目指すことを目的」としているわけだが、今回の大会の基調講演やパネルディスカッションなどでも出たように、これを達成するためには、複雑系、そして全人的、長期的視点における療法的効果をどのように検証するかという問題がある。これはおそらく、20世紀型の自然科学では対処しきれない課題を含んでいる。単に「園芸」という領域に特化された研究を行うことにはとどまらず、むしろ、「園芸」を1つの検討ツールとして、さまざまな療法、セラピーに一般化可能な、複雑系、全人的、長期的視点に関わる諸課題を広く検討していくことになると期待される。

 次回に続く。