じぶん更新日記

1997年5月6日開設
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§§  10月24日(金)2008年版・岡山大学構内の紅葉(5)
朝の時計台前。霧のかかった半田山と楷の樹の紅葉が美しい。


10月24日(金)

【ちょっと思ったこと】

またまた風邪?

 10月17日の日記で珍しく風邪をひきかけたと書いた。風邪といっても首の横からリンパ腺、頭頂部にかけて突発的に頭痛は走る程度で、鼻水や咳が出るわけではなかった。土日に安静をとっていったん回復したかと思われたが、授業や長時間会議を繰り返しているうちにまたまた頭痛が復活。今度の土日も山登りはできそうにもない。先週と同様、できる限り外出を避け、自宅で布団にもぐったり、ネット掲載用の旅行写真を整理して過ごすことになりそう。

【思ったこと】
_81024(金)[一般]円高、何が悪い?

 各種報道によれば、10月24日の日経平均株価は、前日比811円90銭(9.60%)安の7649円8銭で、バブル崩壊後の最安値7607円に迫る水準に落ち込んだ。いっぽう、外国為替市場のほうは、東京市場で1ドル94円台に突入したのち、ロンドン市場では一時90円台、その後ドルが買い戻されたが、25日朝の時点で94円台と大幅円高傾向が続いている。

 世界同時株安の流れの中で東京株式市場が急落したことは理解できるが、私がよく分からないのは、なんでこの時期に円だけが独り勝ちしているのかということである。素朴に考えると、円が強いということは、他国通貨に比べてそれだけ日本の経済が信頼されているということであり、そのことを誇りに思ってもよいのではないかと思う。もっとも、一説によれば、円高が急速に進んだのは、日本の実体経済が相対的に強いからではなく、要するに、海外の高金利通貨に投資していた国内投資家や、「円キャリー取引」で儲けていた海外の機関投資家が、高金利通貨が暴落したために慌てて手じまいを始め、円を買って借金を返そうとしたことが主原因であるという。またこれは私の勝手な推測だが、日本株を売ろうとしている海外投資家にとっては、株式市場が急落しても円高が進めば損失は少なく済む(株が10%下がっても、円が10%上がれば同じこと?)。売り抜ける前に意図的に円高を仕組んでいるのではないかという気がしないでもない。

 とにかく円高が進んでいることは間違いないのだが、これって本当に悪いことばかりなのだろうか。ウィキペディアの当該項目にも記されているように、確かに、
円相場が円高に傾くと、外貨建て債権を有する日本の輸出産業は為替差損を被ることになり、経営が圧迫される。逆に輸入産業は為替差益を得ることになるが、日本は貿易収支が大幅黒字国であり輸出産業の方が経済に及ぼす影響力が強いため、日本経済全体としては、差益より差損の方が大きくなる
というマイナス面はあるだろう。しかし、ニュースなどで、ネガティブな面ばかりが強調されるのもどうかと思う。

 とにかく円高になれば、外国の物は何でも安く手に入る。円高が悪いというのであれば、このさい外国からどんどん物を買えば適度な円安水準に戻るはずだ。

 とはいえ、原油を買い占めて備蓄するというのは、今の世の中では推奨されない。世界中から非難されるばかりであろう。ゴールドを買い占めて、黄金の国ジパング再建をめざすとか、美術品購入にあてるというはいくらか批判は少ないとは思うが、投機をもくろむ限りにおいてはいずれ破綻する。

 このさい大切ではないかと思うのは、100年先までの持続可能な発展をめざすことである。例えば、クリーンで安定的なエネルギー確保のための設備を外国から導入するといった方策が考えられる。聞くところでは、風力発電設備の大部分は輸入品であるという。国産機の開発ももちろん必要だが、このさい、円高を利用して外国から大量に発電機を輸入しておけば、将来のエネルギー需要の確保につながる(←風力発電は森林破壊につながるという批判もあるようだが、海岸や海上など、自然破壊につながらないような設置が求められる)。

 円高のメリットとしては他に、海外旅行代金の値下げがある。もっとも、単に物見遊山で散財してくるというのではなく、例えば、中学や高校の修学旅行先として海外を選ぶとか、大学生の短期留学のための奨学金を増やすといったように、海外での体験が将来に役立つような活用のしかたを検討すべきである。

 このほか、日本人ボランティアが海外で活動するための渡航費や滞在費をもっと援助するとよい。形の上では「日本の独り勝ち」であっても、そういう時にこそ、円高を利用した人的支援を強めれば、相手国から信頼を得て、真の友好関係を持続させることができ、これは結果的に日本の国益にもつながる。

 全くの素人であるため、あまりよいアイデアは浮かばないが、とにかく円高になればなったで、それなりに良いことがいっぱいあるはず。目先の利益を追うのではなく、中長期的視点でそのメリットを活かすような工夫が求められる。