じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 岡山大学構内の紅葉情報の第13回目(2007年11月19日撮影)は、紅葉の半田山のパノラマ写真。11月17日の日記とほぼ同じように見えているが、11月17日は生協・マスカットユニオンから、今回は図書館の窓から撮影したものであり、若干、アングルが異なっている。津島キャンパスと半田山の間は、かつては水田耕作地帯であったが、今回の写真にもあるように、現在は、戸建て住宅や学生用マンションがひしめき合っており、年々変貌を遂げている。

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11月19日(月)

【ちょっと思ったこと】

指先が痛い理由

 右手の人差し指の指先が痛くて、パソコン・キーボードの打ち込みやマウス操作に若干支障が出ている。指先限定の腱鞘炎かと思ったが、ここ数日、長時間の入力作業をしたわけでもない、おかしいなあと疑問であったが、1つだけ、思い当たることがあった。日曜日に、寒波の到来に備えて洋蘭や観葉植物の鉢を室内に移動していたのであった。鉢の縁を指先でひっかけて何度も何度も重い鉢を運んだため、こうなったのだろう。ちなみに、岡山市の19日の最低気温は3.4度であった。霜は降りなかったようだ。





ホームズ彗星、29、30回目

 11月19日(月)の夕食後と20日(火)の早朝5時半頃に、双眼鏡でホームズ彗星を眺めることができた。

 18日の夕食後は双眼鏡でやっと見える程度。この日の月齢9.5であり、そろそろ月明かりの影響が出てきた。いっぽう19日早朝はまだまだ鮮明であり、ペルセウス座α星そのものが彗星の核であるかのように見えていた。α星と北極星を結ぶ直前状に尾が伸びているような感じ。なお、いまの時期はしし座流星群のピークにあたっているが、18日早朝、19日早朝のいずれにおいても流れ星を見つけることはできなかった。

【思ったこと】
_71119(月)[心理]日本心理学会第71回大会(56) 日本人は集団主義的か?(21)年功賃金の国際比較

 シンポの3番目は、小池和男氏(法政大学)による

●「日本的経営」論の検証

に関する話題提供であった。日本心理学会第71回大会が開催されたのは今年の9月18日〜20日であり、すでに2カ月が経過しているが、小池氏の話題提供が、この時に拝聴した最後の話題提供であった(9月20日は16時から18時までの間に最後のセッションがあったが、私が参加したのは15時半までであった)。

 小池氏の話題提供そのもののタイトルは

●集団重視か個人重視か〜労働慣行からみると

となっており、具体的には
  1. 視点
  2. 年功賃金の国際比較
  3. 終身雇用か
  4. 集団重視と誤解させたもの
という構成になっていた。前回までに取り上げた三輪氏の話題提供同様、この方面については私は全くの素人であり、しかも、企業に勤めた経験が無い。雇用形態や賃金体系の特徴は、「NHKクローズアップ現代」などの特集、カイシャを舞台にした種々のテレビドラマ、企業に勤めている人たちのWeb日記や知人・友人からの体験談、というように情報の入手先が偏っており、今回の話題提供はそれを正すよい機会になった。




 さて、日本の労働慣行は、長期にわたる勤続と、勤続年数に依存した報酬制度という点で、集団重視であると言われてきた。しかし、このことについての各国統計は稀であり、年功賃金についても国際比較が可能なデータは少ないということであった。そんな中、いくつかの良質なデータで年齢を横軸、賃金を縦軸にしたグラフで比較してみると、まず、どの国のどの職種であっても10歳代後半から20歳代前半まではかなりの上昇が見られる。そしてそこから先の上昇の有無は、職種(ブルーカラーかホワイトカラーか)や国によってかなり異なっているが、ホワイトカラーの賃金を見る限りでは、日本は、欧米の賃金と大して変わらない上昇カーブを描いているように見て取れた。

 もっとも、単に年齢の増加(←但し定年までのあいだ)と賃金に正の相関があるというだけでは、年功序列賃金の証拠にはならない。たいがいの職種では、歳を取れば取るほど経験が蓄積し、そのことによって昇進し、重要なポストに就くようになり、賃金も増えるようになる。しかし、その場合の賃金アップは、経験や任務の重要性を反映したものであって、決して年月が過ぎたために努力と無関係に増えたというものではない。

 というような視点から、小池氏は「上がり方」と「きめ方」の区別を強調しておられた。要するに、各人の働きぶりや能力をどの程度評価しているのか、賃金や昇進を決めるにあたって評価結果をどの程度反映させているのか、について、それぞれの企業の実態を把握する必要があるというわけだ。

 さてに考慮すべき点は、実際に査定が行われていたとしても、そのことによって昇給、減給、降格、延伸などに該当する従業員がごく僅かの比率に過ぎないのであれば、結果的には、「年功序列」と同じようなカーブを描いてしまうことになる。ま、「全員が切磋琢磨して仕事に励んだので、結果的に差がつかなかった」ということも無いわけではない。

 こうしてみると、たぶん給与の上がり方、という数字だけから年功序列賃金の証拠を得ることは難しい。むしろ、職場内において、各人のスキルアップのためにどういう方策が講じられているのか、有能な若手がどれだけ抜擢されているのか、というように、賃金平均値カーブには反映されにくい事例を丹念に集めていくことのほうが重要であるように思われた。ウィキペディアの当該項目に記されているように、小池氏はそうしたご研究の第一人者であられる。

 次回に続く。