じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典





11月のインデックスへ戻る
最新版へ戻る

 嫌われ者として知られているが、衛生環境の整備、網戸の普及などにより、最近ではこの生物と関わる機会がめっきり減ってしまった。ゴキブリや蚊やスズメバチなどに比べると、この生物が人間に実害はかなり少なく、共存化が進んでいるようにも思える。



11月8日(木)

【ちょっと思ったこと】

ホームズ彗星、月と水星その後

 11月9日は、東の空地平線近くに雲が残り、金星、水星、スピカは見えたものの、月齢28.7の細い月を眺めることはできなかった。ホームズ彗星のあたりにも薄雲が広がっており、双眼鏡で確認するのがやっとであった。ホームズ彗星観察はこれで通算12回目。

【思ったこと】
_71108(水)[心理]日本心理学会第71回大会(46) 日本人は集団主義的か?(11)囚人のジレンマ実験

 高野氏の話題提供では、行動研究の日米比較の一環として、同調実験に続き協力行動の実験についての紹介があった。

 ここで言及されたのは「囚人のジレンマ」タイプの実験である。「囚人のジレンマ」についてはウィキペディアの当該項目にも解説があるのでここでは詳しい説明は避けるが、要するに、
  • 他者が協力しているなかで自分だけ非協力→報酬量最大
  • 全員が非協力の場合→報酬量最小
  • 全員が協力→報酬量はあるていど確保され、結果として全員が得をする
というような結果随伴の非ゼロ和ゲームのことである【長谷川による】。自分の利益より集団の利益を優先するという「協力行動」が顕著に見られる集団はそれだけ「集団主義的」と解釈される。しかし、Yamagishiが1988年に行った実験では、実際の「協力」回数は日本人被験者の集団のほうが米国人被験者の集団よりも少なかったという。

 けっきょく、種々の研究全体で比率をとってみると、日本とアメリカでほぼ等しい結果になったという研究が11例、アメリカのほうが集団主義的であるという結果は5例、日本のほうが集団主義的であるという結果はわずか例にすぎなかったという。




 さて、日本人のほうが集団主義的であるという通説を支持した唯一の研究というは、実は、Hofstedeの1980年の研究であり、11月5日の日記でリンクしたこちらのサイトはまさにこのランキングだったのである。この点について高野氏は、Hofstedeの結論は「個人主義的因子」に因子解釈の誤りがあるのではないかという精査結果を論じられた。じっさい、Hofstedeの質問紙調査項目の中にはマイナスの負荷量の大きい「技能を向上させたり、新しい技能を修得させるための訓練の機会があること」というような項目や、「より物理的な労働条件(良い換気、照明、適切な作業空間など)が備わっていること」といった項目が含まれているが、これは「個人主義vs集団主義」とは別物である、という御指摘であると理解した。

 11月5日の日記で私自身も指摘したが、どうやらこの「測定」では、欧米先進国の生活様式に一致すると高得点になるような調査項目が含まれている模様である。


 次回に続く。