じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 岡山大学構内の紅葉情報の第四弾。写真上から、
  • 岡大西門近くの座主川。
  • 2番目は岡大西門左手、文化科学系総合研究棟(& 放送大学)前の広場。
  • 南北通り・岡大西門バス停付近から南方向。
  • 農学部前の楷の樹。



11月5日(月)

【思ったこと】
_71105(月)[心理]日本心理学会第71回大会(43) 日本人は集団主義的か?(8)国別の個人主義ランキング

 前回までのところでは、高野氏の話題提供に関連して「日本人=集団主義」エピソードを取り上げた。しかし、高野氏御指摘のように、「この種のエピソードは、恣意的に選択することで、どのようにも主張ができる」ものであって、妥当性・信頼性に欠けている。

 ではどうすれば、実証的な比較研究ができるのか。心理学の国際比較研究には、集団主義vs個人主義の程度を直接測定する力があるというのが高野氏の御主張であった。

 正確な調査方法はは聞き逃してしまったが、どこぞのデータとして「個人主義ランキング」というのがあるそうだ。高野氏のスライドでは、1位はアメリカ(因子得点91点)、2位オーストラリア、3位イギリス、...と続き日本は第22位(因子得点46点)となっていた。

 ネットで検索したところ、こちらに、ほぼ同じようなランキングがあった。こちらでは、1位はアメリカ、2位オーストラリア、3位イギリスまでは同じだが日本は先進29カ国中24位となっていた。因子得点は同じ値が示されていた。ちなみに、お隣の韓国は、高野氏のデータでは43位(因子得点18点)、リンク先のランクでは29カ国中最下位(因子得点は同じ)になっている。

 リンク先からの孫引きによれば、これらのデータは、http://www.geert-hofstede.com/に詳しく紹介されており、「個人主義」を含めてfive Cultural Dimensionsの指標値(上下関係の強さ、個人主義、男性中心主義、リスク回避志向、長期的視野)が国別に紹介されている。そうそう、そう言えば、「five Cultural Dimensions」については以前にも話題として盛り上がったことがあった。だんだん記憶が蘇ってきたぞ。

 もとの話題に戻るが、上記のランキングで日本が22位(または24位)、因子得点46点というのはどう解釈すればいいのだろうか。確かに、欧米先進国と比較すればスコアは低い。しかし、ロシアのスコアは39点、アジアのデータの中にあるインド48点、中国20点、韓国18点、その他、中東、アフリカなどのスコアと比較すると、日本人だけが特段に低い(=集団主義的)というわけでもなさそうだ。どうやらこの「測定」では、欧米先進国の生活様式に一致すると高得点になるような調査項目が含まれている模様である。あくまで想像だが、仮に「夕食後は家族全員で同じテレビ番組を視るか、個室で家族バラバラに別の番組を視るか」という質問があったとすると、後者のほうが個人主義的ということになるのだろうが、そうは言っても、個室それぞれにテレビを置くにはそれなりの収入が無ければならない。「家業を継ぐか、自由に仕事を選ぶか」なんていう質問の場合も(あくまで仮想)、その国の経済が一定水準以上でなければ、意味をなさない。明日の糧に困るようでは、自由に仕事など選ぶことができないからだ。高野氏もたぶん、そういうことを言いたかったのだと思う。


 次回に続く。