じぶん更新日記

1997年5月6日開設
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[今日の写真]
 一般教育棟(旧・教養部)構内のソメイヨシノが落花さかん。2005年4月13日にも写真を掲載しているが、今春は「芝コン禁止」となったおかげで、大量のゴミ、ブルーシート、バーベキューの炭殻などが無く、静かに過ごすことができる。

 なお、4月14日夕刻より、散歩道でクビキリギスの「ジーッ」という鳴き声が聞こえるようになった。2000年4月14日と同一日に初鳴き。



4月15日(日)

【思ったこと】
_70415(日)[教育]第13回大学教育研究フォーラム(6)土井氏、小笠原氏、松浦氏の話題提供


 執筆が大幅に遅れてしまっているが、3月27日に行われた

●シンポジウム 14:25〜17:00 「大学教育の再構築−専門職化と教養教育再編の狭間で−」
  • 話題提供1 土井真一 (京都大学大学院法学研究科・教授)
  • 話題提供2 小笠原正明 (東京農工大学大学教育センター・教授)
  • 話題提供3 松浦良充 (慶應義塾大学文学部・教授)
  • 話題提供4 大山泰宏 (京都大学高等教育研究開発推進センター・助教授)
  • 全体討論 司会:大塚雄作(京都大学高等教育研究開発推進センター・教授)
のメモ&感想。

 1番目の土井氏の話題提供は、

●高度専門職の養成と教養教育−法律専門職を中心に−

という内容であった。

 ウィキペディアの当該項目に解説されているように、法科大学院の制度は2004年4月に創設されている。その趣旨は、
法科大学院は「専門職大学院であって、法曹に必要な学識及び能力を培うことを目的とするもの」をいうと定められている(法科大学院の教育と司法試験等との連携等に関する法律第2条第1項)。法科大学院の制度は、2004年(平成16年)4月に創設された。

法科大学院の課程の標準修業年限は、3年である。ただし、入学試験で各法科大学院で法学既修者の水準にあると認められた場合、2年とすることもできる(専門職大学院設置基準)。一般に、3年の課程を未修(法学未習者課程)、2年の課程を既修(法学既習者課程)という。
となっているわけだが、ウィキペディアの当該項目にもある通り、制度導入や制度自体についてはいろいろと問題を含んでいるようだ。

 ひとくちに「高度化」「多様化」と言っても、専門職固有の知識と外在的能力のバランスの問題があるし、法学部教育(法学系の学士課程教育)や博士課程との位置づけの問題、リベラルアーツとしての教養教育のあり方をめぐる問題などがあるというような話題提供であると理解した。教養教育なども、まかり間違えば「文化知識人サークル」「クイズ王」とそれほど変わらないものになってしまうという話が面白かった。

 別の会合で、法学既習者とそうでない出身者に同じ授業ができるのかという話も聞いたことがある。いずれにせよ、法科大学院は、作ってはみたものの、まだまだ前途多難であるとの印象を受けた。




 2番目は、小笠原氏による

●カリキュラムの構造化と教育の組織化

という話題提供であった。エリートモデルからマスモデルとなる中で、大学教育において「特殊な学生に対する特殊な教育」から「多様な学生に対する効果的・効率的な教育」が求められており、具体的には
  • カリキュラムの構造化:多様なレベル。コースの複線化。Science for Allの強化。
  • 教育の組織化:個人から組織へ。ITの強化。TA制度の整備。
などが挙げられた。先の寺崎氏の講演では“ディシプリンから「課題探究・解決型」”という指摘があったが、小笠原氏はむしろ、「ディシプリンを挙げた取組が必要」という立場を表明されていた。

 3番目の、松浦氏の話題提供では
  • 大学教育の再構築と「学習」概念:大学における「学習」観の一元化
  • 「学習」から「ラーニング」へ:「学習」論から「学び」論への転換
  • 大学教育の統合的理念としての「リベラル・ラーニング」
というような話題が取り上げられた。教養教育とリベラル・ラーニングの違い明確にする必要がよく分かったが、それぞれ奥の深い内容であり、ここでは見出し項目を列挙するだけにとどめておく。

 次回に続く。