じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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[今日の写真]
夕暮れのイチョウ並木。12月19日17時半頃撮影。このWeb日記でも何度か取り上げているが、一年中で日没が最も早いのは冬至ではなく12月上旬である(2004年6月16日の日記参照)。こちらの表によれば、12月19日の日の入り時刻は16時56分。12月2日〜8日頃の日の入り時刻16時53分よりはすでに3分ほど遅くなっている。


12月19日(火)

【思ったこと】
_61219(火)[一般]ワーキングプア再考(4)働き続ける高齢者

●NHKスペシャル「ワーキングプアII努力すれば抜け出せますか

という番組の感想の4回目。番組では「女性たちの悲鳴」、「景気回復を実感できない」という事例紹介のあと3人の専門家によるコメントが挿入されていたが、これについての感想は次回以降に回すことにしたい。引き続いて紹介されたのは、「働き続ける高齢者」であった。

ケース5:Kiさん(80歳の男性、妻は75歳)
  • 路上で集めた空き缶を業者に売って生計を立てている。妻も協働(ひと缶あたり2円、ひと月5万円)
  • 大工として高度成長の頃から建築を手がけてきた。長男として親や兄弟を養う必要から、年金の払えない時期があり、結果的に5年分不足して、年金受給資格を失った。
  • いざという時にとってある70万円の貯金があるため、生活保護は受けられない。
  • 離れて暮らす2人の息子がいるが、どちらの家族も教育費やマイホームのローンに追われている。
  • 妻:「親はもう、子どもから貰わずに死にたい」
  • 年金が全く無いお年寄りは国の推計で40万人。
  • 年齢が高いため、公園清掃の仕事は辞めざるを得なかった。
  • 空き缶拾いも競争が激しくなり、またKiさん自身も持病の発作が出るようになり、月5万の収入確保が難しくなってきた。


ケース6:Kaさん(76歳の男性)
  • 年金はひと月6万円。
  • おととしから公園清掃の仕事で8万円の収入。
  • 特別養護老人ホームに入っている妻の費用が毎月6万円かかるので、年金だけでは暮らせなくなった。
  • 家の内装工事の仕事をしており、35坪の借地に自分で家を建てて50年間夫婦で暮らしていたが年金だけでは地代を払えなくなり、7年前に市営住宅に引っ越し。引っ越し後に、アルツハイマー型認知症の症状が妻に出てきた。
  • 老人ホームの入居費は去年秋より1万円増えた(介護保険法改正で食費や部屋代が自己負担になったため)
  • 子どもが居ないので、自分が先に逝ってしまって妻だけが残された時のために、毎月の8万円の収入の中から貯金を始めている。


 この2つのケースはどちらも大変深刻な状況にあると拝察するが、この連載で私が提示している2つの視点:

【1】そういう事態がなぜ起こったのか。それを防ぐ手だてをどうするか。
【2】起こってしまっている事態にどう対処するか。

に分けて考えてみると、2つのケースの間にはかなりの違いがあるように感じた。

 このうちケース5のKiさんの場合、「80歳になったお年寄りが、空き缶を集めてやっとこさ生計をたてている」というのは映像としてはショッキングであるが、【1】に照らしてみると、
  1. 受給資格を満たすだけの期間、年金を納めていなかった。
  2. 70万円の貯金があるので生活保護を受けられない。
  3. 子どもからの支援を受けようとしない(時たま仕送りをしてもらう程度)。
といった事情があることが分かる。1.は今さらどうしようもないことだが、現在、年金の未納を続けている人たちにとっては教訓になるだろう。ご当人たちには気の毒な言い方かもしれないが、貧しい生活の中でも年金をきっちり納め続けた人と、それを怠った人が、老後に同等の収入を保障されるような社会では、公平性は損なわれてしまう。公平とは、「皆が同じ扱いを受ける」ということでは必ずしもないと思う。やるべきことをきっちり守った人と守らなかった人に差をつけてこそ、真の公平が保たれると私は考える。もちろん、生活が困窮状態にある人から多額の年金を徴収するという仕組みがあるならば直ちに改めるべきであろうとは思うけれど...。

 「70万円の貯金があるために生活保護を受けられない」という事情はよく分からないが、3.や 「親はもう、子どもから貰わずに死にたい」という奥さんの言葉から察するに、この老夫婦には、昔気質のプライドがあり、「人に助けてもらうくらいならのたれ死んだほうがマシだ」というお考えがあるのだろう。

 ま、そうは言っても、「プライドは捨てて、素直に今の社会の制度に従って援助を受けなさい。子育てで頑張ったんだから、いま、お子さんの家に身を寄せてもちっとも恥ずかしくありませんよ。」と説得することが、御本人たちの「誇りある老後」にとってプラスに働くとは思えない。このケースでは、やはり、超高齢者の雇用の機会を増やせという他はあるまい。




 もう1つのケース6のほうは、伝えられた情報だけから考えると、どうみても社会のほうが悪いように思えてならない。なぜ年金額が夫婦併せて6万円にすぎないのか、認知症の奥さんの入居費への公的支援はないのか、このあたりは専門的知識が無いので何とも言えない。35坪の借地に50年間も暮らしていたら借地権が発生していたようにも思うのだがこのあたりも分からない。


 次回に続く。