じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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[今日の写真] 土日出勤の振替休日を利用して「とっとり花回廊」へ行ってきた。平日なのでガラ空きかと思っていたが、入場者は予想以上に多かった。なかでも、フラワートレインは昼過ぎには満員で2台がフル稼働の盛況。興味深いのは乗客の顔ぶれである。フラワートレインの外観だけからは、子どもたちに人気の乗り物のように見えるが、じっさいは大部分が60歳代以上の高齢者ばかり。歩かずに園内の見どころを回れるのが人気を呼んでいるようだ。なお、写真にも写っている大花壇一帯では、高齢者の人たちが植え替え作業をしておられた。どうやら福祉・自立支援対策も行われている模様。5月19日の日記で取り上げた「福祉一体型のテーマパーク」のモデル?


5月29日(月)

【思ったこと】
_60529(月)[教育]第54回 中国・四国地区大学教育研究会(3)大学ランキングの功罪(1)

 連載の3回目。今回は、3番目の清水建宇氏の話題提供に関して感想を述べることにしたい。

 清水氏の話題提供を拝聴するのは昨年3月に参加した「大学コンソーシアム京都」に続いて2回目であり、内容的には大差なかった。もっとも前回は主として京都地区の大学関係者の集まりであって、今回の中四国地区の大学関係者とは異なっていた。殆どの参加者にとっては新鮮な話題として受け止められたのではないかと思う。

 ちなみに、清水氏は新聞社のお仕事を33年続けておられるということだ。このうち20年間は事件記者であり、特に殺人事件にはお詳しいとか。最近6年間は、論説委員やテレビ出演の仕事をされているが、このランキング本の制作はボランティア(=編集作業に対する特別の報酬は受けていない)ということである。




 さて、清水氏によれば、大学像の描き方は、「誰が、何のために、誰に向けて、どのように」という点で、大雑把に3つに分けることができる。
  • 自己点検評価:「当該大学」が「教育研究の向上」のために、「大学・政府」に向けて、「絶対評価」により行う。
  • 認証評価:「認証機関」が「大学の質の保証」のために、「大学・政府」に向けて、「絶対評価」を行う。
  • 大学ランキング:「社会」が「大学を選ぶ」ために、「ステークホルダー」(直接・間接的に関係する者、ここでは受験生主体)に向けて、「相対評価」を行う。
 清水氏が示すように、自己点検評価の報告書は膨大なページ数から成り立っているが、その大部分はステークホルダーとって役立つ情報とは言い難い。また、認証評価報告書は、その殆どが自己点検の記述を肯定したものであり、若干の注文書きは、例えば「学生定員に対して実員が過剰である」といった程度で、この程度の問題点指摘であれば、何も自己点検評価をしなくても、5月頃の文科省調査の数値で読み取れるだけである。

 清水氏の話題提供ではもう1つ、総合ランキングは行わないという点が繰り返し強調されている。その理由は、
  • ウェイトのかけ方(重み付け)が読者によって千差万別であること、
  • そもそも、ランキングは「評価」ではなく、整理された情報にすぎないこと
  • それぞれの指標におけるポジション(順位)は、大学像を描くための絵筆・絵の具のようなも
といった点にある。ちなみに、最近の国際会議で、総合ランキングを公表するにあたっては、
  • ウェイトの置き方の合理性、妥当性を示す
  • データの出典を明示(データの透明性を高める
といった基準が確認されたという(「ベルリン原則」と言うそうだ)。




 以上が、清水氏の話題提供の概要であったと理解しているが、私自身は、以上の話を伺っても、ランキングが「ステークホルダー」に有益な情報を与えているかどうか、まだまだ納得できない点がある。

 その理由の第一は、清水氏ご自身も認めておられるように
  • 数値化できる情報しか載せることができない
  • 数値化できる情報であっても、データが集まらない場合は載せることができない(←ぜひとも必要なデータであったとしても、わざわざお金をかけて実態調査するつもりは無いらしい)。
というように、データの掲載項目が偏っているのではないかという点である。

 例えば、私のような自然志向の立場から言わせてもらえば、大学の勉学環境を考えるにあたって
  • キャンパス内の樹木の数
  • キャンパス内で咲く花の種類
  • キャンパス内にやってくる野鳥の種類と数
などはとても重要な情報ではないかと思うのだが、たぶん掲載されていないだろう。

 もう少し現実的な情報としては
  • 学生1人あたりの平均通学時間
  • キャンパス内の禁煙対策
  • キャンパス内の騒音(キャンパス外からの車の騒音、キャンパス内のエンジン音など)
なども有用なはずだ。

 清水氏の話題提供に関しては、以上のほか、もっと根本的な疑問があるのだが、時間が無くなってきたので、次回に続く。