じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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[今日の写真] 5月20日朝の半田山。霧がかかって高原の雰囲気。手前はカボチャ畑。


5月19日(金)

【ちょっと思ったこと】

レジャー施設の代わりに居住・福祉一体型のテーマパークを

 少し前のニュースになるが5月13日の各種報道によれば、奈良ドリームランドが8月末で閉園になると聞いた(アサヒコム参照)。最盛期の1960年代には年間約160万人が訪れたが、ここ数年は約40万人に落ち込んでいたという。このほか全国各地で、テーマパークや遊園地の閉園が相次いでいるという。

 私の住んでいる岡山でも、時たまチボリ公園の経営再建が話題になる。アサヒコムの最近の記事によれば、2004年時点で、年間34億円の売り上げに対し44億円を投入するという赤字体質が続いており、累積赤字は107億円、一部には「チボリ廃園論」も出ているという。チボリの場合は「県立公園化」が決まっているということなので、一企業の経営問題として片付けるわけにはいかない。私自身、かなりの額の住民税を徴収されているが、その一部が失策の穴埋めに使われることになれば文句の1つも言いたくなる。

 この日記でも何度か書いたことがあるが、そもそも今の時代、日常生活と異質な空間を体験するというだけであれば、バーチャルであるとは言え、自宅のパソコンでも十分にリアルに実現できる。少しお金があるなら、海外旅行にでも出かけたほうがよっぽど楽しめる。期間限定の博覧会形式ならともかく、常設のレジャー設備など作っても1〜2回で飽きられてしまうのは当然。生き残れるのは、東京ディズニーリゾートくらいのものだろう。

 海外の街並みと言えば、最近では、新疆ウィグルウユニスクレラサカイロ旧市街などが印象に残っているが、どこもみなそこに暮らす人々があっての街並みであった。それらを映画のセットみたいに外形だけ模したテーマパークを作って、アルバイトの若者に民族衣装など着させたところで、満足できるわけがない。

 ではどうすればよいかということだが、少なくともこれから先に新しいテーマパークを作るならば、街並みは基本的に賃貸もしくは分譲住宅、高齢者福祉施設、授産施設、病院施設などにあてるべきだというのが私の持論である。但し、賃貸や分譲にあたっては、建物の外観を勝手に変えないこと、自家用車や自転車等は施設外の所定の駐車場を利用すること、その他、そのテーマパークにふさわしいムード作りにつとめることなどを入居条件としておく。さらに、園内の花壇は、入居している高齢者等のコミュニティビジネスに委ねる。

 こうしておけば、入園者は「生活の場」を伴った街並みを体験できるし、高齢者は住居周辺の景色を楽しみつつ環境整備に貢献する喜びを感じられる。さらに入院患者も、車椅子などをつかって園内を散歩できる。

 要するに、これまではどちらかと言えば「日常生活」と「レジャー」と「福祉」をそれぞれ別物であって別々の空間で実現しようとする傾向があったが、これから先はそれらを一体化し、その中で特色あるコミュニティを作るという方向が必要ではないかと思う。

 ちなみにもし、そのような居住・福祉一体型の「昭和30年代テーマパーク」というものが実現したら、私は真っ先にそこの住人になることを希望したい。