じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典

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[今日の写真] 2月もあと一週間で終わり。日の入り時刻もだいぶ遅くなり、帰宅時に夕日を眺められるようになった。写真は夕日に照らされる本部棟と旧事務局。本部棟の真上には月齢12.5の月が光っている。旧事務局の移築の様子は2003年1月14日の日記にあり。


2月21日(月)

【思ったこと】
_50221(月)[教育]授業評価アンケートの結果をどう扱うか(3)比較は目的ではない

 年度末を控えて、各種委員会報告(総括、年度計画最終検証、引継文書など)の執筆に追われる毎日が続いている。

 私が委員長を仰せつかっているFD関係の委員会では、授業評価アンケート(但し、前期分)の結果分析をめぐって種々の意見が出されている。その中で一般性のありそうな問題について少し考えを述べたいと思う。

 私の大学では、マークシート型と自由記述型の2種類のアンケートを全授業科目について実施している。このうちのマークシートのアンケートの実施要項についてはこちらに公開されており、今年度からは、教養科目の結果が原則公開されることとなった。

 問題は、評価値(5段階評定の平均値を表示)をどう受け止めるのかということである。例えば、質問項目1:
(1)この授業全体に対するあなたの評価を総合的に5段階で表して下さい。
   良い  5・・・4・・・3・・・2・・・1  悪い
において、例えば、3つの授業科目の平均値がそれぞれ2.5、3.0、4.0であった場合はどう受け止めればよいのだろうか。このことについての結果分析指針が明確に示されていないため、個々の教員のあいだで受け止め方がマチマチであり、時には無用な誤解や反発を招く原因となっている。

 まずもって指摘しておかなければならないのは、教養科目の結果を一覧表として公開するということは、決して、科目間の比較や、評定値アップの競争を目的としたものではないということだ。数字の上では0.0から5.0までの値をとりうるとしても、それぞれの授業の中味は質的に異なっている。そもそも、講義形式と演習形式では課せられる内容は全然違うし、同じ講義でも受講生が何百人にものぼる場合と20〜30人の小規模授業では、教え方も変えざるを得ない。

 結果を一覧表にして示すということは、ただ単に、閲覧の利便性を考慮しただけのことである。但し、複数の科目が隣り合わせの行に表示されていれば、比較したくなるのが人情というもの。やはり、どういう条件のもとで評価値が高くなりやすいのか、あるいは低くなりやすいのかということについて、「表の見方」の指針のようなものを作っておく必要がありそうだ。

 では、同じ科目で、前年度より今年度のほうが評価値が上がった場合は「改善された」と見なしてよいのだろうか。大まかに言えばその通り。しかし2004年6月30日の日記にも書いたように、もう少し詳しい分析を行う必要もある。




 さて、問題は、評価値が3未満の場合に、これをどう扱うかということだ。「この授業全体に対するあなたの評価を総合的に5段階で表して下さい。」という質問に対して、平均値が例えば2.0であったという場合には、大学としてはやはり放置できない。少なくとも、結果についての説明責任はあると思う。

 例えば、受講生の3割しか合格点をもらえないような厳しい授業があったとする。努力の足りない学生は、憂さ晴らしに「評定値1」をマークするかもしれない。但しそういうケースでは、事後的に、各受講生の成績と評価値の相関を計算すれば証拠が示せるはずである(※本学の授業評価アンケートは、回答カードに学籍番号を記入することとなっているので、評価者の成績と評価値の相関を出すことは可能。但し、これらの処理は機械的になされることととなっており、担当教員が回答者の学籍番号を知ることは決してできない)。

 ま、どっちにしても、マークシート型アンケートの結果だけでは授業改善はできない。やはり、自由記述アンケートに書かれた種々の要望に配慮し(←たまには不当な悪口が書かれてある場合もあるが)、かつ、他教員との相互の授業参観や各種研修を通じて向上をめざしていくことが大切である。