じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典

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[今日の写真]  暖冬傾向が一段落し岡山でも寒い毎日が続いている。大学構内の駐車場では、車のボンネットの上でひなたぼっこをする野良猫を見かけるようになった。駐車後しばらくはエンジンの熱で暖かいためだろう。


12月22日(水)

【思ったこと】
_41222(水)[心理]血液型差別番組を考える(21)「血液型」の懲りない面々

 「放送倫理・番組向上機構(BPO)」が12月8日、「血液型によって人間の性格が規定されるという見方を助長しないよう」放送各局へ要望したことで少しは改善が見られるかと思ったが、そうでもないということが分かった。

 こちらに寄せられた情報によれば、12月19日には

●テレビ朝日系
「決定!これが日本のベスト100・芸能人100人!血液型大実験SP」

が放送され、また、12月28日には

●TBS系
ABOAB血液型性格診断のウソ・ホント!本当の自分&相性探し来年は開運スペシャル

の放送が予定されているという。

 このうち12月19日放送の番組は証拠保全のためDVDに録画してあるが全く視ていない。また12月28日は、私自身はコンボギャムダという辺境の地(←どこかなあ?)に居る予定なのでこの番組を視ることができない(証拠保全のためDVD録画予約はしておいたが)。

 ということで、それぞれの番組が、偏見・差別を助長する内容を含んでいるのかどうかは、現時点では判断できない。とはいえ、28日放送予定のTBSの番組案内の文章には容認できない箇所がある。

 まず、
A型=几帳面
B型=マイペース
O型=大らか
AB型=天才肌
と言われてますが、実は心理学上、「血液型と性格に関連性はない!」そうです。
ところが幼稚園児に実験を行ってみると、あれれ、A型はやっぱり几帳面だし、B型はマイペース。O型主婦のタンスの中はちょっと大雑把だし、個性派・AB型中学生のノートは創意工夫がいっぱい…。
とあるが、“心理学上、「血液型と性格に関連性はない!」そうです。”というのは誰がそう言ったのか、責任の所在を明らかにしてほしいものだ。少なくとも私自身は、「関連性が無いという作業仮説のもとで、地道にデータを集めていくべきだ」、あるいは「何でもかんでも血液型に結びつける(=血液型こだわり主義)のをやめて、もっと多面的に行動をとらえてみよう(=血液型クリティカルシンキング)」と主張しているのであって、「絶対に関連が無い」などと頭ごなしに否定したことは一度も無い。

 続く「番組のみどころ!」には
ホントに血液型と性格に関連性はないの!?
という疑問に答えて、番組ではある心理テストを実施。ゲスト出演者を含め1000人が参加したこのテスト。集計の結果、血液型別に傾向が出たんです。
ということだそうだ。そりゃそうだろう、いろんな番組でこれだけしつこく「A型=几帳面 B型=マイペース」と言われれば、几帳面でないA型者も少しは几帳面になろうと努力するかもしれないし、B型者は「どうせオレはマイペース。やりたいようにやるさ。」と居直るかもしれない。他者への偏見ばかりでなく、自分自身の行動もそれにあてはめてしまう。じっさい、ZAKZAKの12月4日記事には
...思い込みで予言が真実になる『自己成就予言』という現象で、最近10年でA型がより『きちょうめん』になったという研究報告もあります」と菊池助教授。
という引用もあるくらいだ。「血液型決めつけ」による子育てへの影響も計り知れない。

 医学生理学上のファクターがもたらす差が皆無、あるいはごくわずであったとしても、大多数が同じように思い込み決めつければ、統計上有意となるくらいの差は行動評価レベルでも必ず現れてくるものだ。ジェンダー然り、人種差別や民族差別も同様である。もし何らかの調査で、血液型による差が顕著に見られたとしたら、我々はまず、それを偏見の証拠として受け止めるべきである。

 同じことを何度も繰り返すのはそろそろくたびれてきた。ということで、「血液型」の話題は、今年はこれで終了。また、まことに勝手ながら、「血液型」番組の差別・偏見情報は正月明けにお寄せいただきますようお願いします。