じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典

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[今日の写真] 3月15日の日の出。6時28分頃撮影。ちなみに昼と夜の長さが同じになるのは春分の日ではなく3月16日頃となる。太陽の上縁部が地平線に達した瞬間を「日の出」、「日の入り」と定義しているため、春分の日や秋分の日は昼間のほうが長い。またこの時期は、日の入りが遅くなるスピード(=日々の日の入り時刻のズレ)より、日の出が早まるスピードのほうが速い。


3月14日(日)

【ちょっと思ったこと】

スゴイ将棋

 昼食時にテレビのチャンネルを回したら、NHK杯将棋トーナメントの準決勝(谷川浩司vs久保利明)をやっていた。終盤にさしかかったところであったが、驚いたのは駒の配置である。双方の玉がなんと、1マス隔てて睨み合っており、後手側の桂1枚を除いてすべての駒が他の場所に移動していた。こんな状態なら即詰みの手があると思いきや、結局そのあとも差し手が200手以上まで続く大熱戦であった。これまで、こんな激しい将棋は見たことがなかった。

 けっきょく久保八段が勝利。次週の羽生戦(決勝)が楽しみだ。

【思ったこと】
_40314(日)[教育]大学入試再考(3)第一志望優先主義と「復活枠」/得点開示の意義

 昨日の日記および一昨日の日記で、(1)後期入試は廃止、(2)合格者数は定員と同数で、(3)入学辞退者が存在した場合には速やかな追加合格(補欠合格)で定員を満たす、という提案をした。

 この提案は、第一志望を優先するという基本的立場に基づいている。大学に入ろうとする以上は、志願先の大学の特色や自分との相性を十分に調査し、受験すべきである。「どこの大学でもよい」という志望動機では困る。

 しかし、以上の方法だけは、受験生は実質一校しか出願できず、不合格になった場合は浪人になってしまう。そこで、現役入学を希望する者に配慮して、各大学に「復活枠」を設けることを提案したい。

 「復活枠」は、各大学が実情に応じて、第一志望者が入学する枠とは別に設ける定員枠である。受験生はあらかじめ、第二志望校として届け出るものとし、第一志望校が不合格になった場合に限って選抜される権利が発生するものとする。

 「復活枠」の選抜方法は各大学にまかされる。センター試験の得点だけでもよいし、センター試験得点で一次選抜し、個別試験や小論文等で二段階選抜をしてもよい......と書くと、じゃあ、それって後期試験とどこが違うのか、後期試験廃止とか言っても結局、後期試験と同じことを提案しているだけではないかと言われるかもしれないが、これは次の点で根本的に異なっている。
  • 現状の後期試験は、前期試験とは異なる選抜方法を採用することで、前期合格者とは異なるタイプの受験生を入学させることを建前としている。これに対して「復活枠」は、あくまで、第一志望校に不合格になった者を救済することを目的としている。従って、旧帝大系などの難関校はわざわざ「復活枠」を設ける必要はない。
  • 国公立の地方大学の場合は、その実情に応じて「復活枠」を拡大しておく。結果的に、第一志望枠で入学する学生と同等レベル以上の学力をもつ学生が入ってくるならば、大学としてはむしろレベルアップに繋がる。

 前々回の日記に書いた通り、私が受験生だった頃は、国公立大は一期校、二期校に分かれていた。この方式の場合、一期校と二期校で格差が生じたほか、二期校入学者の中で意欲喪失という問題があったことはすでに書いた通りである。しかし、今や、好むと好まざるとに関わらず、大学はいろいろな形でランキングの対象となっている。要はそれぞれの大学が個性を発揮すればよいのであって、何も、偏差値だけで格付けされるわけではない。上記の「復活枠」で優秀な学生がとれるならそれを誇りにしてもよいと思う。

 以上の私の提案は、過去の「一期校・二期校」方式と、現行の分離分割方式の併用のように思われがちであるが、繰り返し強調するように、私の提案は
  • 第一志望者試験(従来の前期試験)の選抜方法を、センター重視型、個別試験重視型、小論文重視型というように多様にすること。
  • 追加合格を早期に決定すること。
  • 「復活枠」は、第一志望不合格者への救済措置であることを目的として明示すること。
といった点で根本的に異なっている。




 最後に、これも繰り返しになるが、センター試験、個別学力試験、面接試験等の得点は、合否に関わらず本人に開示すべきである。最近では情報公開の流れの中で、少なくとも不合格者に対しては個別試験の得点(センター試験得点以外の部分)を受験者本人に開示する大学が増えているが、合格者に対しても開示してよいのではないか。

 合格者に開示しない理由として「(合格者に開示すると)最低点で入った学生が自信を喪失する」と言われることがあるが、これは間違っている。最低点スレスレで入った人はそれを知ることで人一倍勉強するかもしれない。また、大学入学後の学習内容は受験勉強とは根本的に異なっているので、それほど気にしないかもしれない。いずれにしても、情報というのは、知らない状態がベストではない。すべての情報を知った上で、そのどの部分を前向きに生かすのかに目を向けるべきだ。ちなみに、私は理系学部から転学部したので、その手続の際に自分の入試得点を教えてもらっているのだが、私の得点は文学部の合格最低点552点よりわずか7点しか上回っていなかった。しかし、だからといって、私自身は文学部転学部後に自信を喪失したことなど一度もなかった。実際、大学院入試の時には、19名の志願者に対して合格者は私を含めて2名だけであった。私が本質的に劣等生であるなら、院合格などできなかったはずだ。

 面接試験や小論文も、実施する以上は得点を公開すべきである。「面接の点数が低くて不合格になったことが分かると本人が傷つく」などという意見があるが、これも間違っていると思う。不合格になることはどっちにしてもアンハッピーには違いないが、「学力試験ではなく面接試験で不合格になった」という事実を知ることができれば、その受験生は、以後、自分の適性に合った道を選ぶことができるだろう。