じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典

2月のインデックスへ戻る
最新版へ戻る

[今日の写真] ミモザの花が見頃となった。受験生の目を楽しませてくれるかも。


2月24日(火)

【ちょっと思ったこと】

新種ウィルス検出ソフト

 NHKの朝5時台のニュースによれば、新奇なウィルスパターンを直ちにウイルスと判断して警告を発する新しいソフトが、産業技術総合研究所の研究チームによって開発されたという。私の知る限りでは市販のウィルス防除ソフトというのは、すでに存在が確認されたウィルスのパターンを検出する方略をとっていたため、新奇なウィルスが発見されてから対応をとるまでに時間的なズレがあった。その数時間〜数日間に感染が広まり、時にはハードディスクが深刻なダメージを受けるという恐れもあった。

 私自身は、パソコン購入当時にプレインストールされていた防除ソフトをしばらく使っていたが、無料使用期間終了後の有料更新は一切やっていない。理由はまさに上に述べた通りであり、新種に事前に対応できないようなソフトはメモリを食うだけ無駄。事前に了解されている添付ファイル以外は展開しない、Webサイトなどで稀に行き当たる実行ファイルやフリーソフト等は絶対にダウンロードしない、に徹すればとりあえずはこれで十分であると思っている(←大学のメイルサーバー利用の場合は、こちらに届く前に自動的にフィルターで検出されており、時たま、「Virus Alert」という削除通知が届くことがある)。


 昨年12月4日の日記に記したように、大学生協のソフトウェアニュースによれば、売れ筋ソフトTop5のうち4本まではなんとウィルス対策ソフトだという。まるで、ウィルス対策ソフトを使うためにパソコンを買っているようなものだ。今回のような新種ウィルス検出ソフトが無料もしくは安価で提供されるようになれば、防除ソフトのために貴重な税金が投じられる必要もなくなる。いずれにせよ、新種ウィルスが出回ることで一番注目され利益を上げることができるのはウィルス対策ソフト会社であるという皮肉な現象はどこかで断ち切るべきであると思う。
【思ったこと】
_40224(火)[心理]批判的思考の認知的基盤と実践ワークショップ(8)クリシンは夫婦の会話には馴染まない

 2月8日(日)に京大で行われた表記ワークショップの感想の続き。

 9番目は、中島氏の「望ましい集団討議を行うために必要な能力と志向性を高めることを目的としたトレーニング・プログラムの開発〜分業の導入による批判的思考の促進を核として〜」という長いタイトルの話題提供であった。社会人大学院生であり現役の高校教師である中島氏は、学校教育場面でのトレーニングプログラムの開発に携わってこられた。今回はその実践報告であったが、短時間の発表ということもあって、その詳細や成果は十分には理解できなかった。

 そんななかで面白いと思ったのは、集団討議訓練の中で、
  • 批判と非難・否定とを混同する思い込み
  • 批判を反対意見の表明としてのみ捉える思い込み
  • 「司会は自分の意見を言ってはいけない」という思い込み
といった問題点が浮上したことである。また全般的に、他者の発言に対しては「良い点を探す」ことが中心となる一方、問題点を探すことに消極的であり、批判を避ける傾向があったという。

 このような傾向は必ずしも高校生・大学生に限った問題ではない。昨日の日記でも述べたが、大学改革の推進に対してはしばしば時期尚早論が台頭する。そして、その背景にはおそらく、「仲良し」と「棲み分け」と「保身」を原則とした「居心地の良い」職場環境を守りたいという意識が根強いのではないかと思ってみたりする。昨年2月20日の日記にも書いたが、大学改革においては「もはや合意形成は何ら美徳ではない」と悟ることも重要。「教育組織単位からのボトムアップの議論を大切にすべきだ」というと聞こえがよいが、実際に出されてくるのは、保身のための痛み分け、棲み分けであり、社会的ニーズにちっとも応えていない恐れすらあるのだ。

 もっともすべての議論がクリシンに馴染むかどうかは別である。もっとも馴染まないのが夫婦の会話である。というか、婚約者や配偶者が自分にとって最適の相手であるかどうかを批判的に考察すれば破綻するのは必然。世の中には完璧な相手などありえないのだ。次回に続く。