じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典

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[今日の写真] [今日の写真] 鹿児島大学まで出張。利用した交通手段はプロペラ飛行機であった。プロペラ機に乗ったのは相当昔のことであろうと思ったが、降りてからじっくり思い出したところ、昨年12月に、メルボルンからタスマニア北部のデベンポートへ行く時に乗っていたことが分かった。
鹿児島と言えば桜島。以前訪れた時に比べて緑が多いような印象を受けた。最近10年ほどは降灰が殆ど無いとか。であるなら一度登ってみたいものだ。
日中は30度近くまで上がる。こんな暑いところだとは思わなかったが、これはこの日の特異現象だったらしい。


11月6日(木)

【ちょっと思ったこと】

西郷さん、坊ちゃん、桃太郎

 鹿児島市は銅像の多い町であるように思う。中でも最も目立つのは言うまでもなく西郷さんだ。東京・上野公園の西郷さんは江戸城無血開城の功績をたたえたものだと思ったが、鹿児島では、南州墓地の墓石の配置を見ればわかるように、西南戦争を含めて全生涯をたたえているように見える。

 歴史上の人物や文学作品との結びつきが強くイメージされる町としては、四国・松山市がある。作品『坊ちゃん』の中ではさんざん松山のことを悪く書いているのに、松山の人たちは寛容なのだろうか、『ようこそ、温泉と坊ちゃんの町へ』などとニコニコしながら挨拶してくれる(もっとも、『坊ちゃん』の本当の舞台は東京帝大英文科であったらしい。2002年6月23日の日記参照)。

 このほか、岡山近隣に限って言えば、高知市の坂本龍馬、和気町の和気清麻呂などある。境港の水木しげるロードも有名になってきた。

 そんななか、相変わらず何でもかんでも桃太郎というのが岡山市である。岡山駅正面には桃太郎の銅像が立ち、国体の開城として最近完成した競技場もけっきょく「桃太郎スタジアム」と名付けられた。「桃太郎温泉」も複数ある。

 桃太郎によるイメージづくり自体は決して悪いとは思わないが、問題は桃太郎の何をアピールするかということだろう。立身出世の象徴というわけでもない。犬・猿・雉のお供は、忠義ではなく、吉備団子で雇われただけのようにも見える。鬼退治は、もしかしたら古代の吉備政権への侵略戦争であったかもしれない。より建設的に考えるならば、やはり、吉備文化の謎を解き、造山古墳や鬼ノ城などの観光ルートを整備するという可能性も残っているが、岡山に10年以上住んでいると、どうもワンパターンで創造性に欠けるような気がしてならない。





処方薬の値段

 鹿児島の宿泊先でNHK衛星放送を視ていたら、米国とカナダで処方薬の価格が異なり、米国からカナダまで「買い出し」に行ったり、ネットで薬を買う人が増えているという問題を取り上げていた(たぶんABC)。

 カナダの価格統制が一因になっているほか、第三国からの「輸入」もかなりの量にのぼる。なかには偽物や期限切れの不良品も混じっているらしい。米国では法律により「輸入」を規制する動きもある。

 企業サイドから見た一番の問題は、米国内で薬が売れなくなることによって新薬の開発が困難になるという点にある。米国流の論理で言うなら、新薬開発の資金は米国民だけが高い薬を買うことによってまかなわれる、米国民以外は、開発後の安い薬を買うことで恩恵を受けているというのが不公平であるということになるのだろう。とはいえ、新薬の開発の負担、現在売られている薬によって得られる利益、それ以外の利益や広告費などが、それぞれどのくらいの額にのぼるのかは監査の対象にはなっていない。

 薬の値段というのは、製造コストからみれば著しく高く設定されている。また価格競争もない。しかし長期的に見ればそれによってさらに便利な薬が開発される可能性もある。またこれとは別に、薬好きの米国民特有の問題もありそうだ。